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キュンチョメのアートデート
No.003
東京都現代美術館 「MOTコレクション特別企画 クロニクル1995−」
ゲスト:アーティスト/八谷和彦さん
キュンチョメのホンマエリさんと、おじさまアーティストとの「アートデート」。今回はゲストにメディア・アーティストの八谷和彦さんを迎え、東京都現代美術館で開館20周年記念として開催中のMOTコレクション特別企画を見ていきます。
撮影:林道子 作品写真提供:東京都現代美術館


ファンでした

キュンチョメ・エリは、八谷和彦さんとともに東京都現代美術館を訪れた。八谷さんは、目下開催中のコレクション展と企画展の両方に出品しているメディア・アーティストだ。

八谷 はじめまして。以前から作品は見ていて、一度、お目にかかりたいと思っていたんですよ。

エリ 本当ですかっ! 実は私も前々から八谷さんのことが気になっていて、「ブラック企業」に勤めていた時、パソコンの壁紙を八谷さんの画像にしていたほど。

八谷 マジ?

編集部 あ、キュンチョメのもう一人のメンバー、間もなく到着するそうです。

八谷 ええっ!? 今日はデートだからエリさん一人で来ると期待していたのに……。

エリ 大丈夫、地味で無口なんで邪魔にはなりません。

ナブチ 遅れてすいませーん。


1995年は転換点だった

エリと八谷さんはまず、コレクション展の会場に向かった。「MOTコレクション特別企画 クロニクル1995−」を、学芸員の藪前知子さんの案内で巡った。

藪前 当館は1995年にオープンし、間もなく20周年を迎えます。95年には阪神淡路大震災やオウム真理教による地下鉄サリン事件などが起き、戦後50年でもありました。そこで95年にフォーカスし、現在の日本の社会的・文化的な転換点として美術を通して当時をとらえるのが本展です。会場は3階と1階に分かれ、3階では「about 1995」としてこの時期前後に発表された作品が中心です。

八谷 エリさんは何年生まれ?

エリ 87年です。95年は小学生で、オウム真理教の歌が学校で流行っていて、楽しく歌っていました。わけもわからずに。

藪前 こちらはホンマタカシさんが幕張や浦安などで撮影した写真です。いわゆる「ウォーター・フロント」の開発が始まったのも95年あたりからです。

八谷 郊外を撮っているだけあって、岡崎京子さんの『リバーズ・エッジ』(※)感がありますよね。以前の岡崎さんのまんがは明るかったのに、その頃からシリアスになっていって。『リバーズ・エッジ』が出たのが94年だし。

エリ あ、次の一角は大竹伸朗さんと都築響一さんが向かい合わせだ!

藪前 郊外という同じテーマなのに、ホンマさんとは異なる風景を二人は見ています。

ホンマタカシ 《「東京郊外」幕張ベイタウン、千葉県美浜区》 1995−1998
ホンマタカシ 《「東京郊外」幕張ベイタウン、千葉県美浜区》 1995−1998


「見ることは信じること」

やがて会田誠や小沢剛、奈良美智、ヤノベケンジらの作品を見て回り、エリと八谷さんは最後の部屋に足を踏み入れた。

会田誠 《たまゆら(戦争画 RETURNS)》  1999
会田誠 《たまゆら(戦争画 RETURNS)》  1999

八谷 これがぼくの作品《見ることは信じること》です!

エリ おおっー!

藪前 95年はWindows 95が発売された年であり、パソコンが急激に普及した年。また、インターネット元年とも言われます。

八谷 その年に、百人の参加者がパソコン通信で百日間にわたって日記を書くプロジェクト<メガ日記>をやって、翌年、日記を自作の電光掲示板に流して、段ボール箱のビューワーで読む作品にしました。

エリ わー、肉眼では何も読めなかったのに、文字が浮かび上がってきた!

八谷 特別にビューワーの中をお見せしましょう。中にはバッテリーやカメラとかが入っていて、このカメラが電光掲示板の赤外線をとらえて文字が読める仕掛けです。

エリ なるほど〜。

八谷和彦 《見ることは信じること》 1996
八谷和彦 《見ることは信じること》 1996


若い世代の作家たち

そして3階の展示を見終えた一行は、階段を下っていった。

藪前 1階では「after 1995」として、この時期以降に活動を始めた作家たちを取り上げています。ですから、1970年以降に生まれた若い世代が中心ですね。

エリ あ、バンビだ、バンビ。かわいいっ! でも、ビー玉詰めになっちゃって。

藪前 名和晃平さんの<PixCell-Bambi>シリーズです。インターネットで集めた剥製の鹿が素材の作品で、最近、収蔵したばかりです。

八谷 3階に比べると、1階は映像作品が多いですね。ぼくらが20代の頃は映像を編集するのは、機材もお金もすごく大変でしたから。

エリ キュンチョメも映像を使うけど、今はノートパソコンでHDの映像編集をやるからねー。

八谷 率直にいって、ぼくは3階で取り上げられるよりも、1階で展示したかった。なんか、おじさん扱いされているみたいで……。

エリ めげないでー! じゃあ、気を取り直して企画展に行きましょうよ! 宇宙へ行きましょう、宇宙へ!

学芸員の藪前知子さんの案内で展示を見た
学芸員の藪前知子さんの案内で展示を見た


『リバーズ・エッジ』 1994年刊行の岡崎京子によるコミック。90年代はじめの東京郊外に暮らす高校生たちの姿を描く。

構成/新川貴詩

もっと知りたい!  東京都現代美術館

絵画からファッション、建築など幅広い分野の現代美術を鑑賞できる美術館。1995年の開館以来、大規模な国際展や約4700点の収蔵作品を活かした常設展示を開催している。「MOTコレクション」の関連イベントとして、出品作家の会田誠、小沢剛、そして八谷和彦の鼎談(ていだん)も行われる。出品作家の話が直接聞けるのは、現代美術を扱う美術館ならでは。

鼎談「1995年:戦争画 RETURNS、相談芸術大学、メガ日記、そして...」
7月5日(土)
詳細は公式サイトへ
http://www.mot-art-museum.jp

キュンチョメ

ホンマエリ(1987年、横浜生まれ)と、元引きこもりのナブチ(1984年、水戸生まれ)による二人組アート・ユニット。結成は2010年。今年2月、「第17回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)」で、最高賞にあたる「岡本太郎賞」を受賞。それ以前にも、「kawaii plusk大賞展」(2012年、スパイラルガーデン)でバロックス賞、「群馬青年ビエンナーレ2012」(群馬県立近代美術館)に入選。新宿眼科画廊にて個展「なにかにつながっている」を開催(7月11日〜23日)
http://kyunchome.main.jp

キュンチョメキュンチョメ

八谷和彦(はちや・かずひこ)

1966年、佐賀県生まれ。九州芸術工科大学(現・九州大学芸術工学部)画像設計学科卒業。90年代前半頃よりメディア・アーティストとして活動を開始し、主な個展に「オープンスカイ in 霧島 八谷和彦展」(霧島アートの森、鹿児島、2011)、「OpenSky 3.0 ―欲しかった飛行機、作ってみた―」(3331 Arts Chiyoda、東京、2013)など多数。また、東京芸術大学美術学部先端芸術表現科で准教授を務める。
http://www.petworks.co.jp/~hachiya/

八谷和彦(はちや・かずひこ)

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