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トーキョー・アートエッセンス
No.021 出会いがしらでできていくCETという偶然 2003年、TDB-CEとしてスタートしたCET。
語り手:ASYL アートディレクター 佐藤直樹 氏
2003年「TDB-CE(東京デザイナーズブロック・セントラルイースト)」としてスタートし、2004年より名称変更した「セントラル・イースト・トーキョー(CET)」は、浅草橋から日本橋あたりに至るエリアで開催される、アート、デザイン、建築の複合イベントです。既存のギャラリーやショップだけでなく、リノベーションされたビルや街自体が、実験の場になっています。今回は、プロデューサーである佐藤直樹さんに、CETとは何か? CETによる街の変化などについて、お話しいただきました。

問屋街をクリエイティブの街に
CET07より。空きビルの一室が、作品展示の会場に変わる。
CET07より。空きビルの一室が、作品展示の会場に変わる。

 僕らが「CET(セット)」と呼んでいるイベント、それが「セントラル・イースト・トーキョー」です。文字通り東京の中心から東のエリアで、アート・デザイン・建築といったクロスジャンルの実験を行ってきました。僕たちがはじめて足を踏み入れた2003年ごろは、まだこのエリアにクリエイティブと言えるものはありませんでした。いわゆる問屋街で、空きビルも目立っていたんです。そこで「TDB-CE(東京デザイナーズブロック・セントラルイースト)」というイベントを開催し、デザインやアートのジャンルで活動するクリエイターたちの発表の場を、街全体の中につくりました。

 ただ、CETはイベントとはいっても、いわゆる情報やサービスを提供するイベントとは質が違うものです。会場は空きビルの中から探し、その現場からインスピレーションを得て企画を考えていきます。しかし空室は、急に「借り手が見つかったので使用できません」と言われることもあるもの。CETは突発的で、出会いがしらで企画ができていくというか、そういう面白さが街に展開するものなんです。これまでも、そういった偶然性で続いてきました。

 ですから僕たち主催者は、イベントとして紹介されると申し訳ない気持ちにもなるんです。情報発信側として非常にサービスが悪いと思っていますし。ただ、やる方の立場としては、偶然性を含んだことがしたいんですね。計画通りっていうのは面白いことではないので。でもイベントや展覧会を開催するという情報の量は、本当にはんぱなくて。例えばCET07の「かえる目(もく)」のライブをホームページで探しても、簡単には見つからないんです。同じ日、同じ時間に行われているライブ、パフォーマンス、展示も非常に多い。その整備もまったくしていないので、僕自身も「あの会場に行きたいのに、ここを離れられない!」ということが多々あったくらいです(笑)。


サービスよりも場所と可能性を提供したい
CET08の会場のひとつ、馬喰町交差点近くにあ 
る「大原第五ビル」。元は歯医者、床屋、スナック、雀荘などが入って いた。レトロな雰囲気もそのままに、エキシビションやトークショー、 ライブパフォーマンスなどが行われる。

CET08の会場のひとつ、馬喰町交差点近くにある「大原第五ビル」。元は歯医者、床屋、スナック、雀荘などが入っていた。レトロな雰囲気もそのままに、エキシビションやトークショー、 ライブパフォーマンスなどが行われる
CET08の会場のひとつ、馬喰町交差点近くにある「大原第五ビル」。元は歯医者、床屋、スナック、雀荘などが入っていた。レトロな雰囲気もそのままに、エキシビションやトークショー、 ライブパフォーマンスなどが行われる。

 ASYLの地下スペースも、CETの期間中に何かできないかと考えています。事務所の一部というのではなく、勘が働く人が勝手に入ってこられるような、ずっと居られるようなスペースになったら面白いかなと。それは、ギャラリーやカフェ、ライブラリーでもいいのですが、意外にフリースペースというものが無いので、そういった場所にできたらいいなと思っています。結局、何かに特化してしまうと、例えば「あそこに行けばアート作品が見られる」というように「そこに行けば何がある」というのが逆につまらない。それよりも、正体不明でよくわからない場所だけど、その時起こったことに対応できるような場所が、もっと東京に増えていいのではないかと思っています。

 渋谷や六本木にもさまざまなスペースやサービスがありますが、これらは人の流れから自然発生的に出てきている動きではなくて、商業的にコントロールされたものです。どの業種もサービスの質が上がっているから、僕たち素人は手を出せないわけです。そんな場所でCETのようなイベントをしても、あまり面白みを感じないでしょう。そういった意味でも、東神田エリアは今後も転換していく芽のある場所だと思っています。もちろんまだどうなるかわからないですけどね。少なくともCET始めた時期からこの数年間、いろんなことが起こっています。前回のCET07の会場で主だったところは、現在全てデザイン事務所やギャラリーなどのテナントで埋まっていますから。「東京R不動産」での紹介、世の中のリノベーションブームなど、いろいろな状況が重なったことも大きいですね。これからも、街はますます変わっていくでしょう。変わってくれば、それに引っ張られていろんなものが変わって、街全体が面白くなっていくと僕は思っています。


インフォメーション

■CET08
 TIME / SPACE / TRANSFORM
 時間 / 空間 / 変換
 2008年12月5日(金)〜12月14日(日)

僕たちが毎日ここで過ごしているとき、「夜を過ごす」という時空間の欠如を感じました。先に述べたとおり、街は変化してきています。しかし、パブリックに開かれた場所が、まだまだこのエリアには足りません。毎年のことですが、スケジュール通りに見せている展覧会もあるでしょうし、突発的なイベントも行われています。ぜひ皆さんの足で、クリエイティブな彩りが添えられたエリア、街を楽しんでみてください。
http://www.centraleasttokyo.com/08/

インタビュー・文/藤田千彩


次回は…
引き続き佐藤直樹さんに、近道をしない生き方についてお話しを伺います。[1月15日(木)アップ予定]

佐藤直樹(さとうなおき)  佐藤直樹(さとうなおき)
photo: Masanori Ikeda

1961年東京生まれ。北海道教育大学卒業後、信州大学で教育社会学・言語社会学を学ぶ。美学校菊畑茂久馬絵画教場修了。肉体労働から編集まで種々様々な仕事を経た後、翔泳社でコンピュータのマニュアル制作やその周辺のデザインに関わる。『WIRED』日本版創刊にあたり米国でプレゼンテーションしアートディレクターに就任。現在『ART iT』『DAZED & CONFUSED JAPAN』等のエディトリアル以外にもデザイン全般に渡る仕事を行っている。森美術館「六本木クロッシング2007」ではキュレーションとアートディレクションを兼務。CET(セントラル・イースト・トーキョー)プロデューサー。ASYL(アジール)主宰。多摩美術大学造形表現学部デザイン学科准教授。
http://www.asyl.co.jp

 
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