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キュンチョメのアートデート
No.009
東京芸術劇場
ゲスト:アーティスト/北川貴好さん
ある日の夕刻、池袋の東京芸術劇場を訪れたキュンチョメのホンマエリさんとアーティストの北川貴好さんの二人。この日のアートデートの目的は、同劇場が誇る世界最大級のパイプオルガンで演奏される夜のコンサート。背中合わせにオルガンケースが二つつくられ、複数の様式を演奏できる珍しい仕組みの秘密にも迫ります。
撮影:林道子


建築物としての魅力

キュンチョメのエリは、北川貴好さんと一緒に東京芸術劇場にやってきた。

北川 建物の中に入ると、ガラスに囲まれた巨大吹抜け空間が、ほんますごい。しかも、ガラスの外は独特な池袋の街で……。

エリ クールな空間と大都会のネオン街との対比が、なんともいえませんね。それに、となりの西口公園と一体化しているのも楽しい。日によっては公園でパフォーマンスがあったり、屋台が並んでたりとか。

北川 ここを設計した芦原義信は、街並みとともに建物をつくっていくスタイルが特徴的な建築家なんだ。代表作の銀座のソニービルも螺旋状のスキップフロアで、客はいったん最上階まで上がってから降りてくるという仕掛け。芸劇もリニューアル前は5階まで一気に上がれるエスカレーターがあったから、構造的に共通点がある。

エリ 超長いエスカレーター、あったあった!! あれ、怖かった〜。やっぱり、建築は詳しい人と見たほうが、断然楽しい!

実は北川さんは建築学科出身で、建築に近いアプローチの作風で知られるアーティスト。いま東京都現代美術館で開催中の「未見の星座〈コンステレーション〉−つながり/発見のプラクティス」(3月22日〈日〉まで)にも出品中だ。


コンサートホールへ

そして二人は、コンサートホールへと向かった。ほぼ隔月で開催される「ナイトタイム・パイプオルガンコンサート」を鑑賞するためだ。ロビーからホールに足を踏み入れたとたん、エリと北川さんは歓声を上げた。

ホールの扉には楽譜のレリーフが
ホールの扉には楽譜のレリーフが

エリ かっこいい! ホールに入るだけでテンション上がるー。

北川 この空間で入場料1000円でコンサートが聴けるなんて、むっちゃ安い。

エリ デートに最適。もっとたくさんの人に知られてほしい!

演奏が始まった。徳岡めぐみさんにより、バッハやメンデルスゾーンの曲が奏でられ、パイプオルガンの音色がホールに響いた。

ヨーロッパの伝統に則ったデザイン
ヨーロッパの伝統に則ったデザイン

プログラムの後半は、オルガンの様式が変わる。巨大なパイプオルガンがゆっくり回転すると、モダン・オルガンが現れる
プログラムの後半は、オルガンの様式が変わる。巨大なパイプオルガンがゆっくり回転すると、モダン・オルガンが現れる

曲によってライトアップの色調がさまざまに変化
曲によってライトアップの色調がさまざまに変化

北川 パイプオルガンのコンサートって、初めて体験したけど、面白かった。

エリ 私も初めて。音に囲まれてるって感じで、楽器の中に入ってるみたいだった。

北川 せやけど、あの楽器、どんな仕組みになってんのやろ?

エリ うん、いろいろと知りたいっ。

演奏の様子 photo:Hikaru.☆
演奏の様子
photo:Hikaru.☆

そこで、東京芸術劇場の曾宮麻矢さんに解説を願った。

エリ パイプオルガンの回転、かっこよかったです!

曾宮 この劇場には、ルネサンスとバロックの2種のオルガン、そして一回転するとモダン・オルガンの計3種があります。

エリ パイプオルガンって、そんなに色々な種類があるんですか?

曾宮 オルガンには長い歴史があって、時代や国によって違いがあります。その地方でどのような祈りの音楽が使われていたかによって建物の中に配置するオルガンの場所や規模なども全て変わってくるんですよ。

北川 なるほど。建物とパイプオルガンは一体化して考えられているわけか。

曾宮 パイプオルガンという楽器自体、そして楽曲もキリスト教の歴史とともに発達してきました。ですから、知識がないとわかりづらい面もあるかもしれません。そこで照明などの効果も取り入れ、先人の心を動かしてきた音楽に、そっと心を開くきっかけを作れないかと試みています。

エリ 情熱的な曲調の時は、赤!みたいな感じですね。

北川 曲選びはどうしてるんですか?

曾宮 奏者と相談して決めます。人気のある曲を選べば、より多くの人がもっと気軽に楽しめるとは思います。ただ、それが本当にこの素晴らしい楽器のためになるのか、アーティストのためになるのか、絶えず考えますね。親しみやすさも大切ですけど、長く聴き続けてくれるお客さんを増やすには、本当に心から感動してもらうことが不可欠。そこを重視してプログラムを考えていますね。

東京芸術劇場の曾宮さんのお話を聞く
東京芸術劇場の曾宮さんのお話を聞く

さらに二人は、特別にパイプオルガンを間近に見られる、またとない機会を得た。エリと北川さんはパイプオルガンを見上げた。

エリ うわっ、近くで見るとこんなに大きい

北川 思っていたよりパイプの数がむっちゃ多いっ!

曾宮 このパイプオルガンは世界最大級で、高さ約10メートル、パイプはおよそ9000本あります。よかったら、どうぞ演奏してみて下さい。

エリ えっ、いいんですか!? わわっ、音が響く響くっ!

北川 ぼくもいいですか?(おもむろに演奏を始める)

エリ あっ、ドラクエだ!

北川 パイプオルガンっちゅうたら、やっぱこの曲や!

エリ かっこいいっ!!

そんなわけで、パイプオルガンの世界に、ドラゴンクエストのテーマ曲とともに大冒険気分に浸る二人なのだった。

奏者の徳岡めぐみさんと
奏者の徳岡めぐみさんと


構成/新川貴詩

もっと知りたい!  東京芸術劇場

オーケストラの演奏に適したコンサートホールをはじめ、演劇やダンスなどを中心としたプレイハウスと2つの小ホール(シアターイースト/ウエスト)やギャラリーなどがある総合文化施設。劇場のシンボルであるパイプオルガンの魅力を伝えるコンサートを定期的に開催。ランチタイム・パイプオルガンコンサートはワンコイン(500円)で隔月開催(次回3月12日)。ナイトタイム・パイプオルガンコンサートは、仕事や学校帰りでも間に合う、平日19時30分から開催(次回4月30日)。3月20日には、海外を舞台に活躍し、“バッハ演奏のスペシャリスト”として高い評価を得ている、小糸恵によるオルガン・リサイタルを行う。今年は開館25周年にあたり、様々な記念イベントが予定されている。
http://www.geigeki.jp

キュンチョメ

ホンマエリ(1987年、横浜生まれ)と、元引きこもりのナブチ(1984年、水戸生まれ)による二人組アート・ユニット。結成は2010年。今年2月、「第17回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)」で、最高賞にあたる「岡本太郎賞」を受賞。それ以前にも「群馬青年ビエンナーレ2012」(群馬県立近代美術館)に入選。主な個展に「ここではないどこか」(2013年、素人の乱12号店 ナオ ナカムラ)、「なにかにつながっている」(14年、新宿眼科画廊)など。4月には青山の岡本太郎記念館での『岡本太郎の「生命体」』展に参加。
http://kyunchome.main.jp

キュンチョメキュンチョメ

北川貴好(きたがわ・たかよし)

1974年、大阪府生まれ。武蔵野美術大学造形学部建築学科卒業。建物に無数の穴を開けたり、公園に大量の古タイヤを持ち込むなど、自然や人工物に手を加えた作風で知られる。主な個展に「フロアランドスケープ − 開き、つないで、閉じていく」(アサヒアートスクエア)、グループ展に「チャンウォン彫刻ビエンナーレ2014」(韓国)など。目下、東京都現代美術館での企画展「未見の星座〈コンステレーション〉−つながり/発見のプラクティス」に出品中(3月22日まで)。 http://www.takayoshikitagawa.com/

北川貴好(きたがわ・たかよし)

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