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松蔭先生の課外授業
No.006
東京都江戸東京博物館
ゲスト:アーティスト/NAOMI YUKIさん
東京都江戸東京博物館での「課外授業」のあと、一緒に展覧会をまわったNAOMI YUKIさんのポートフォリオを見ながら「作品講評」が始まりました。YUKIさんは「第4回 トーキョー・アート・ナビゲーション・コンペティション」にて特別賞を受賞。YUKIさんがアートにどう興味を持ち、学んできたかを聞きながら、作品をつくり続けていくためのアドバイスが松蔭先生よりありました。

東京都江戸東京博物館で特別展「徳川の城〜天守と御殿〜」と企画展「くらべてみよう江戸時代」、そして常設展示を見た松蔭浩之先生とNAOMI YUKIさんは、博物館の3階広場へと移動した。

《Lodestar》2013年 キャンバスに油絵具
《Lodestar》2013年 キャンバスに油絵具

松蔭 30歳を過ぎてから美術学校に行ったと聞いたけど、なんでまた?

NAOMI YUKI(以下、NY) それまで社会人で、ずっと芸術をやりたかったんですが、自分にうそをついて生きていたんで(笑)。芸術家なんて手の届くものとは思えなくて、あきらめるように自分に言い聞かせていました。ところが30歳の時に「やっぱりやりたいっ!」、と思いまして。

松蔭 イタリアでは言葉はどうだった?

NY 英語は勉強していたので何とかなると思っていたのに、イタリア語しか通じなくて。学校の先生も英語がほとんど話せないし。だから、向こうに行ってからですよ、イタリア語を勉強したのは。

松蔭 もともと、どういうアーティストに憧れていた?

NY 生意気ですけど、8歳の時にすでにクリスト夫妻が好きだったんです。パリの橋を梱包したりとか、ダイナミックなことをするあたりにゾクゾクしていました。

松蔭 1980年代のはじめ、俺も学生の時にクリストのドキュメンタリーを見たけど、芸術って絵を描いたり彫刻をつくったりだけじゃなく、こういうことをする人がいて、画廊もついているってことに驚いたのを覚えてる。

NY 8歳ですから、クリスト夫妻の行為が芸術なのか何なのかわからなかったんですが、母親が「これは芸術っていうんだよ」と教えてくれまして。

松蔭 いい母親だっ!

そして松蔭先生は、YUKIさんのポートフォリオ(これまでの作品をまとめた冊子)をじっくりと眺めた。

東京都江戸東京博物館の3階広場の休憩室で。プロフィール欄のYUKIさんの顔写真も、同広場で松蔭先生が撮影した
東京都江戸東京博物館の3階広場の休憩室で。プロフィール欄のYUKIさんの顔写真も、同広場で松蔭先生が撮影した

松蔭 いまの作風に行き着いたのはいつ頃?

NY 学生の時から、自分の中で納得できる、自分にとっての傑作をつくりたいと思っていました。で、私らしさとは何か、私は求めているのは何なのか、ずっと考えていましたね。そして、まずはオーソドックスな油絵で、まだ誰もやったことがないことをやってみたいと思い、抽象画でありながらモノの存在感を重視するいまの作風に至りました。

松蔭 確かに、このタイプの絵は見たことがない。不思議な生き物というか、見方によっては陶芸とか建築模型の写真にも見える。で、この透明感は何なんだろう?

NY 光の取り込み方には気を配ってますね。私はいつもキャンバスにそのまま余白を残しています。キャンバスとコラボレーションをしようという気持ちも強く、そのあたりが透明感を引き出しているのかもしれません。

松蔭 いまは油絵だけを描いているの?

NY はい。学生の時はもちろん他の画材を使いましたが、いまは油絵のみで、混ぜ物もいっさいしません。道具も筆だけです。

松蔭 色に統一感があるようで、実は一点一点違う。描く対象もつねに変化しているなぁ。

NY 最近はこの手法で風景画にも取り組んでます。滝とかビーチとか私なりの風景画ですけど。

《Headwind/向かい風》41cmx41cm 2014年 キャンバスに油絵具
《Headwind/向かい風》
41cmx41cm 2014年 キャンバスに油絵具

《Resort/リゾート》45cmx45cm 2014年 キャンバスに油絵具 《Resort/リゾート》
45cmx45cm 2014年 キャンバスに油絵具

松蔭 イタリアから日本に戻ってきて、活動はすんなりといった?

NY いえ。大阪に帰ってきて、何をどうすればいいのかわかんなくて。

松蔭 仲間がいるわけでもないしなぁ。

NY そうなんですよ! 聞く人もいなくて。その時に東京で参加型のアートフェアをやっていて、そこに出してみたんですね。そこからですよ、活動を始めたのは。

松蔭 うん、最近の大阪は、活動できる場がなかなかないし。

NY ええ、それで近いうち、東京に移ろうと考えていまして。

松蔭 YUKIさんの絵は、俺がアドバイスできる域をはるかに越えてる。

NY ありがとうございます!

松蔭 ただ、ひとつ言いたいのは、見せるフットワークをもっと軽くして、制作と発表をどちらも重視してほしい、ということ。YUKIさんにはぜひ制作を続けてほしい。で、制作を続けるためには発表することが大事。見る人がどんなふうに自分の作品を見るのか、反応がわかるからね。そして、作家同士の会話も重要で、会話をするためには自分の言葉が不可欠だと思う。

《Beach/砂浜》38cmx68cm 2015年 キャンバスに油絵具
《Beach/砂浜》
38cmx68cm 2015年 キャンバスに油絵具

《Falls/滝》 85cmx132cm 2015年 キャンバスに油絵具 《Falls/滝》
85cmx132cm 2015年 キャンバスに油絵具

そして、松蔭先生は、ポートフォリオ作成にあたっての作品写真の撮り方について、絞り値や色味など細かく助言するのであった。

作品の魅力を伝えるために、作品写真の撮り方も重要。自身のカメラで操作を説明する松蔭先生
作品の魅力を伝えるために、作品写真の撮り方も重要。自身のカメラで操作を説明する松蔭先生


構成/新川貴詩

「第5回 トーキョー・アート・ナビゲーション・コンペティション」

過去4回実施された若手アーティストの作品コンペティション「トーキョー・アート・ナビゲーション・コンペティション」。今回は、Twitterによる投票システムも加えて内容をリニューアルします。応募は11月25日(水)まで。Twitterによる投票は11月26日(木)〜12月23日(水・祝)までです。東京を舞台に活躍する新しい作家たちの作品がエントリーしています。ぜひお気に入りの作品を応援してください。

松蔭浩之(まつかげ・ひろゆき)

1965年、福岡県生まれ。大阪芸術大学芸術学部写真学科卒業。在学中に平野治朗とアート・ユニット「コンプレッソ・プラスティコ」を結成し、90年にベネチア・ビエンナーレに参加。以来、個展やグループ展多数。主な個展に「日常採取〜A DAY IN THE LIFE」(ギャラリー サイトウファインアーツ、神奈川、2014)など。アーティスト・グループ「昭和40年会」会長も務める。
ミヅマアートギャラリー
http://mizuma-art.co.jp/artist/0220/

松蔭浩之(まつかげ・ひろゆき)

NAOMI YUKI

大阪府生まれ。2009年にイタリアのローマ国立美術院卒業。以来、国内外の展覧会に参加多数。2011年、日本文学館 アート部門特別賞、2014年、第4回 トーキョー・アート・ナビゲーション・コンペティション 特別賞、2015年、ACT Art Award 2015 優秀賞3位など受賞多数。
http://www.ny-artwarp.com

NAOMI YUKI

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