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イベント・レポート
No.037
アーツカウンシル東京 外国人向け伝統文化体験プログラム--前編 東京都江戸東京博物館

両国にある東京都江戸東京博物館では、毎週土曜日にアーツカウンシル東京(*)主催の外国人向け伝統文化体験プログラム(演芸)が開催されています。本格的な伝統芸能の実演を間近で見られ、短時間で体験できる機会はそうそうありません。毎週さまざまな演目が催されていますが、今回は、英語とフランス語が堪能な鏡味味千代(かがみ・みちよ)さんによる太神楽(だいかぐら)の1つである曲芸プログラムをレポートします。

*アーツカウンシル東京は、世界的な芸術文化都市東京として、芸術文化の創造・発信を推進し、東京の魅力を高める多様な事業を展開している組織です。


笑いで福を呼び寄せる

プログラムが始まる時刻が近づくと、お囃子の音と共に日本語と英語のアナウンスが流れ始めます。最初は何が始まるのか少し離れて見守っていた来場者も、袴(はかま)姿でてきぱきと準備をする味千代さんが登場すると博物館5階の朝野(ちょうや)新聞社屋模型の前に次々と集まってきました。
味千代さんの実演は、まず太神楽についての説明から始まります。神様への奉納として1,000年以上前に始まったと言われる太神楽。厄を払う獅子舞もその1つと聞くと日本人である私たちにはその宗教的な役割も想像できますが、ジャグリングに似ている曲芸と宗教の関係性は、海外の、特に欧米の観客にはなかなか理解されないそうです。そこで味千代さんは「笑う門には福来る」、つまり笑顔になることであなたに幸せがもたらされます、と解説。これには外国人の観客も深くうなずき納得の様子でした。
そんな興味深い解説が通訳者による英語と合わせて行われるなか、1つ目の芸である「五階茶碗」が始まります。これは顎や親指に撥(ばち)を立て、その上に房のついた板や茶碗を積み上げていく芸です。口にくわえた球の上に撥を立て、その上に2つの鞠、その上に撥、さらに茶碗が積まれていくと、息をのんで見守っていた観客からは大きな拍手が起こります。

名人芸に大盛り上がりの会場
名人芸に大盛り上がりの会場


いよいよ実際に体験してみよう!

味千代さんが繰り広げるバランス芸に見入っていた観客ですが、ここで事前に一人一人に配られた細長い紙テープを縦に折り、顎の上に立てなるべく長くキープするという、「紙立て」の体験が始まりました。最初は座ったまま照れくさそうに試していた皆さんも、次第に大人も子供も立ち上がってバランスを取ろうと右へ左へ動き回ります。コツは常に紙テープの先端を見ることだそうですが、数秒以上キープするのはなかなか難しい! 味千代さんの芸の深さが実感されます。続いて観客の中から3名が選ばれ、この紙テープを手のひらに立てる時間を競うことになりました。このバランス対決は、ハンガリーから訪れたデイヴィッドさんの圧勝という結果に。

大人も子供も懸命にチャレンジ
大人も子供も懸命にチャレンジ

観客の中から選ばれた3名でバランス対決
観客の中から選ばれた3名でバランス対決

もう1つの芸は日本人にはなじみの深い「傘回し」です。ここでは観客の中から4名の子供が選ばれ、和傘に紙風船を載せて傘回しに挑戦しました。傘は末広がりを意味し、さらにその上を「益々」の繁栄を願って枡や鞠が回るこの芸は、大変縁起が良い芸とのこと。最後は味千代さんが自在に操る鞠や枡の傘回しの芸を鑑賞して、30分のプログラムは幕を閉じました。

締めくくりは何ともおめでたい傘回し
締めくくりは何ともおめでたい傘回し

バランス芸の競争に参加したハンガリー人のデイヴィッドさんは、ガールフレンドのエスターさんと友人の3名で初めて東京を訪れたそうです。今回の伝統文化体験プログラムは江戸東京博物館に来て偶然知ったそうですが、ほかではなかなか見ることのできない伝統芸を間近で見て体験することができ、とても良い思い出になりました、と話してくださいました。

海外の方に理解しやすい解説は、トリリンガルの味千代さんならでは
海外の方に理解しやすい解説は、トリリンガルの味千代さんならでは

終了後に味千代さんにお話を伺いました。
「太神楽というと日本の方でも難しいものという印象があるかもしれませんが、このプログラムでは観客の方に実際に体験していただくなど、身近に感じられるよう工夫をしています。また曲芸には掛詞が多く、たとえば先ほどの鞠を2つ重ねた芸の場合、日本語では円(縁)結びと言いますが、英語では無限大(∞)のハピネスというように、伝え方を通訳者の方と相談しています。」
そのほか、日によって日本古来のマジックである「和妻(わづま)」や、紙1枚とハサミで自在に形を作り出す「紙切り」も行われるこちらの無料プログラム。今も息づく日本の伝統文化に触れられる貴重な機会ではないでしょうか。

取材・文:池田絵里佳

外国人向け伝統文化体験プログラム(演芸)

会場:東京都江戸東京博物館 5階常設展示室
開催:2017年3月25日までの、毎週土曜日、各日3回(12月31日は休館日のため開催なし)
今後は和妻(6/4)、曲芸(6/11、6/25)、紙切り(6/18)などを予定
参加費:無料(別途、要常設展観覧料)、年齢制限なし
主催:アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)
助成・協力:東京都
協力:公益社団法人落語芸術協会
https://www.artscouncil-tokyo.jp/ja/events/11795/
※プログラムの内容が変更になる可能性もございますので予めご了承ください。

 
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