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松蔭先生の課外授業
No.001
東京都現代美術館
ゲスト:アーティスト/村瀬都思さん
今回から始まる新連載では、前回までのコラム「キュンチョメのアートデート」のキュンチョメの先生、松蔭浩之(まつかげ・ひろゆき)さんが毎回さまざまな若手アーティストと都内の展覧会を訪れます。松蔭さんはアーティストとして活動を続ける傍ら、創形美術学校や美學校などで教壇に立ち、熱心に後進たちの指導に取り組んできました。今回は第4回TANコンペの大賞受賞者・村瀬都思さんをゲストに、東京都現代美術館へ向かいます。
撮影:松蔭浩之

第1回目のゲストは村瀬都思さん。武蔵野美術大学で日本画を学んだ後、昨年秋、第4回トーキョー・アート・ナビゲーション・コンペティションで大賞を受賞したニューフェイスだ。

松蔭 初めまして。今日はよろしく!

村瀬 こちらこそ。お話しするのは初めてなんですが、実はおととし、松蔭先生のレクチャーを聞いたんですよ。

松蔭 えっ、ほんとに!? どのレクチャー?

村瀬 瀬戸内国際芸術祭の時、男木島まで「昭和40年会 男木学校」を見に行ったんです。

松蔭 うれしいなあ! 聞いてくれたのもうれしいけれど、あのレクチャー、確か定員が30人くらいの少人数制だった。そのうちの一人と、まさか再会できるとは!

昭和40年会とは、会田誠や小沢剛ら全員同い年のメンバーによるアーティスト・グループ。松蔭先生は、その会長を務めているのだ。
二人が訪れたのは東京都現代美術館。今回は「山口小夜子 未来を着る人」(6月28日まで開催中)を見て回る。

村瀬 つい先日も、ここの美術館に「ガブリエル・オロスコ展」(開催終了)と「他人の時間」(6月28日まで開催中)を見に来ました。でも、すでに今回のお話をいただいていたので、「山口小夜子展」は取っておこうと思いまして。

松蔭 なるほど。初めて見るほうが新鮮だしね。

村瀬 この美術館は、駅からも遠く、便利な場所とは言えないところにありますよね。でも、だからこそ、長居してじっくりと展示を見たくなる。そして見応えのある展覧会が多い。いつも満足して帰りますね。

松蔭 ここまではるばる来たら、元を取らなきゃと思うしね(笑)。

村瀬 実は学生の頃は、学校から遠いこともあって、あまり来る機会はありませんでした。でも、これからも作品をつくり続けようと決意してから、いろんな展示を見ようと思い、来る回数が増えましたね。

そして二人は、展示室のある地下へと降りた。本展の担当学芸員である藪前知子さんに解説を願った。

1977年にロンドンのアデル・ルースティン社から発売された小夜子マネキンの前で
1977年にロンドンのアデル・ルースティン社から発売された小夜子マネキンの前で

藪前 山口小夜子さんは1970年代からモデルとして活動を始めました。被写体にフォーカスした展覧会を美術館で実施したことはあまり例がありません。けれども、小夜子さんは自身を「山口小夜子」という表現メディアとしてとらえ、多くのクリエーターたちとともに作品をつくりあげていった面もあります。そこで本展は、彼女の過去をたどるパートと、小夜子さんと関わった人たちによる新たな「コラボレーション」を見せるパートから成り立っています。

松蔭 うん、小夜子さんは確かにモデルだったけれど、クリエーターたちの媒介になることも多かった。クリエーターたちのインスピレーションの源泉でもあった。そのあたりが展覧会の軸になるという点で、あまりない展覧会だと思う。

村瀬 この展覧会のポスターをたまたま渋谷駅で見ました。いまのアイドルやモデルのポスターが並ぶ中、インパクトを放っていて、どんな女性なのか、とても気になりました。

松蔭 よしっ、じゃあさっそく行こう!

初めの一室では、山口小夜子の愛用品の数々を賑やかに展示。松蔭先生と村瀬さんは、じっくりと見て回る。

学芸員の薮前さん(右)の解説とともに
学芸員の薮前さん(右)の解説とともに

藪前 小夜子さんはモノもちが大変いい方で、本や雑誌、レコード、学生時代のスクラップブックなどがたくさん残っています。面白いのは、前髪ぱっつんの女優のグラビア写真をたくさんスクラップしてるんですね。

松蔭 なるほど、この成果が小夜子さんの髪型のベースになってるわけか。きっと写真を見て研究したんだろうね。

藪前 そうなんです。映画「上海特急」(1931年)に出てくるアンナ・メイ・ウォン(1905〜1961年)や、1920年代に活躍したルイーズ・ブルックス(1906〜1985年)ら、ボブスタイルで男を惑わす女優の系譜をスクラップしてるんですよ。たぶん表情とかを研究していたんでしょうね。

撮影:松蔭浩之
撮影:松蔭浩之

そして、次の展示室では山口小夜子が被写体となった写真が並ぶ。だが、その紹介は次号をお待ち下さい!


構成/新川貴詩

山口小夜子 未来を着る人

1970年代からアジア人初のトップ・モデルとして、世界のモードを席巻した山口小夜子。自らを「ウェアリスト(着る人)」と名乗り、さまざまなジャンルのアーティストたちと競演してきた彼女の軌跡を辿ります。展覧会は東京都現代美術館で28日(日)まで開催。
http://www.geigeki.jp

松蔭浩之(まつかげ・ひろゆき)

1965年、福岡県生まれ。大阪芸術大学芸術学部写真学科卒業。在学中に平野治朗とアート・ユニット「コンプレッソ・プラスティコ」を結成し、90年にベネチア・ビエンナーレに参加。以来、個展やグループ展多数。主な個展に「日常採取〜A DAY IN THE LIFE」(ギャラリー サイトウファインアーツ、神奈川、2014)など。アーティスト・グループ「昭和40年会」会長も務める。来月、展覧会「おおいたトイレンナーレ」(7月18日から9月23日、 http://www.toilennale.jp )に参加。

松蔭浩之(まつかげ・ひろゆき)

村瀬都思(むらせ・とし)

1984年、愛知県生まれ。2009年、武蔵野美術大学大学院造形研究科 日本画コース修了。現在、東京を拠点に、絵画を中心に作品を制作。主な個展に「くうどうをみつめる」(Gallery Forgotten Dreams、東京、2014)など。月刊美術 美術新人賞「デビュー2015」入選(2014)、損保ジャパン日本興亜美術賞「FACE 2015」入選など受賞多数。
http://lamb-log.blogspot.jp/
https://tokyoartnavi.jp/artistfile/detail.php?artist_no=20001771

村瀬都思(むらせ・とし)

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