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イベント・レポート
No.014
からだが求める化粧を施し、描いた絵に命を吹き込む

総合美容に精通したメイクアップアーティストとして幅広く活躍し、全身にアーティスティックなメイクアップを施す「からだ化粧」でメイクの新しい可能性を提示する小林照子さん。今回は、5月28日に開催される小林さんのトークショー「アート×ビューティ〜日本人にとっての“美しさ”とは?〜」に先駆け、独自の美容観やメイクアップの持つ力について語っていただきました。


肌と意識に働きかけて
全身美を引き出す「からだ化粧」

――小林さん独自のメイクアップ「からだ化粧」とは、具体的にどのようなものなのでしょうか? また、どのような経緯で生まれたのですか?

 私は長年メイクアップアーティストとしてモデルやタレントの肌に触れてきました。肌は脳を薄くのばしたものと言われる通り、脳や心と同じくらいの感度があり、初対面で言葉の通じない外国人のモデルでも、私の手やホットタオルの温もりを感じると、すぐに心を開いてくれる。肌に触れるということは、それくらい人にとって大事な、素晴らしいことなんです。
 顔と体が一枚の皮膚でつながっているように、顔にメイクをする延長で生まれたのが「からだ化粧」です。まず全身を美容液などで丁寧にトリートメントし、肌のコンディションを整えてから、化粧品を手で塗っていく。そこがボディペイントと違うところで、顔にメイクをする時と同じように、からだも露出しているところは指先から足の裏まですべて、肌に合わせて調合したファンデーションを延ばしていきます。そうして自然な肌の美しさを再現するのです。その上からメイクアップカラーを使い、からだの造形や息づかいを感じながら、ひらめきのままに絵を描きます。

生き生きとしたエネルギーにあふれる小林さん。肌の美しさはさすが!
生き生きとしたエネルギーにあふれる小林さん。肌の美しさはさすが!

――全身に施された美しい化粧…。見る者だけでなく、モデルの意識にも変化をもたらしそうですね。

 つい最近、あるモデルが話してくれたんです。「からだ化粧をするようになって自分はきれいになった」と。その人にからだ化粧のモデルをお願いしてもう10年くらい経つのですが、確かに最初の頃より30代半ばになった今の方が、肌も、体型も、ずっときれいなんです。全身に触れられて、人に見られるということは、すごいことだなと改めて感じました。
 からだ化粧は、絵を描く前にベースをきちんとつくり込むことがとても大事です。裸の素肌にただ絵を描いた状態だと、人は他人の視線を恥ずかしいと感じます。ナチュラルでも全身を化粧で覆うことで、服を一枚まとっているような安心感が生まれ、肌と化粧が一体化して完成度も高まるのです。

小林さんが手がける「からだ化粧」の代表作《宇宙たまご》 撮影=藤井秀樹
小林さんが手がける「からだ化粧」の代表作《宇宙たまご》 撮影=藤井秀樹

――今年2月に上演された舞台『煌ダンスステージvol.1』では、ダンスとからだ化粧のコラボレーション「からだ舞化粧」が話題を呼びました。

 舞台の時は、色や陰影のコントラストを強くつけ、客席から見て映える化粧を意識しています。絵のイメージはあらかじめスケッチしますが、本番の舞台を観て初めて気づくこともたくさんあるので、上演期間中も毎日変わっていくんですよ。たとえば、演者があるポーズをとった時に、鎖骨から肩のところに照明がパーッと当たって、とてもきれいだと思ったら、翌日はその部分にポイントを置いてメイクする。そうすると演者もそれを意識して、少し長めにそのポーズをとる。そうして一緒につくり上げていくんです。メイクをする者とメイクをされる演者が、互いに呼応し、インスパイアされる。それも、からだ化粧の持つ力なのかなと思います。

ダンスとのコラボレーションで観客を魅了した「からだ舞化粧」。(『煌ダンスステージvol.1』より)撮影=村尾昌美
ダンスとのコラボレーションで観客を魅了した「からだ舞化粧」。(『煌ダンスステージvol.1』より)
撮影=村尾昌美


美しいものへの感動が創作の源泉

――美術に大変お詳しいとうかがっています。どういう化粧を施すか、美術鑑賞から発想のヒントを得ることもありますか?

 それはあります。からだ化粧のためにアートを観ているわけではありませんが、国内外の美術館にはよく足を運びますし、自分の中に蓄積された作品のイメージが、ふとした拍子にインスピレーションをもたらしてくれるんです。以前はただ観て楽しむだけだったのですが、美術出版社のアートスクールに通って美術史を勉強したのを機に、美術への興味が深くなりました。
 弊社のスタッフいわく、私はいろいろなものを見て「きれいねぇ」とよく口にするらしいのですが(笑)、確かに子供の頃から美しいものが好きでしたね。たとえば、疎開先の山形で見た四季折々の田んぼの風景。稲穂が出て、青々とした緑から徐々に黄金色へと変わり、頭を垂れていく様は例えようもないほど美しく、その感動は今でも忘れられません。

――自然の中で育まれた美意識が、小林さんのメイクアップに生かされ、アートへの興味にもつながっているのですね。

 私は色彩と造形に興味があるのだと思います。顔やからだは、いわば彫刻ですよね。メイクは、それをメイクでさらに彫っていくイメージです。ということは、一から自分で彫ったらどんなに面白いだろうと思うじゃない? それで今、プライベートで木彫りを習っているんです。やってみたら、やっぱり面白いんですよ。特に着色はからだ化粧と同じで、ニュアンスのある色使いが独特だとよく言われます。自分の好きなものを再確認し、知らなかったことを発見する。そこから新たな創作が生まれるのではと、自分でも楽しみなんです。

小林照子(こばやしてるこ)

小林照子(こばやしてるこ)
美容研究家、メイクアップアーティスト。1935年、東京生まれ。潟Rーセーにて美容研究や商品開発、教育に携わり、85年に同社初の女性取締役に就任。並行してモデルやタレントのメイクを数多く手がけ、メイクアップアーティストの草分けとしての地位を確立する。91年に独立し、株・ファイン研究所設立。[フロムハンド]メイクアップアカデミー校長、青山ビューティ学院高等部 東京校・京都校 校長、リバイタライズサロンSion Kyoto主宰、JMAN(Japan Make-up Artist Network)理事を務め、美のプロフェッショナルの育成に注力している。主な著書に『触発〜からだ化粧』『小林照子のメイク力〜年齢を重ねてもキレイになる』『森羅 からだ化粧』等。


TANアートイベント
メイクアップアーティスト小林照子トークショー
「アート×ビューティ〜日本人にとっての“美しさ”とは?〜」
ナビゲーター:藤原えりみ(美術ジャーナリスト)

開催日:2014年5月28日(水)
場所:日比谷図書文化館スタジオプラス
http://hibiyal.jp/hibiya/access.html
時間:19:00〜20:30 (入場 18:30〜)
参加費:無料
定員:先着50名(定員に達し次第締め切り)
申込締切:5月23日(金)

申込方法
申込先メールアドレス|tan@dmail.plala.or.jp
※参加者全員のお名前、当日連絡がとれるお電話番号(複数人の場合は代表者のみ)を明記してください。お申し込みから3日以内に、メールにて詳細をご連絡致します。迷惑メールの受信規制をされている方は、「tan@dmail.plala.or.jp」からのメールを受信できるよう、ご設定ください。

お問い合わせ先
美術出版社Tokyo Art Navigation アートイベント担当
TEL : 03-3234-2155 (平日10:00〜18:00)

インタビュー・文/杉瀬由希

 
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