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トーキョー・アートエッセンス
No.038 アーティストが主導権をもち施設を運営する
語り手:3331 Arts Chiyoda統括ディレクター 中村政人さん
2010年6月、秋葉原に新たなアートスペース「3331 Arts Chiyoda」がグランドオープンします。「3331」とは、江戸時代から受け継がれてきた江戸の一本締めを表し、地域社会に根差した芸術・文化プロジェクトを発信する場となることを目的としています。今回は、アーティストであり同施設の統括ディレクターである中村政人さんに、3331という空間のこだわり、またそこで展開される様々なアートプロジェクトについてお話いただきました。

アーティストの視点で甦った施設

 3331は旧練成中学校を改修したアートスペースで、展示空間の設計には相当こだわりました。壁の内側に人が入れるようにして電気の配線が表に出ないようにするとか、壁の表面をパテ仕上げにして、穴があいたらパテでふさいでペーパーをかければ元通りになるとか。幅木を使っていないのは、その方が壁と床のエッジがきれいに見えるからです。コーナーにこだわるだけで、空間全体がきれいに見えるんですね。床が真っ白というのもポイント。ホワイトキューブの美術館でも、なかなか床まで白くできないでしょう。僕がこれまで現場で培った経験が建築改修の判断につながっていますから、通常の施工主が工事をしてでき上がる空間と全く違うと思います。最小限の費用で、最大の効果は上げられたかなと。

 この場所は、いずれみんなが楽しんで使ってくれる場所になってほしいのですが、まだまだ固いところがいっぱいあります。オープンしたばかりなので、雰囲気づくりはこれから力を入れていきたいですね。今後は、自発的にものをつくる人たちが多く集まって、この建物の建築的なパフォーマンスを引っぱってくれるようなイベントをやっていきたいと考えています。空間利用の自由度が高いのは、アーティストが主導権をもって運営に携わるからこそだと思いますね。

開館記念展 第1弾「見るまえに跳べ」藤浩志 VPC発Kaekko経由Toys Paradiseより Photo:Ujin Matsuo
開館記念展 第1弾「見るまえに跳べ」藤浩志 VPC発Kaekko経由Toys Paradiseより
Photo:Ujin Matsuo

開館記念展 第1弾「見るまえに跳べ」アーティスト・イニシアティブ・コマンドN Regional Code Asia 〜右と言えば左02〜より
開館記念展 第1弾「見るまえに跳べ」アーティスト・イニシアティブ・コマンドN Regional Code Asia 〜右と言えば左02〜より


3331における若手アーティストの活動

 学生に関して言うと、自主的に自分たちの番組をつくって発信する「ななチャン(学生メディアセンターなないろチャンネル)」を3331で開局して、今いろんな学生が関わりはじめているんですね。これは応援していこうかなと。あとは「Insideout / Tokyo Project」といって、地域で活動している様々なアーティストや団体と東京のプロジェクトをクロスさせる活動をはじめました。一般社会人、いわゆる若手アーティストが非コマーシャルの中で生きていこうとした場合、地域に根差した活動をしない限り生きていけないんですよ。コマーシャル系で生きていくサポートプログラムは、甘やかし過ぎって思うくらいいっぱいありますが、それをやるつもりは全然なくて。美術館や画廊がなくても作品をつくっていける、また作品と言われる環境をつくっていきたいんですね。そして、そのエネルギーが街に落ちていく。そういったアートプロジェクトを積極的にやっていきます。

 当然この3331の箱自体が美術館的な、ある程度のスケールをもった展覧会ができるので、その機能をフルに発揮できる企画を実施していきます。今後の展覧会のラインナップも、僕らの企画だけでなく、相当面白い人たちがいろいろな提案を持ちかけてくれているので、秋に向けても話題をさらっていくと思います(笑)。今はまだ詳細を言えませんが、例えば3331内のカフェは、「カフェラボ」といって厨房だけ貸し出す仕組みがあるんです。ですから、プロの厨房をつかって料理のイベントも開催できる。食にアートを取り入れている方も参加しやすいんですね。また「CET(セントラルイースト東京)」との連携も考えているので、もっともっと東京の東側が熱くなると思います。敷居はどんどん下げつつ、逆にクオリティは上げていく。そんな活動をオルタナティブに展開していきます。

「Insideout / Tokyo Project」展示風景
「Insideout / Tokyo Project」展示風景

開館記念展 第1弾「見るまえに跳べ」八谷Pプロデュース「エクストリームDIY」by 中川基/荻野剛/鈴木ヒロシより
開館記念展 第1弾「見るまえに跳べ」八谷Pプロデュース「エクストリームDIY」by 中川基/荻野剛/鈴木ヒロシより


表現活動を続ける作家へのメッセージ

 僕は批評性をもって制作してきた側の人間だと思っています。自分自身に対してある種の批評性をもつということは、他者の中にある自分、自分の中にある他者性がクロスしてくるんですね。表現って必ずこの部分に戻ってくるものなので、おのずと自分に対して厳しくならざるを得ない。そういう中で創作し続ける自己を確立していくのは、1年2年でできることじゃないけど、逃げないという意志も必要です。よく言うのは、自分の場所を自分でつくる努力をしましょうと。人の手のひらで遊んでいるだけだと、自分の場所という意識は出てこない。自分の場所だと感じるところには必ず本質的なことが宿ってくるので、ごまかしのきかない、逃げられない部分が出てくるんです。その壁にぶつかって、実直に乗り越えようと努力する。表現を継続していくためには、それしかないですね。

 自分の場所をもたず、美術館やギャラリーなど、美術をとりまく制度に甘んじていると、その人たちのために作品をつくったり、批評のために作品をつくってしまうことも多々あるわけです。しかし、これはアートの本質ではないですよね。また、評価をされても、ただ褒められましたで終わりでなく、その論点にどれだけ自分の問題点がくみ取られているか。さらにそこに自己批評をかけないといけない。つくるとはどういうことなのか。見せるとはどういうことか。そこを問うような場所を、アトリエの中だけでもいいけど、何か外につくり出すようなチャレンジをしてほしいですね。それが一番勉強になるし、アートシーンに対して直球だと思います。


■グランドオープン記念展「3331 Presents TOKYO : Part1」

2010年6月26日(土)にグランドオープンする3331 Arts Chiyodaは、ギャラリースペースに加え、カフェ、ラウンジ、屋上菜園、レジデンスプログラムなどの機能を新たに備え、本格的な活動を展開します。グランドオープンを記念する本展では、東京という都市の中で生まれた表現を一挙公開。3331を拠点に創作活動を展開する入居団体から選出された18人のアーティストの作品が、会場に広がります。

<出品作家>
大谷有花、桑久保徹、原良介、水谷一(以上、AKIBA TAMABI 21選)、大原大次郎、佐藤直樹(以上、ASYL選)、黒宮菜菜、鶴見幸代、山下耕平(以上、谷門美術選)、緒方範日、小出泰介、中島英樹、三井美幸(以上、g3 / gallery選)、来海優、河野里沙(Bambinart Gallery選)、稲葉英樹(+81 Gallery + Lab選)、伊藤ガビン(BOCTOK選)、大曽根朝美(command N選)

・会期:2010年6月26日(土)〜7月25日(日)

・会場: 3331 Arts Chiyoda
千代田区外神田6丁目11-14(東京メトロ銀座線末広町駅4番出口より徒歩1分他)
・開場: 12:00〜19:00(日〜木)、12:00〜20:00(金、土)
※入場は閉場の30分前まで

・休場:月曜日(祝日の場合は火曜日)
・料金:一般800円、高校・大学生500円(中学生以下無料)
http://www.3331.jp

(c)3331 Arts Chiyoda

中村政人(なかむらまさと) 中村政人(なかむらまさと)

1963年秋田県生まれ。アーティスト。3331 Arts Chiyoda 統括ディレクター。東京藝術大学准教授。89年、東京藝術大学大学院美術研究科修士課程修了後、韓国の弘益大学大学院西洋画科修士課程卒業。97年、非営利芸術活動団体「アーティスト イニシアティブ・コマンドN」を主宰し、秋葉原電気街で国際ビデオアート展「秋葉原TV」の開催や、「美術と教育」をテーマにしたインタビュー集の発行など、社会参加型のアートプロジェクトを数多く展開。東京神田の「KANDADA」を拠点に、秋田県大館市の活性化を目的とした「ゼロダテ」、富山県氷見市の「ヒミング」などに携わる。主な個展に、98年「QSC+mV」(広島市現代美術館)、99年「中村政人展―美術の教育1999」(command N)。主なグループ展に、97年「眠れる森の美術」(上野の森美術館EXTRA)、00年「MOTアニュアル2000 低温火傷」(東京都現代美術館)など。01年、第49回ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館出品作、マクドナルドのロゴを用いた《QSC+mV》では国際的な注目を集めた。
http://www.m-lab.org

 
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