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松蔭先生の課外授業
No.010
東京都庭園美術館 メディチ家の至宝-ルネサンスのジュエリーと名画- 前編
ゲスト:アーティスト/地主麻衣子さん
「松蔭先生の課外授業」は、松蔭浩之(まつかげ・ひろゆき)先生が若手アーティストと都内の展覧会を訪れ、展覧会の見方、美術館の楽しみ方を解説します。今回は、映像作品を制作し、「リターン・トゥ トーキョーワンダーサイト レジデンス2015-2016」(トーキョーワンダーサイト本郷)にも出品している地主麻衣子さんと、東京都庭園美術館で開催中の「メディチ家の至宝 ルネサンスのジュエリーと名画」展を訪ねます。

松蔭浩之先生と地主麻衣子さんは、東京都庭園美術館にやってきた。もともとは旧朝香宮の邸宅だった建物を展示施設として活用した美術館だ。

松蔭 昔、大阪に住んでた頃からこの美術館が気になってて。ルネ・ラリックが大好きでね。だから東京に来た時、真っ先に来たのが、ここ。

地主 私は庭園美術館、実は初めて。

松蔭 (正面玄関のガラスレリーフ扉を指して)ほら、これがラリック。

地主 きれい……。

松蔭 この少し割れてるところを発見して、グッときた。本物だから取替え不可。だから割れていても価値があると思った。

撮影:松蔭浩之
撮影:松蔭浩之

そして館内の各室について、同館学芸員の八巻香澄さんに案内を願った。

館内を案内してくれた学芸員の八巻香澄さん(右)
館内を案内してくれた学芸員の八巻香澄さん(右)

八巻 主要な部屋の設計を手がけたのは、フランス人芸術家アンリ・ラパンです。小客室の壁画もラパンが担当し、淡い緑で樹木や水の油彩画を描いてます。

松蔭 あっ、あんなところにサインが!

撮影:松蔭浩之

撮影:松蔭浩之

撮影:松蔭浩之

地主 ほんとだ。この絵、いいですねえ。ここはどういう部屋だったんですか。

八巻 大広間で宴がある時、お客さまが待つための部屋です。シャンデリアはなくて、照明はシンプルでやや暗め。ひっそりと森の中にいるような気分が体験できる演出なんですよ。

松蔭 ああ、そういうことか。

大食堂の照明はフルーツをあしらったもの
大食堂の照明はフルーツをあしらったもの

撮影:松蔭浩之
撮影:松蔭浩之

一行は二階へ上がり、妃殿下居間を訪ねた。

地主 このシャンデリア、きれい。なんとなくゴルフボールみたいでかわいい。

八巻 実際、多くのお客さまに「ゴルフボール」と呼ばれてるんですよ。実は朝香宮はゴルフが大好きで、「ゴルフの宮様」として知られていたせいでしょうか。

地主 やわらかい光の感じも好き。

松蔭 白熱球ですか? それともLEDに変えたんですか?

八巻 変えていません。白熱球のままです。

松蔭 さすが!

八巻 LEDに変えると、つぶつぶの光源が見えてしまいますからね。

松蔭 色の感じも違ってくるしね。

八巻 ええ。ですから当館では、白熱球をたくさん買ってあるんです。

妃殿下居間のあかり 撮影:松蔭浩之
妃殿下居間のあかり
撮影:松蔭浩之

各部屋を巡りながら、「メディチ家の至宝 ルネサンスのジュエリーと名画」展の出品作も見て回る。松蔭先生と地主さんは、アレッサンドロ・アッローリの工房による《ビアンカ・カッペロの肖像》に目をとめた。

地主 何か胸に入れてますね。

松蔭 うん、確かに入れてる。(解説文を読みながら)ふむふむ、この女性、夫と一緒に出てきたフィレンツェでメディチと出会って、大きな愛が芽生えたとか。それで、夫を暗殺して二人は結びついたらしい。

アレッサンドロ・アッローリの工房《ビアンカ・カッペロの肖像》1578年以降 フィレンツェ ウフィツィ美術館(パラティーナ美術館)蔵 c Firenze, Gallerie degli Uffizi−Galleria Palatina
アレッサンドロ・アッローリの工房《ビアンカ・カッペロの肖像》1578年以降
フィレンツェ ウフィツィ美術館(パラティーナ美術館)蔵
© Firenze, Gallerie degli Uffizi−Galleria Palatina

地主 ひえ〜っ!

松蔭 すごい話だ! で、絵も気になる。このネックレス、真珠のように見えるけど、目を凝らすと透明なんだよ。

地主 ほんとだ。ガラスでしょうか?

松蔭 どうだろ?

地主 あっ、この真珠も面白い。

松蔭 バロック、すなわち、いびつな真珠。

地主 このカメオも素敵です。松蔭さん、カメオ似合いそう。

松蔭 ルネサンスの頃じゃあるまいし、今時、カメオが似合う男なんていないよ。

地主 ええー、そうですかあ? だってかっこいいし。

松蔭 ただ、カメオは気になる。カメオって肖像画にしてミニチュア。しかも、たいてい横顔。こういうフォーマットって、そうはない。

地主 言われてみれば、確かに。

松蔭 で、この展覧会、ジュエリーにも目を奪われるけど、肖像画が面白い。選りすぐりの絵を見ていると、ファッションやアクセサリーに目が行ったり、もちろん表情に注目したり、一点一点、ポイントが絞れていい。

地主 内装やシャンデリアがきれいで楽しめますしね。ぜいたくな空間で作品が見られる美術館って、他になくて、そこがいいなあと思います。

カメオは、瑪瑙(めのう)や貝殻などを素材とした浮き彫り。ジュエリーは約60点が出品されている
カメオは、瑪瑙(めのう)や貝殻などを素材とした浮き彫り。ジュエリーは約60点が出品されている

そして二人は新館へと向かった。続きは、次回!

フランドルの金工家 《セイレーンがついたペンダント》 1570-1580年頃 フィレンツェ ウフィツィ美術館(銀器博物館)蔵 撮影:松蔭浩之
フランドルの金工家 《セイレーンがついたペンダント》 1570-1580年頃
フィレンツェ ウフィツィ美術館(銀器博物館)蔵
撮影:松蔭浩之


構成/新川貴詩

メディチ家の至宝-ルネサンスのジュエリーと名画-

ルネサンス文化発祥の地フィレンツェで、芸術家たちの擁護者となり、ルネサンス芸術を支えてきたメディチ家。《大公の宝物館》と呼ばれるフィレンツェ ウフィツィ美術館(銀器博物館)が所蔵する、メディチ家の歴史を物語る珠玉のコレクションを一堂に展覧する、日本国内初の展覧会。7月5日まで
http://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/160422-0705_medici.html

松蔭浩之(まつかげ・ひろゆき)

1965年、福岡県生まれ。大阪芸術大学芸術学部写真学科卒業。在学中に平野治朗とアート・ユニット「コンプレッソ・プラスティコ」を結成し、90年にベネチア・ビエンナーレに参加。以来、個展やグループ展多数。主な個展に「『著者近影』 松蔭浩之・文芸家の肖像写真展」(男木島図書館、香川、2016)など。アーティスト・グループ「昭和40年会」会長も務める。今年度の「瀬戸内国際芸術祭2016」に出品。
ミヅマアートギャラリー
http://mizuma-art.co.jp/artist/0220/

松蔭浩之(まつかげ・ひろゆき)

地主麻衣子(じぬし・まいこ)

1984年、神奈川県生まれ。多摩美術大学大学院美術研究科絵画専攻修了。映像作品を中心に、展覧会出品多数。主な個展に「おおきな口、ちいさな手 もしくは ちいさな口、おおきな手」(Art Center Ongoing、東京、2015)など。主なグループ展に「リターン・トゥ トーキョーワンダーサイト レジデンス2015-2016」(トーキョーワンダーサイト本郷、東京、2016)、「Zero Gravity」(Matadero Madrid、スペイン・マドリード、2015)など。
http://maikojinushi.com/
5月28日〜6月25日、HAGIWARA PROJECTS(新宿)で個展『新しい愛の体験』を開催

地主麻衣子

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