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トーキョー・アートエッセンス
No.048 六本木に3つめの実験的スペースをオープン 荒木経惟 「愛の劇場」 展示風景 タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム 2011.2.18-3.26 Courtesy of Taka Ishii Gallery / Photo by Kenji Takahashi
語り手:タカ・イシイギャラリー代表 石井孝之さん
東京と京都でコンテンポラリーアートを中心としたギャラリーを運営する、タカ・イシイギャラリーのオーナー、石井孝之さん。東京では清澄白河のギャラリーに加え、2月18日(金)、六本木に3軒目のギャラリーをオープンしました。新しいスペースでの今後の展開と、いま気になるアートの動向についてお話をうかがいました。

 木の床と白壁がマッチした「タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム」は、森美術館からほど近いピラミデビルの2階にあります。同時オープンしたオオタファインアーツ、ワコウ・ワークス・オブ・アート、ZEN FOTO GALLERYとともにぜひ立ち寄りたいアクセス便利なスポットです。


戦前・戦後の日本人写真家の作品紹介スペースとして

 「タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム」は17坪の小さめな空間で、戦前・戦後の日本人写真家の写真とフィルムを紹介していくつもりです。清澄白河のギャラリーではこれまで通り現在活動中の作家の展覧会を、京都では若手を主軸に見せたいと思っています。
 自分でも、戦前・戦後の日本人写真家の作品を、ときにはネガも併せてコレクションしているんですよ。歴史的価値がありながらも、まだ美術館には収蔵されにくいようなものが多いかもしれません。
 タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルムでの展覧会の第一弾は、荒木経惟さんの「愛の劇場」です。荒木さんは、電通のカメラマンとして広告写真を撮っていたころ(1963〜72)、終業後に会社のスタジオで機材を無断で使って、女性を撮っていたんですね。
 それから京都では、今回は若手ではなく、安井仲治(1903-1942)の写真を紹介します。ネガから新しいプリントを起こしてポートフォリオをつくりました。以前、ワタリウム美術館や渋谷区立松濤美術館でも展覧会がありましたが、安井さんは戦前に30代で亡くなっているために作品点数が少なく、貴重な機会だと思いますよ。
 東松照明さんのプリント、大阪・釜ヶ崎でのストリートスナップで知られる井上青龍さんのプリントとネガ、倉田精二さんの1975〜79年のヴィンテージプリントなどもコレクションしています。倉田さんは、70年代〜80年代は東京のストリートスナップを撮っていた写真家で、現在は高速道路を被写体に都市の造形を撮っていますね。
 それから、実験映画をやりたいなと思っています。8ミリは厳しいですが、16ミリフィルムってけっこう残っているんですよ。日本の作品を中心に映写会ができたらいいなと考えています。

荒木経惟《愛の劇場》1965年頃 B&Wプリント 12.1×16.4 cm

安井仲治《(凝視)》1931年 ゼラチン・シルバー・プリント Courtesy of Taka Ishii Gallery

写真左/荒木経惟《愛の劇場》1965年頃 B&Wプリント 12.1×16.4 cm
写真右/安井仲治《(凝視)》1931年 ゼラチン・シルバー・プリント
Courtesy of Taka Ishii Gallery

2010年代、パフォーマンスを取り入れた新しい表現

 最近は、若手作家によるパフォーマンスを用いた表現に注目しています。ハイレッドセンターやゼロ次元、九州派など、70年代にあったパフォーマンスに影響されて現在作品を制作しているという作家が少しいるんですね。ニューヨークを拠点に活動している荒川医、笹本晃など、海外で活動している作家が多いかな。パフォーマンスとインスタレーションを組み合わせて表現したり、他のジャンルの作家とコラボレーションしたり、70年代とはまた違った表現が生まれるんじゃないかと思いますね。
 90年代は個人で活動している作家が多かったけど、最近は他の作家と一緒に作品をつくったり、集団で活動したりといった動きが出てきましたよね。70年代生まれの世代的な流れもあるかもしれないですが、もっと混ざり合ってアクティブになると面白いと思います。
 昨年10月に開催されたフリーズアートフェアへの出展では、荒川さんのカール・ホルムキヴィスト、ニコラ・ガンバロフとのコラボレーションによるパフォーマンスやインスタレーション、50年代に活動した「実験工房」の写真などを展示しました。これまでは建築家と組んで大きな造形作品を展示してきたので、すごくいいブースポジションをくれたんですが、今回は小さなスペースに移されてしまってね(笑)。いまの美術の動きだからピックアップしたんですが、主催者や出展者や観客の多くは90年代をまだ引きずっているんですよね。作品の価値は、派手さや大きさではないのにね。

荒川医&カール・ホルムキヴィスト《pOEtry pArk》2010年 Commissioned by Frieze Foundation for Frieze Projects 2010 Courtesy of Taka Ishii Gallery / Photo by Polly Braden
荒川医&カール・ホルムキヴィスト《pOEtry pArk》2010年
Commissioned by Frieze Foundation for Frieze Projects 2010
Courtesy of Taka Ishii Gallery / Photo by Polly Braden


新陳代謝の街、東京。そしてアマチュア写真

 僕は、最初にギャラリーを始めた東京の大塚生まれで、やはり東京は好きですね。生まれては壊れたり、壊れては生まれたり、新陳代謝しながら生きていく街。海外にもこんな街はないんじゃないかな。20年もたないような使い捨てハウスみたいな家も多いですよね。ビジュアル的にはよくないけど、建て替えたり、家主も変わったり、仮設的というか、残すことを目的とせずに変化に対応していくという意味で面白いと思いますね。
 だけど、大塚もけっこう変わりましたね。商店街は、小売店がなかなか存続していけなくて。子どもの頃は商店街を歩くのが好きでしたね。みんな知ってるし、お肉屋さんでコロッケ買って、食べながら公園行ったりして。下駄屋さんもよかったし。そういう下町を撮っているのは、アマチュアカメラマンの人に多いんじゃないかな。
 アマチュア写真といえば、親戚に「鉄っちゃん」がいたので、朝早く撮影に連れていかれたこともありましたけど、鉄道写真でも面白いのがありますね。昆虫写真では、東京都写真美術館でネイチャー・フォトで著名な今森光彦さんの個展がありましたが、あまり見る機会がないですよね。おそらくアマチュア写真家が多いジャンルではないかな。そういうアマチュア写真の世界も面白いなと思っています。


インタビュー・文/白坂ゆり


Information

3月11日(金)に発生した地震に伴い、タカ・イシイギャラリー(東京/清澄)とタカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム(東京/六本木)は3月21日(月・祝)まで臨時休業しておりました。タカ・イシイギャラリー京都は通常通り営業しております。

■荒木経惟「愛の劇場」

会期/ 2月18日(金)〜3月26日(土)
時間/ 12:00〜19:00
休廊/ 日曜日、月曜日、祝日
会場/ タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム
東京都港区六本木6-6-9 2F

■ケリス・ウィン・エヴァンス

会期/ 2月26日(土)〜3月26日(土)
時間/ 12:00〜19:00
休廊/ 日曜日、月曜日、祝日
会場/ タカ・イシイギャラリー
東京都江東区清澄1-3-2 5F

※タカ・イシイギャラリー京都では、安井仲治の個展を3月25日(金)〜5月7日(土)開催。
※タカ・イシイギャラリー(東京/清澄)で 3月30日(水)より開催を予定してた個展「マライケ・ファンヴァルメルダム」は延期となりました。詳細は下記よりご確認ください。
http://www.takaishiigallery.com/

石井孝之(いしい たかゆき) 石井孝之(いしい たかゆき)

1982年に渡米。ファッションからアートに専攻を変え、ロサンゼルスのOtis College of Art and Designで学ぶ。日本のアート業者向けに現地の作品を買い付け、自身でもコレクションを始める。帰国後、1994年に豊島区大塚にてタカ・イシイギャラリーをオープン。2003年1月に新川に移転。2005年11月より、清澄白河に再び移転し、現在に至る。2008年、「タカ・イシイギャラリー京都」をオープン。2011年2月、「タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム」をオープンした。主な取り扱い作家は、荒木経惟、森山大道、木村友紀、村瀬恭子、トーマス・デマンド、エルムグリーン&ドラッグセット、スターリング・ルビーほか。
http://www.takaishiigallery.com/

 
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