東京のアートシーンをアーティストとともに創り、発信する Tokyo Art Navigation
HOME トピックス 展覧会・イベント情報 美術館・劇場・活動スペース アーティストファイル アート作品ランキング コラム 支援制度・コンテスト情報
トップ > イベント・レポート
 
イベント・レポート
No.050
東京都写真美術館のティーチャーズプログラム[後編]
オリジナルの対話型鑑賞を体験する
都内で開催される注目のアートイベントをご案内し、その模様をレポートするコラムです。リアルな空間で、そしてオンラインで、日々の暮らしにアートを取り入れてみませんか。

東京都写真美術館で開催されたティーチャーズプログラム。今年は都内の小・中・高等学校や特別支援学校で働く14名の先生たちが参加しました。前編では「フォトグラム」という技法による写真のプリント体験を紹介。後編では対話による鑑賞プログラムをレポートします。東京都写真美術館が独自に開発したゲームも必見です。


会話を弾ませるためのオリジナルゲーム

「美術って難しい」。「どうやって楽しんでいいかわからない」。
そんな人に、対話による作品鑑賞は有効です。複数人で作品を見ながら、思ったことや気づいたことを話し、作品の見方を深めていく鑑賞方法。作品を見たときの個々の感じ方を尊重できるため、美術館や学校の授業などに導入されています。

特に東京都写真美術館の鑑賞プログラムは、作品を見る前に準備運動としてゲームを行うのがポイント。好きなように感じ、好きなように言葉を発してもいい。そう言われても、作品を目前に言葉がなかなか出てこない児童や生徒もいるかもしれません。そこで東京都写真美術館が考えたのは「色と形と言葉のゲーム」です。

暗「からい」と感じたパーツを持って、なぜそう思うのかを説明
「からい」と感じたパーツを持って、なぜそう思うのかを説明

使うのはさまざまな形に切られた色紙のパーツと、言葉が書かれたカード。ファシリテーター(進行役)があるお題を出しました。
「この中から『からい』と感じるパーツを選んでみましょう」。
テーブルに並べられた30枚以上のパーツから「からい」と思うものを一つ選びます。次になぜそう感じたのか、参加した先生たちは順番に発表していきました。
「刺さりそうな形で強そうだから」「黄色い色がスパイスのイメージがあります」とさまざまなコメントが出ます。

さまざまな言葉のカード。ファシリテーターが提示したパーツを見て、イメージされる言葉を選ぶ

さまざまな言葉のカード。ファシリテーターが提示したパーツを見て、イメージされる言葉を選ぶ

さまざまな言葉のカード。ファシリテーターが提示したパーツを見て、イメージされる言葉を選ぶ

続けて今度は一つの色紙のパーツからどんな言葉がイメージできるか、言葉のカードを選ぶゲームを行いました。
「このゲームは、見えているイメージと自分の言葉をつなぐために行っています」と、教育普及プログラムを担当する学芸員の武内厚子さん。
「抽象的な形や色と、具体的な言葉をつなぐ練習です。何を選んでも正解ではないし間違いでもないから自由に発言していい。その経験があると、作品を見たときに、より言葉が出るようになります」
このあと、いよいよ展示室で作品を鑑賞します。


作品について、それぞれの考えを引き出しみんなで話す

コレクション展を開催中の2階の展示室へ。鑑賞するのは写真家・北島敬三の作品シリーズ〈PORTRAITS〉。ある3人のモデルのポートレートが4〜5枚ずつ展示されていました。

北島敬三〈PORTRAITS〉展示風景(総合開館20周年記念 TOPコレクション「コミュニケーションと孤独」、東京都写真美術館、2017年)
北島敬三〈PORTRAITS〉展示風景(総合開館20周年記念 TOPコレクション「コミュニケーションと孤独」、東京都写真美術館、2017年)

はじめの1分間で作品を自由に観たあと「何か気づいた人はいますか?」と武内さん。約10分間の対話が始まりました。

「同じ人の写真ですが、同じ人でもそれぞれ髪型が違います」とそーっと発言する参加者の先生。
「そうですね。見え方が違いますね」(武内さん)
「どれも無表情なので、はじめは髪型の違いに目がいきましたが、だんだんとシワやシミなどの違いもあることに気づきました」(参加者)
「無表情なので、表情以外の部分の違うところ、同じところが見えてきますね。ほかに何かありますか?」(武内さん)
「年齢が違うみたいです。左から若い順に展示されています」(参加者)
こうした武内さんのファシリテート(ナビゲート)で限られた時間でも、言葉が次々と出てきました。

「対話によって自分の見方だけではなく、ほかの参加者の気づきも知り、作品の見方が変わっていきます」と武内さん。気づかなかったことや別の感じ方を、ほかの人の言葉を通して知る。それも対話による鑑賞の面白さの一つです。

教育普及プログラムを担当する学芸員の武内厚子さん(左)と参加者。
教育普及プログラムを担当する学芸員の武内厚子さん(左)と参加者。


学校の授業や校外学習に活かせるティーチャーズプログラム

「どのように子供が反応するだろう、普段の授業にどんなふうに生かせるだろう、と想像しながら取り組めました」と、参加した小学校の先生が今日の感想を語りました。
さまざまな教科の授業や校外学習に役立てるほか、ミュージアムやホールで働く学芸員や職員に出会い、学校での活用の機会を探れるティーチャーズプログラム。今年は東京都写真美術館のほか、5つの施設で開催しました。
・東京都美術館(上野):アート・コミュニケーション事業の紹介と展示鑑賞ワークショップ体験
・江戸東京たてもの園(武蔵小金井):昔くらし体験、「けんちく体操」体験、園内見学
・東京都江戸東京博物館(両国):ワークシートのつくり方
・東京芸術劇場(池袋):演劇ワークショップ
・東京文化会館(上野):音楽ワークショップ
都内の小中学校や高校、特別支援学校で働く教員であれば、公立・私立にかかわらず参加ができます。各施設の特徴を生かし、毎年夏に開かれるこの特別プログラムをぜひ一度体験してください。(平成29年度のプログラムは終了しました)

文・構成:佐藤恵美
写真:中川周

東京都写真美術館

◎東京都目黒区三田1-13-3恵比寿ガーデンプレイス内
◎TEL:03-3280-0099
https://topmuseum.jp

東京都写真美術館のスクールプログラムについてはこちらから

東京都写真美術館
学校と文化施設をつなぐティーチャーズプログラム2017

小中高等学校、特別支援学校の教員を対象に、各施設の教育普及事業を体験できるプログラム。
2017年度は6施設で実施。
◎対象:都内小中高等学校・特別支援学校教員
◎定員:各プログラム20名程度
◎参加費:無料
※今年度の応募は締め切りました
http://www.rekibun.or.jp/education/index.html

[これまでのプログラムの紹介]
◎2016年の様子
先生たちがつくる、鑑賞ワークシート <前編>
先生たちがつくる、鑑賞ワークシート <後編>

◎2015年の様子
「ティーチャーズプログラム」とは
「昔くらし体験」石臼ひき、火おこし等
身体を使って建築を知る「けんちく体操」

[お問い合わせ]
東京都歴史文化財団 事務局総務課企画広報係
◎TEL:03-5610-3503

創作活動サポート
メンバー登録
東京のアートシーンを共に創造するメンバーを募集しています!
アーティストの方はこちら
あなたの作品や活動をTokyoから世界に向けて発信してみませんか?
サポーターの方はこちら
創作活動をサポートするギャラリーや稽古場の登録、展覧会やイベントを投稿できます。
デジタルミュージアム
美術館・博物館の収蔵作品2万点以上の
デジタルアーカイブ
東京・ミュージアム ぐるっとパス
詳しくはこちら