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トーキョー・アートエッセンス
No.033 アート情報を適切な形で報道する
語り手:ART iT編集長 小崎哲哉さん
10月末、「ヨコハマ国際映像祭2009」に作品を出品する予定だった作家が突然、出品を辞退するというニュースが流れました。その発信源となったのが、ART iTというウェブサイトです。作家本人による発言はART iTのブログが舞台となり、それに対する映像祭サイドの見解も同サイトからリンクが貼られ、閲覧者は一連の流れを追うことができました。このように「アートの世界で起こっている動きを、適切な形で読者に届けたい」とアート情報の発信を続けているのが、ART iT編集長の小崎哲哉さんです。今回は、アートと発信メディアについてお話しいただきました。

ART iTでの「CREAM ヨコハマ国際映像祭2009」特集ページ(〜2009.11.29)。続報は「藤幡正樹はなぜ出品を辞退したのか」と題され、下記URLに掲載されている。
ART iTでの「CREAM ヨコハマ国際映像祭2009」特集ページ(〜2009.11.29)。続報は「藤幡正樹はなぜ出品を辞退したのか」と題され、下記URLに掲載されている。
http://www.art-it.asia/u/admin_columns/YtTiJo3kczqDVj0KEFNG

情報誌としての機能を持つART iT

 10月30日に「ヨコハマ国際映像祭2009」の記者会見があって、その席上で藤幡正樹さんが出品辞退のお話をされたんですね。それから、ART iTのブログに、藤幡さんご自身がポストした。内容についての反応は、いろんな立場によって個々人受け止め方が違うと思いますが、これは当事者が自ら発した情報です。僕の中でART iTは、情報誌という位置づけなんですね。ですから、情報誌が第一義的にやることは、まず起こったニュースを伝える。そして、続報をきちんと伝えていくということだと思うんですよ。

 今回は、編集部が報じていくだけでなく、ブロガーの人たちが自分たちなりに意見をつけたり、「ヨコハマ国際映像祭2009」ディレクターの住友文彦さんが映像祭のメディアで見解を動画配信されました。同じインターネットで見られることなので、僕らはリンクを貼る。映像祭の報道は、ウェブサイトというメディアの特性がうまく機能したケースだと思いますね。それは、起こった中身のことではなく、報道とメディアのありようとしてということですが。みんなの知りたいことに応えるのに、ウェブサイトは現段階では非常にいいメディアであると思います。


時代の変化に合わせたメディアを使う

 もともとART iTは6年前に創刊した雑誌で、2009年7月からオンライン版に完全移行したものです。僕はずっと紙の編集者だったので、紙がなくなるのは断腸の思いで非常に残念でした。いまでも機が熟したらもう一回紙でつくりたいと思っています。ただウェブに移行したのは、紙ができないから仕方なくオンラインをやるということではなく、もっとポジティブな意味があるんです。ART iTは、アジア・パシフィック地域内のアーティストやアートラバーの情報プラットホームになればいいとの思いで編集してきたのですが、実は一番大きなネックは、紙であることでした。

  紙、つまり印刷物は、取材、執筆、デザイン、入稿、校正などの行程があって、雑誌になるまでに最低でも数週間かかってしまいます。それは、刻々と変化する状況に対応できないということでもあって、非常に大きなマイナスだったんですね。それがウェブサイトになることで、かなりリアルタイムに近い形での情報受発信ができるようになった。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の導入で、コミュニティがつくれたり、コメントがつけられたりすると、さまざまな形のコミュニケーション、意見の交換、インタラクションが可能になりますし。紙媒体をやめたデメリットもたくさんありますが、それを補って余りあるものが、いまのウェブサイトにはあると思っています。

REALTOKYOトップ画面。東京のカルチャー情報を検索できる。
REALTOKYOトップ画面。東京のカルチャー情報を検索できる。
http://www.realtokyo.co.jp

日本と海外、双方向の情報伝達を目指す

 当初からインターネットには、「これであなたも世界に発信できます」というプロパガンダがある。確かに世界につながってはいるけれど、見に来てもらえなければそれはつながっているとは言えませんよね。ART iTはバイリンガル仕様ですが、本当はマルチリンガルでやりたいと思っています。やっぱり、日本から近い国、お隣の国のことも知りたいし、この国のことを知ってほしいから。それに、非欧米諸国のアートシーンは孤立している気がします。例えば、お隣の韓国で最も影響力のある美術評論家って誰だか知っていますか? 中国の批評家は? ほとんど知らない。それって単純におかしいじゃないですか。グリーンバーグとか、ニコラ・ブリオーとか、欧米的なアートヒストリーに関係するものはみんな知っているのに。この状況って孤立ですよね。

 REALTOKYOというウェブサイトも編集・運営していますが、当初の野望は「REAL何とか」をいっぱいつくっていこうというものでした。「REAL BEIJING」「REAL RIO DE JANEIRO」とか。「REAL MADRID」をつくるとサッカーチームになってしまうんですが(笑)。アートに限らず、観たり聴いたりするものは、根本的に都市文化だと思うんですね。世界中の都市のアクセスを容易にすることが、その国のカルチャー情報を得るのに一番いい方法だと。そういう意味で、世界制覇ができればと妄想しています。また、メディアは生き物なので、どんどん変えていきたい。最近、ART iTでは、批評家の椹木野衣(さわらぎのい)さんと清水穣さんの連載をはじめました。また、田中功起さんの提案に基づき、往復書簡という形で、美術の制度に根幹的に関わる問題を提起するといった企画もあります。できればそういうものを、国内外へ向けてもっと増やしていきたいですね。

次回は…
引き続き小崎哲哉さんから、若手作家のみなさんに向けてメッセージをいただきます。[1月28日(木)アップ予定]
小崎哲哉(おざきてつや) 小崎哲哉(おざきてつや)

1955年東京生まれ。バイリンガルアートウェブマガジン『ART iT』発行人兼編集長。京都造形芸術大学客員教授。大学時代に単身渡仏し、1980年帰国。新潮社入社後の1989年、都市型文化情報誌『03 TOKYO Calling』を立ち上げ副編集長に就任。その後、松井今朝子監修による『デジタル歌舞伎エンサイクロペディア』で、財団法人マルチメディアコンテンツ振興協会主催の「1995年度マルチメディアグランプリ・パッケージ部門教育作品賞」、「仏MILIA D`OR 1996 審査員特別賞」を受賞。1996年、インターネットエキスポ日本テーマ館『Sensorium』のエディトリアルディレクション担当。1999年、日英バイリンガルのカルチャーウェブマガジン『REALTOKYO』(http://www.realtokyo.co.jp)創刊。2003年『ART iT』を創刊し、2009年よりウェブサイトへ移行(http://www.ART iT.asia/top)。

 
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