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トーキョー・アートエッセンス
No.020 美術館との共生がアートシーンを変える TKG Contemporary(Tomio Koyama Gallry 7F)菅木志雄展 展示風景 2008年
語り手:ギャラリスト 小山登美夫氏
奈良美智さんなど、世界で活躍するアーティストの作品を扱うギャラリー「小山登美夫ギャラリー」。都内に3つのスペースを展開する理由とは?マーケット中心となっている現在のアートシーンに対して提案する新しい解決策とは?ギャラリストの小山登美夫さんが、これからのアートについて考えます。

都内に3つのスペースをもつ
TKG Contemporary (Tomio Koyama Gallery 6F) Gert & Uwe Tobias展 展示風景 2008年
TKG Contemporary (Tomio Koyama Gallery 6F) Gert & Uwe Tobias展 展示風景 2008年

 僕は東京で3つのスペースを開いて、スペースの棲み分けもしています。清澄白河の「小山登美夫ギャラリー」は、アーティストの作品展示のために大きな場所を確保しています。展覧会を開くために、海外と同じように「見せる場所」をつくるとなると、こういった場所になるんですね。代官山の「TKG Daikanyama」は、いろんな人に作品を見てもらうスペースです。銀座にある「TKG Editions」では、気軽に版画やグッズなどを見ていただけるように、作品などを展示・販売しています。

 東京は情報が一番集まっているしそろっていると思いますが、日本全国のいろんなアートシーンで動きがあります。この10月、僕も京都にギャラリーをオープンします。京都は街として大きくないし、京都駅を中心に交通の便がいい。何より美術へのポテンシャルが高い。骨董屋さんや工芸といったクラシックなものもある中で、現代美術を見せていきたいんです。観光で来たり、住んでいる外国の方も多いですし。海外の現代作家の展示スペースとしても、いい場所だと思うんですよね。いまは、お客さんは京都や東京だけではなく世界中にいて、ネットで販売できます。でもギャラリーという場所は、そこにアーティストがモチベーションを持てるということが大事だと思います。


美術館こそがこれからのアートシーンを変える鍵
TKG Daikanyama 内観 作品奥:廣瀬智央、手前:落合多武
TKG Daikanyama 内観
作品奥:廣瀬智央、手前:落合多武

 マーケット中心といわれる現在のアートシーンですが、アートを何か、儲けるためだけの手段と捉えるのは間違いです。アーティストも、売ろうとしてつくっている人はほとんどいない。いい作品をつくろうというのが基本。村上隆さんだって主たる目的はいい作品をつくることで、それを発表するのがギャラリーの主たる目的だと思うわけです。もちろん作品を売ることは僕らギャラリーの役割で、その活動を何らかの形で社会的に還元したいというのが目的です。そしてその目的は、美術館の機能とマッチしていくものだと考えています。

 日本には、数多くの美術館がありますよね。他のアジアの国々と比べても、こんなに美術館があって整備されている国はないですよ。美術館がもっと権威として機能して、効率的で構築的なアートシーンをつくることが大事だと思うんです。そういうことに美術館の学芸員はもっと気付いてほしいし、ギャラリーというシステムをもっと利用してほしい。こんなことができるのは、美術館が多い日本だからできると思うんです。予算の問題などでお金が無いのであれば、無いなりのやり方をすればいいんです。アーティストたちと一緒に、壁を塗ったり、釘を打ったりと、インスタレーションをしたりすればいいわけです。美術館というすばらしい場所やシステムを持ち、権威という責任をもった優秀な学芸員がいて、それら全てがうまく発動すれば日本の美術界はよくなると。美術館は、価値の後追いをするのではなく、自分たちの価値をつくっていけば面白いと思うんです。金沢21世紀美術館のように、うまく機能していく美術館が増えていってほしいと思います。

TKG Editions 外観
TKG Editions 外観
 アーティストに対しても、美術館や学芸員がもっと関わっていくべきでしょう。僕のギャラリー宛に来る作品ファイルや、作品画像が添付されたメールに「コメントをください」というアーティストの方がいます。僕は、自分のギャラリーで展示したいか、興味があるか、好きかどうかで作品を判断することになるので、具体的なコメントはしていません。地元のアーティストの作品批評をするのは、美術館の学芸員の仕事のひとつだと思うんですね。たとえば美術館は、その町に住んでいるアーティストのファイルを全員分つくったらいいのです。アーティストも、自分の出身地や住んでいる町の美術館の学芸員にどんどん質問をしていけばいいし。そのコミュニケーションが、地元のアート活性化にも有効でしょう。アーティストと美術館、双方が関わっていくことで、これからのアートシーンはうまく循環していく、と僕は考えています。

インタビュー・文/藤田千彩


次回は…
ASYL アートディレクター、佐藤直樹さんを紹介します。[12月11日(木)アップ予定]

小山登美夫(こやまとみお) 小山登美夫氏 写真

1963年、東京生まれ。ギャラリスト。小山登美夫ギャラリー代表。明治大学国際日本学部特任准教授。東京藝術大学芸術学科卒業後、西村画廊、白石コンテンポラリーアート勤務を経て、1996年に小山登美夫ギャラリーを開廊。奈良美智や村上隆をはじめとする同世代のアーティストの展覧会を広く企画・開催。海外のアートフェアにも積極的に参加。公募展の審査員なども務め、若手作家の発掘にも注力している。ギャラリーのアーティストは、加藤美佳、川島秀明、工藤麻紀子、奈良美智、三宅信太郎など(50音順)。現在、清澄白河、代官山、銀座でギャラリー、ショップを運営。11月20日、小山登美夫ギャラリー京都開廊。著書に『現代アートビジネス』(アスキー・メディアワークス/2008年)、『その絵、いくら? 現代アートの相場がわかる』(講談社/2008年)がある。
http://www.tomiokoyamagallery.com/

 
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