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アーティスト解体新書
No.001
島野十郎 イラスト:豊島宙 構成・文:TAN編集部 記念すべき「アーティスト解体新書」の第1回は島野十郎(たかしま・やじゅうろう、18901975)。「孤高の画家」「蝋燭の画家」として、NHK 「日曜美術館」でも再三取り上げられるなど、超俗的な画業と潔癖な人柄を物語るエピソードによって、近年多くの人々から注目を集めている洋画家です。


野十郎は東大農学部水産学科を首席で卒業した俊才。でも周囲の反対を押し切って画家の道へ進んだ。優秀者に贈られる「恩賜の銀時計」も辞退したという。大学時代は「魚の感覚」について研究をしていて、「魚介類の観察図」も残されている。透徹したまなざしや細密な画風を得るために、大学は良い修練の場であったのかもしれない。しかし、このころ描かれたと思われる自画像は、傷つき血を流す姿で描かれ謎めいたものだ。


野十郎は東大農学部水産学科を首席で卒業した俊才。でも周囲の反対を押し切って画家の道へ進んだ。優秀者に贈られる「恩賜の銀時計」も辞退したという。大学時代は「魚の感覚」について研究をしていて、「魚介類の観察図」も残されている。透徹したまなざしや細密な画風を得るために、大学は良い修練の場であったのかもしれない。しかし、このころ描かれたと思われる自画像は、傷つき血を流す姿で描かれ謎めいたものだ。


3年間の滞欧(英・仏・伊)を経て帰国した野十郎は、ほどなくして東京・青山に居を定める。「世の画壇と全く無縁になるのが小生の研究と精進です」と手紙に記した画家は、その後、全国を旅しながら画業にいそしんだ。彼の潔癖さを示すエピソードは数知れない。友人が、自らの死後に所有する野十郎の作品が散逸することを恐れて、それの返却を提案したとき、野十郎は受け取らず、焼いてしまったという。しかし野十郎を取り巻く人々は、だからこそ彼に魅せられ彼を支え続けたのだろうか。


3年間の滞欧(英・仏・伊)を経て帰国した野十郎は、ほどなくして東京・青山に居を定める。「世の画壇と全く無縁になるのが小生の研究と精進です」と手紙に記した画家は、その後、全国を旅しながら画業にいそしんだ。彼の潔癖さを示すエピソードは数知れない。友人が、自らの死後に所有する野十郎の作品が散逸することを恐れて、それの返却を提案したとき、野十郎は受け取らず、焼いてしまったという。しかし野十郎を取り巻く人々は、だからこそ彼に魅せられ彼を支え続けたのだろうか。


野十郎は仏教に強い関心を抱いていた。《空》と題した絵には般若心経の一節が描かれ、遺品には「大蔵経」も。蝋燭(ろうそく)・月・太陽といったモチーフはもちろん、野十郎の絵画はすべて「慈悲の実践」だったのかもしれない。「花ひとつを、砂一粒を人間と同物に見る事、神と見る事」とは彼の遺品ノートに書かれた言葉。終生描き続けられた蝋燭の絵は、一度も個展などに出品されず、親しい友人に「奉納」された。最近の調査では、初期の蝋燭の画面から光る結晶が見つかった。光はただ描かれただけではなかったのだ。<完>


野十郎は仏教に強い関心を抱いていた。《空》と題した絵には般若心経の一節が描かれ、遺品には「大蔵経」も。蝋燭(ろうそく)・月・太陽といったモチーフはもちろん、野十郎の絵画はすべて「慈悲の実践」だったのかもしれない。「花一つを、砂一粒を人間と同物に見る事、神と見る事」とは彼の遺品ノートに書かれた言葉。終生描き続けられた蝋燭の絵は、一度も個展などに出品されず、親しい友人に「奉納」された。最近の調査では、初期の蝋燭の画面から光る結晶が見つかった。光はただ描かれただけではなかったのだ。<完>


監修/西本匡伸、高山百合(福岡県立美術館)、山田敦雄(目黒区美術館)

没後40年 島野十郎展 −光と闇、魂の軌跡
2016年4月9日(土)〜 6月5日(日)
目黒区美術館 Meguro Museum of Art, Tokyo

孤高の画家・島野十郎の到達点とも言える「蠟燭」や「月」シリーズ、さらには「すいれんの池」や「からすうり」をはじめとする風景画や静物画など、代表作を数多く含む約 150点を、五つの大きなトピックに沿って紹介。また、近年新たに発見された作品、これまで紹介されたことのない作品、科学的調査による技法分析結果などもまじえ、人々の心と目を引き付けて止まない島野十郎の深遠なる絵画世界の全貌に迫る、「決定版」ともいえる展覧会です。
http://mmat.jp/exhibition/archives/ex160409

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