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松蔭先生の課外授業
No.007
トーキョーワンダーサイト TWS-Emerging 2015 第6期
ゲスト:アーティスト/戸田沙也加さん
松蔭浩之(まつかげ・ひろゆき)先生が毎回さまざまな若手アーティストをゲストに都内の文化施設で展開する「課外授業」。今月から3回にわたって、画家の戸田沙也加さんと一緒に、若手アーティストの支援や育成を積極的に行うトーキョーワンダーサイトの施設を訪れます。
渡邊拓也《道具と作ることのインスタレーション -case1-》2015 撮影:松蔭浩之

松蔭浩之先生と戸田沙也加さんは、トーキョーワンダーサイト渋谷を訪れた。トーキョーワンダーサイト(TWS)とは、東京から新しい芸術文化を創造・発信するアートセンター。松蔭先生にとっても、縁のある場所だ。

松蔭 ここがオープンした2005年に昭和40年会の展覧会「東京おみやげ」をやったんだよ。

戸田 そうだったんですか。

松蔭 うん。それも、作品を発表するだけじゃなく、カフェのデザートまで考えたよ。

戸田 うわぁ、おいしそう、食べたかった……。

左から、松蔭先生、戸田さん、会場を案内いただいた黒田みのりさん
左から、松蔭先生、戸田さん、会場を案内いただいた黒田みのりさん

2人がTWS渋谷に出かけたのは展覧会「TWS-Emerging 2015 第6期」(12月6日まで)を見るため。若手アーティストによる公募展「トーキョーワンダーウォール」と連携したプログラムで、約100名の入選者から21名をさらに厳選し、7期にわたって展覧会を実施されている(第7期は12月19日〜2016年1月24日まで)。TWS事業課長の黒田みのりさんは言う。

黒田 TWSは「若手の発掘・育成」「国際的な文化交流」「表現における実験を支援」を主な方針として活動しています。今回のプログラムは35歳以下が対象で、若手が自作のプレゼンテーションや観客とのコミュニケーションなどを実践的に学ぶのが目的です。

今回の3人のアーティストたちがそれぞれ個展形式で作品を発表。まずは、渡邊拓也さんの展示「作った(られた)ものから考える。」を見た。日用品のオブジェが並ぶインスタレーションだ。

渡邊拓也《道具と作ることのインスタレーション -case1-》 2015 撮影:松蔭浩之
渡邊拓也《道具と作ることのインスタレーション -case1-》 2015 
撮影:松蔭浩之

松蔭 おー、これ、まずは物量としてすごいし、そこらへんにあるものばかりを焼き物にしてるのも面白い。

黒田 すべて手びねりです。渡邊さんは土偶に関心があって、発掘されたような感じに仕立てています。

松蔭 手でひねって形をつくる作業をすごく楽しんでそう。

戸田 コンセプチュアルなことも考えているのでしょうが、視覚的な魅力がとても強い作品だと思います。このテレビのリモコンとか、いい感じ。

松蔭 これだけ大量に並べると、目がとまっちゃうしね。

戸田 あ、レモン搾り器。これ、実際に使えそう!

松蔭 展示台じゃなく床の上に並べてるのもいい。警察に逮捕された窃盗犯の押収品みたい。

戸田 ええ、そういう風に鑑賞者が勝手に想像できる感じがあっていいですよね。

松蔭 うん、この作家はいい。渡邊拓也か。よし、名前、覚えとこう。

《渡邊拓也《グレーシリーズ 「事故現場 画像」》 2015》撮影:松蔭浩之
渡邊拓也《グレーシリーズ 「事故現場 画像」》 2015
撮影:松蔭浩之

次に北村拓之さんの展示「Desire / Fixation」は、モノクロの平面作品が並ぶ。

「Desire / Fixation」展示風景 「Desire / Fixation」展示風景

松蔭 これは、木炭かな?

黒田 はい、木炭です。

戸田 自分の身体や五感のナイーブな感情を表現してるんでしょうね。自分を表現したい思いが伝わってきます。

松蔭 うん、身体と感覚の表裏一体を見せたいんだろうね。

黒田 ええ、一見、動物のような絵も、実は自分を描いているのだと思います。

松蔭 正直言ってぱっと見た時、自分の趣味じゃないし、興味ないと思った。でも、じっくり見ると印象が変わった。ちゃんと時間をかけて見たい絵。つまり、力強い。丁寧に描いてるし。

最後に、黒河希さんの《畳からの眺め》は大小様々なサイズの油彩画が壁に並ぶ。

「想像力を刺激するいいタイトルだね」と松蔭先生。タイトルを踏まえて見ると、作品の見方が変わる

「想像力を刺激するいいタイトルだね」と松蔭先生。タイトルを踏まえて見ると、作品の見方が変わる

「想像力を刺激するいいタイトルだね」と松蔭先生。タイトルを踏まえて見ると、作品の見方が変わる

松蔭 見慣れたものを油絵で描いた、ということかな?

戸田 (画面の)このあたり、人ですかね?

松蔭 ああ、人だね。一見、抽象的なんだけど、よく見ると人だったりテーブルの脚だったり。タッチが抽象絵画風なのに実は具体的なモチーフを描いている。古典とコンテンポラリーのかけ合わせなのかな?

戸田 油絵、大好きなんです。混ぜたような色でも、油絵ならビビッドな色が出せる。その点、アクリルだとつぶれてしまいますから。油絵の具の特徴がとてもよく発揮されていて、きれい。

黒田 黒河さんは意識されていませんが、展覧会のタイトルは「畳からの眺め」といって、病床に伏せていて、つまり布団からの眺めという視点もあります。

松蔭 仰向けで見ているわけか。正岡子規の世界だ。それはともかく、「TWS-Emerging 2015」はどの作家も選ばれた人だけはある。じっくりと時間をかけて見ると魅力が増す作品ばかりで大満足だよ。

そして一行は、TWS渋谷を後にして、TWSのレジデンス施設へと向かうのだった。


構成/新川貴詩

トーキョーワンダーサイト

東京から新しい芸術文化を創造・発信するアートセンター、トーキョーワンダーサイト。若手から国際的に活躍するアーティストまでが発表・交流を行う場「TWS渋谷」のほかに、若手アーティストの支援・育成の場「TWS本郷」、そして世界各国のクリエーターが滞在制作を行なう「TWSレジデンス」の3つの拠点がある。
http://www.tokyo-ws.org

松蔭浩之(まつかげ・ひろゆき)

1965年、福岡県生まれ。大阪芸術大学芸術学部写真学科卒業。在学中に平野治朗とアート・ユニット「コンプレッソ・プラスティコ」を結成し、90年にベネチア・ビエンナーレに参加。以来、個展やグループ展多数。主な個展に「日常採取〜A DAY IN THE LIFE」(ギャラリー サイトウファインアーツ、神奈川、2014)など。アーティスト・グループ「昭和40年会」会長も務める。
ミヅマアートギャラリー
http://mizuma-art.co.jp/artist/0220/

松蔭浩之(まつかげ・ひろゆき)

戸田沙也加(とだ・さやか)

1988年、埼玉県生まれ。2012年、女子美術大学大学院美術研究科美術専攻洋画研究領域修了。「シェル美術賞2010」に入選、「アートアワードトーキョー丸の内2010」で木幡和枝賞を受賞するなど、在学中から頭角を現す。「ワンダフル・マイ・アート-高橋コレクションの作家たち」(河口湖美術館、2012)などグループ展に参加多数。台北やベネチアでも作品を発表。
http://www.sayaka-toda.com

NAOMI YUKI

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