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トーキョー・アートエッセンス
No.027 ローカルとグローバルが同時にある映画祭
語り手:クリエーター いとうせいこう氏
小説家、タレントという枠を越えて、舞台・音楽・映像・ウェブなど幅広い分野で表現活動を続けているクリエーターいとうせいこうさんは、浅草在住14年! まちの顔として、現在「たいとう観光大使」を務められています。今回は、浅草というまちの魅力、総合プロデューサーとして企画・運営されている「したまちコメディ映画祭in台東」の見どころ、初のコンペティション「したまちコメディ大賞2009」についてお聞きしました。

昨年の「したコメ」レッドカーペットの様子 (c) 2008 したまちコメディ映画祭in台東実行委員会
昨年の「したコメ」レッドカーペットの様子 (c) 2008 したまちコメディ映画祭in台東実行委員会

このまちにしかない魅力を「映画祭」で発揮する

 美意識が凄く高くて、ものをよく知っている。それが浅草の人たち。ふつうの商店のおじさんなんだけど、ちょっと話してみたら、着物と帯に関してはなんて通なんだろうって驚いたりする。当然、着物を着るってことは長唄だなんだってお稽古をしているわけで、古典芸能の知識もある。そんなおじさんが「こないだパリに行ったとき」なんて、西洋の美術の話もする。普段はそんなこと言わないんですよ。黙っているんですね、そういうことは。だけど舞台も見ているし、美術も知っているし、食事にも詳しいし。浅草は、もの凄く刺激的なまちというか、勉強しなきゃって気にさせられるまちです。

 もともと僕は、浄瑠璃、義太夫節をやりたかったんです。そしたら、お母さんみたいに慕っていた芸者さんが「最初はそんな難しいところからやらないで、小唄からやった方がいいわよ」と、師匠を紹介してくれて。弟子入りしてお稽古へいくじゃないですか。そうすると師匠が「あのお芝居はいいわね」とか言ってるわけ。この辺の人が言う芝居って歌舞伎のことなんですけど、歌舞伎もよく知ってるんだなってことがわかる。それから何年か経って「今回の住大夫さんはお聞きになったの?」と、急に人形浄瑠璃の話。関西の芸能ももちろんわかってる。そういう伝統芸能の入口が、まち中にあるんですね。

 新しいもの好きっていう面も、したまちには凄くある。明治時代、チャップリンやキートンといった海外の新しいコメディ映画がいちばん早く入ってきたのが浅草。入ってきたものをパロディにして喜劇が発展していったのもこのまち。寄席があって、映画館もあって、芸人さんたちも住んでいて、そういう土壌にのっかってる映画祭をやったらきっと面白くなるんだろうなって。それで去年から「したまちコメディ映画祭in台東」をはじめたわけです。コメディ映画の傑作を新旧あわせて上映して、連日大盛況でした。

 特に、昨年のレッドカーペットは、ゲストが人力車で乗り付けて登場したり、雷門から浅草寺までずーっと敷き詰めて、その上を芸者さんと鳶の若い衆が、監督と役者さんたちを先導したり。お客さんが何万と集まって、凄く盛り上がった。『メリーに首ったけ』のファレリー監督も、また来たいって言ってたし。このまちの特色を全面的に出すこと、海外に向けても東京って面白いなと思わせるものを目指しているんですね。やっぱり、観光資源としての東京の面白い部分を、他のまちにはないだろっていうところを見せたいわけですよ。今年も、さらに東京だなっていうものを用意しています。外国の人は本当にしびれちゃうと思うし、都も「何でもっと深く協賛しておかなかったんだ!」って驚くと思う(笑)。9月22日は、ちょっと面白いことになりますよ。


昨年の「したコメ」の様子/バカ映画に愛を込めて by みうらじゅん&いとうせいこう (c) 2008 したまちコメディ映画祭in台東実行委員会
昨年の「したコメ」の様子/バカ映画に愛を込めて by みうらじゅん&いとうせいこう 
(c) 2008 したまちコメディ映画祭in台東実行委員会

笑いのセンスを映像作品で試す絶好の機会

 これまで浅草、上野は、たくさんの喜劇俳優なりコメディアン、芸人さんを輩出してきた。それって、育てるのがうまかったってことなんですよ。いまの時代に当てはめれば、コンペでしょ。それで今年から「したまちコメディ大賞2009」というコンペを創設したわけです。1位をとったからいいというわけではなく、落ちた人でも観客の誰かが気に入って「まあ、うちでメシ食ってけ」って感じになってくれるといいなっていうもの。このまちは、誰が贔屓だ贔屓じゃないっていうのがうるさいんだけど(笑)、贔屓だと言ったら死んでも守るみたいなところがあるからね。そうやってまち全体で、才能をバックアップしていきたいと思っているんです。

 僕は応募作品を見てないんだけど、裏の話を聞くと委員たちは何かホクホクしてる感じなんだよね。結構来てるみたいです、しかもわりと優秀な作品が。お笑いに関して、いままで出しどころがなかったんじゃないかな。面白いことを表現しようとすると、基本お笑い芸人になっちゃうじゃないですか。そこに向かない人もいるわけでしょ。脚本とか映像で表現できる笑いの感覚ってあると思うのね。プロ・アマ問わず、やっぱりそこをすくい上げたい。だから審査も、誰が気に入ったのかわからないまま選評を聞いて終わり、そういうのっていやだから、クローズドなものではなく、ここが惜しかったとかハッキリしたい。

 作品は、コメディだったら、ペーソスでもユーモアでもギャグでもそうじゃなくてもいい。そういう意味では、笑いって凄く広いものなんだよね。でも、あるセンスだと思うから、それを問いたい。とにかく面白ければいいわけですよ。他のコンペに出しても、笑いって軽く見られるでしょ。何だ笑いかって。悲劇の方が感動するだろみたいなことになって、人が元気になるものが通りにくかったんじゃないかな。これ笑えるってだけで、何かこう小さなものになっちゃうというか。でも、笑いって難しいんだよね。

 あと2週間で締切ですが、どんどん作品を送ってください。見る人たちも、笑いに厳しい人だったり、数々の映像作品を見てきた人、プロとバラエティに富んでいます。こちらとしては、才能を育てたい。才能をここから出したいという気持ちでやっているので、是非。応募要項に「10作品選出」と書いてあるけど、僕が考えているのは、こういう決まりを変えてしまうような状態が好ましいと思っていて。これ10作品無理だなあ、もう15作品にしていいかでもめるとか、特別賞もつくらないと話にならないみたいな。ルールが変わってしまうようなパワーのある作品を待っています。

Information

■第2回したまちコメディ映画祭in台東
初のコンペ「したまちコメディ大賞2009」作品募集中!(7/14必着)

昨年、85,000人以上の来場者でにぎわったコメディ映画の祭典「したまちコメディ映画祭in台東」。今年は、9月21日(月・祝)〜9月25日(金)に開催決定!
初のコンペティションに向けて、作品を募集しております。詳細は、公式ホームページよりご確認ください。

審査員  :  大林宣彦、岸本加世子、しりあがり寿、いとうせいこう 他
 :  グランプリ1作品(賞金50万円、賞状)/観客賞1作品(賞状) など
応募条件  :  上映時間が20分以内の「コメディ」映像作品であること
2008年1月1日以降に完成したオリジナル作品であること
監督が映画祭に参加できること ほか
※「コメディ」の定義は広く応募者の解釈によるものとします
応募素材  :  作品DVD、作品スチル2点、監督写真1点、応募フォーム
応募締切  :  2009年7月14日(火)必着
審査方法  :  8月上旬、予備審査にて入選作品10作品を選出
映画祭開催中、会場で上映。審査員、観客の評価にて賞を選出
公式HP  :  http://www.shitacome.jp/2009/compe
次回は…
引き続きいとうせいこうさんに、21世紀の小説とは? アートとは? など、クリエーターの視点で表現活動とその発想の源についてお話しいただきます。[7月23日(木)アップ予定]
いとうせいこう いとうせいこう

1984年、早稲田大学法学部卒業後、講談社に入社。「ホットドッグプレス」編集部などを経て1986年退社。その後、作家・クリエーターとして、活字・映像・舞台・音楽・ウェブなど幅広いジャンルで表現活動を行い、カルチャーシーンに影響を与え続けている。学生時代より舞台活動をはじめ、音楽家としてもジャパニーズヒップホップの先駆者として活躍。主な著書に『ノーライフキング』、『ボタニカル・ライフ』(講談社エッセイ賞受賞)、みうらじゅん氏との共作『見仏記』シリーズなど多数。ウェブでの新しい試みとして、2009年より「連載小説空間 through いとうせいこう」で小説の連載を開始。動画専門チャンネル「plants +」を監修。現在たいとう観光大使を務め、今秋開催される「したまちコメディ映画祭in台東」の総合プロデューサーとしても活躍している。
http://www.cubeinc.co.jp/ito/

 
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