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トーキョー・アートエッセンス
No.026 世界を視野に、日本の現代アートを発信する
語り手:精神科医・コレクター 高橋龍太郎 氏
7月15日(水)まで上野の森美術館で開催中の展覧会「ネオテニー・ジャパン−高橋コレクション」。本展は、コレクションを築き上げた精神科医の高橋龍太郎さんがこの10年間で収集した1000点以上の作品の中から、日本の若手アーティスト33作家の作品を展観するもので、連日大盛況です。今回は、高橋さんをインタビュー。展覧会の概要、これからのアートについて伺いました。

天明屋尚《ネオ千手観音》2002年
天明屋尚《ネオ千手観音》2002年

90年代から00年代の日本美術を一望する

 自分が好きな作品ばかり集めていますから、本音を言うと、好きな人とワインでも飲みながら、作品について語り合うことこそ幸せだと思っています。ところがいつの頃からか、美術館から「高橋さんがコレクションした作品を貸して欲しい」と言われることが多くなりました。やがてそのコレクションを広く見せたらという話に発展して、2004年に神楽坂、2008年に白金に「高橋コレクション」というスペースをつくり、定期的にコレクションを公開するようになったんです。私が自分のコレクションを見てほしいからというのではなく、先にもふれましたが、作品の力があるからこそ押し出されて世の中に見せていくという感じですね。

 私がコレクションしているのは現代美術作品ですが、コンテンポラリーアートというのは、これまでの美術史をアーティストが咀嚼、批評して新しいものを生み出すもの。もちろん個人の才能の有無はありますが、そういった美術の歴史を踏まえてつくられていく、と私は考えます。国内外で「ナラムラカミ」と呼ばれている奈良美智や村上隆といったアーティストは、マンガやアニメといった日本のサブカルチャーから影響を受けたと言われているように、90年代以降に制作された作品にもそのような特徴があります。

 今回の展覧会「ネオテニー・ジャパン−高橋コレクション」は、これまで紹介されなかった90年代から00年代の日本の現代美術を一望できる構成になっています。まさに日本のアートの一時代を切り取ったもので、「これが日本の現代アートだ」と世界に発信できる展覧会だと思っています。これまで鹿児島の霧島アートの森美術館、札幌の芸術の森美術館、そして現在の上野の森美術館へと巡回し、その後も3ヵ所以上の美術館で見ることができる予定です。いずれは海外の美術館で、ということも視野に入れています。


会田誠《紐育空爆之図-にゅうようくくうばくのず-(戦争画RETURNS)》1996年
会田誠《紐育空爆之図-にゅうようくくうばくのず-(戦争画RETURNS)》1996年

世界で一番のアワードができる街、東京

 昨年夏、アートバブルがはじける頃から、若手アーティストに一時期の元気のよさが感じられません。でもそんなことは、長期的に見たら小さな波にすぎない。私はこれからも、アートの同伴者としてコレクションを進めていきます。とはいえ、アーティストの生活が苦しいからといって、そういった作家の作品を購入することはしません。そんなことで買うのは失礼ですし、それによってアートマーケットが活性化したり、アーティストの健全な発表行為や環境が保てるものではないからです。

 日本には、東京都現代美術館の長谷川祐子さん、国立新美術館の南雄介さんのように、世界でも通用するキュレーターがたくさんいます。「ネオテニー」といえども、日本も力をつけているのです。東京都も、アート支援のために予算があるなら、ちまちま使わないで世界で一番のアートアワード開催をめざしたらいいんです(笑)。日本の優秀なキュレーターが企画し、審査員として世界中から第一線の批評家などを集めるんです。合い言葉はひとつ、「ターナー賞をこえて」です。日本のアートに注目が集まることでしょう。そうなるとアーティストも切磋琢磨して、アートシーン全体が自然と活性化し、健全なシステムができあがるのではないでしょうか。アートというのは、国境、宗教を超える唯一のもの。オリンピックに匹敵するイベントになるでしょう。政治家の人たちがもっとアートに注目してくれたら、日本は大きく変わると思いますよ(笑)。

Information

池田学《興亡史》2006年
池田学《興亡史》2006年

■ネオテニー・ジャパン−高橋コレクション
世界から注目を集める1990年代以降の日本の現代アート。高橋龍太郎氏が収集した1000点以上のコレクションから、日本のアートシーンを語る上で欠かせない作家33名の作品(絵画、立体、映像、インスタレーション)約80点を一挙公開。

<出品作家>
会田誠、青山悟、秋山さやか、池田学、池田光弘、伊藤存、小川信治、小沢剛、小谷元彦、加藤泉、加藤美佳、工藤麻紀子、鴻池朋子、小林孝亘、佐伯洋江、さわひらき、須田悦弘、高嶺格、束芋、千葉正也、できやよい、照屋勇賢、天明屋尚、奈良美智、名和晃平、西尾康之、町田久美、Mr.、三宅信太郎

会場/上野の森美術館(JR上野駅公園口より徒歩3分)
会期/2009年5月20日(水)〜7月15日(水) ※会期中無休
時間/10:00〜18:00(金曜日は〜20:00) ※入場は閉館の30分前まで
料金/一般1,200(1,000)円、大学生・高校生1,000(800)円、中学生以下無料
※( )内は前売券及び20名以上の団体料金
電話/03-3833-4191(上野の森美術館)
展覧会公式ホームページ
http://www.neoteny.jp

Courtesy the artist and Mizuma Art Gallery

次回は…
幅広い分野で表現活動を続けている、いとうせいこうさんをインタビュー。9月に開催される「したまちコメディ映画祭in台東」と、初の映像作品コンペ「したまちコメディ大賞2009」(7月14日必着)などについてお話しいただきます。[6月25日(木)アップ予定]
※コンペの詳細は、公式HP(http://www.shitacome.jp/2009)でご確認ください!
高橋龍太郎(たかはしりゅうたろう) 高橋龍太郎(たかはしりゅうたろう)

1946年生まれ。精神科医。医療法人こころの会理事長。専門は社会精神医学。東邦大学医学部を卒業後、慶応大学精神神経科入局。国際協力事業団の医療専門家としてペルーへ派遣などを経て、1990年、タカハシクリニックを東京都蒲田に開設し院長となる。田町、目黒、品川、川崎などに診療所をもつ。1997年より日本の若手アーティストを中心に現代美術のコレクションを開始し、所蔵作品は現在約1000点を数える。2004年、コレクションを公開するアートスペース「高橋コレクション」を神楽坂にオープン。2008年、白金に新スペースを開設し、2009年4月には日比谷へ移転拡大する。主な著書に『あなたの心が壊れるとき』(扶桑社文庫)、『人生にはいらない人間関係がいっぱいあるー気持ちをラクに生きるヒント』(青春出版社)など多数。

 
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