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イベント・レポート
No.017
笑い、驚き、イライラ、ぼやき……。毎日は“ネタ”に溢れている!

来る9月5日、イラストレーターの五月女ケイ子さんをお迎えしてワークショップ「五月女ケイ子の脱力お絵かき教室」を開催します。そこで今回はワークショップに先駆け、五月女さんにインタビュー! 一度見たら忘れられないシュールな笑いとノスタルジーにあふれた世界観の源泉についてお話をうかがいました。


マニアックなネタ絵に予想外の需要が

LINE「帰ってきた五月女ケイ子ごあいさつスタンプ」より  © Keiko SOOTOME / LINE Corporation
LINE「帰ってきた五月女ケイ子ごあいさつスタンプ」より
© Keiko SOOTOME / LINE Corporation

――五月女さんは美術学校のご出身ではないんですね。独学で絵を身につけてイラストレーターになられたとは意外でした。描き始めた当初から現在のような作風だったのですか?

最初はガーリーな絵を描いていました。職業として描いていくには、商業的なニーズがある作風のほうがいいかなと思っていたので。ある時、「徹子の部屋」の別の部屋はどうなっているのかを図解するというイラストの依頼がきて、ちょっと怖い感じの絵を描いたんです。別の部屋から「徹子の部屋」に行く途中に罠が仕掛けられている、とか(笑)。それが今のスタイルで描いた最初です。それまでこういう絵は商業的な土壌がないし、社会的に善しとされないだろうと思っていたので、それを描いた時はタブーを犯しているようで(笑)、とても楽しかったんですよ。しかも、このスタイルの絵の方が他のスタイルより褒めてもらえて、それが仕事につながって。気が付いたらこちらのニーズの方が増えていました。

――その後、テレビ番組でもイラストを起用されるようになり、『新しい単位』は書籍にもなりましたね。媒体によって描き方で意識していることはありますか?

『新しい単位』の時は、番組の中で紙芝居風に見せるコーナーの絵を担当していたのですが、テレビは紙媒体の見せ方とまったく違って、10秒とか、長くても30秒くらいの間で視聴者に伝えないといけない。パッと見てすぐわかって、後でじわじわくるような絵にするにはどうすればいいのか、色調など表現の方法を考えるいい機会になりました。週一の番組だったので、終わったらすぐ次のお題がファックスでくるんです。それが楽しくもあり、プレッシャーでもあり。担当していた3〜4年間、部屋に潜伏して描いていたので友達が減りましたが(笑)、番組のディレクターや編集担当の方が毎回私の絵を見て楽しんでくださるのが嬉しくて、それを励みに描いていました。最初は頭で考えて下描きするんですけど、描いている時は気持ちを込めるので、だんだん絵が変わっていく。その過程が楽しいんです。

「パリの関西人の違和感」

「タイミングよく泣ける女性の器用さ」
ともに、書籍『新しい単位』(扶桑社)の挿絵。「パリの関西人の違和感」(上)、「タイミングよく泣ける女性の器用さ」(下)


気持ちを込めて、昇華させた記憶を描く

――五月女さんのイラストは、笑いの中に昭和の懐かしさを感じます。子供の頃の体験が創作イメージの原点なのでしょうか?

何がバックボーンになっているのか、いまだに自分でもよくわからないんですよ。子供の頃は、基本的に我が家はテレビ禁止で、NHKだけOKだったんです。とはいえNHKだって、夜には大人向けの番組とかもやるじゃないですか。だから今考えると、子供にはトラウマになりそうな社会派のドラマとか結構見ていましたね。そういう昔テレビや身の回りで見た人を、心の中でじっくり咀嚼して、記憶を引っ張り出して描く感じです。小学校の時にあの友達がしていた笑顔とか、役者の顔も思い出せないけれどテレビで見たあの状況とか。それを自分の中で昇華して、ある程度“盛って”描く(笑)。

――絵を描く上で大事に考えていることはありますか?

絶対に品は失わない、というのをモットーにしています。鼻水を垂らしている人とかカツラとか、どんな内容の絵を描いても、目は美しく、姿勢は正しく。その点はNHK育ちですから(笑)。

――描きやすいネタ、苦手なネタはありますか?

描きやすいのはサラリーマン。下ネタは意外と苦手です(笑)。あとはホストとか、今風の人を描くのも苦手。今風の人って眉毛が細いでしょう? 私が描くと、どうしても眉毛が太くなっちゃうんですよ。純粋で素朴な感じの人が好きなので(笑)。だから目元の表情は大事ですね。黒目はすごく丁寧に描きます。

――娘さんとの日常を綴ったwebマンガ「新しい生物〜はるがやってきた! ヤア ヤア ヤア!〜」が好評ですが、お子さんが生まれてから創作に変化はありましたか?

webマンガ「新しい生物〜はるがやってきた! ヤア ヤア ヤア!〜」(ブックマン社)の第1回より。http://bookman.co.jp/serial-novel/keiko-sootome/manga-1/
webマンガ「新しい生物〜はるがやってきた! ヤア ヤア ヤア!〜」(ブックマン社)の第1回より。http://bookman.co.jp/serial-novel/keiko-sootome/manga-1/

子供の絵を描くことが増えました。子供と接していると発見することばかりでびっくりします。娘もお絵かきが好きで、今は女の子の絵ばかり描いているんですが、あんなに何も考えていない線は自分には描けない。その線が持っている感じが、すごく羨ましくて。だから今回のワークショップも楽しみなんですよ。普段あまり絵を描かないという方の絵にはプロには描けない魅力があるので、私の方も学ぶことが多いんです。

――では、ワークショップに参加ご希望の方へ、一言メッセージをお願いします。

ぜひネタを溜めてきてほしいですね。街で見かけた変な人でも、会社や家庭内での鬱憤でも、何でもいいんです。これネタになりそう、と思ったらメモしておいてください。そういう目線で日常を見るだけでも、嫌なことがそんなに嫌じゃなくなるかもしれませんし。あとは当日、思い切り膿を出してデトックスしましょう!

五月女ケイ子(そおとめけいこ)

五月女ケイ子(そおとめけいこ)
山口県生まれ、横浜育ち。大学では映画学を専攻、映画研究部に所属。卒業後、独学でイラストレーターに。書籍をはじめ、演劇や映画のフライヤー、広告、テレビ番組など、メジャーからマイナーまで幅広い分野にイラストを提供する。書籍の主な仕事に、ベストセラーを記録した『新しい単位』(扶桑社)や『毛髪川柳』(日本文芸社)、『五月女ケイ子♥ランド』(宝島社)、放送作家の夫・細川徹氏との共著に『親バカ本』(マガジンハウス)、『まんがおじいさん先生』(角川書店)など。また、文章も手がけた著書に『五月女ケイ子のレッツ!! 古事記』(講談社)、『淑女の身の上相談』(祥伝社)などがある。
http://www.keikosootome.com/index.html

★ワークショップのレポートは、9月18日(木)と10月16日(木)の2回に分けてご紹介します。

インタビュー・文/杉瀬由希

 
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