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アーティスト・サバイバル・メソッド
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コンテストに応募する[前編]
学生CGコンテスト(Campus Genius Contest) 受賞者インタビュー
見里朝希

2019.3.27

アーティストとしてのキャリアを形成し、自分の力量を測る指標のひとつにもなるのが、コンテストでの受賞歴。数あるコンテストの中でも学生CGコンテスト(Campus Genius Contest)は、アニメーション、ゲーム、インスタレーションからパフォーマンスまで、さまざまなジャンルの意欲的な作品が集まる、学生限定のコンテストです。第24回となる今回は、アート部門・エンターテインメント部門の最優秀賞を、同一作品が受賞しました。両部門で賞を獲得した若手アーティスト2人に、応募のきっかけや制作、今後の展望について伺います。

授賞式の様子。左から、エンターテインメント部門主査の塩田周三さん、2部門で最優秀賞を受賞した見里朝希さん、アート部門主査の寺井弘典さん
授賞式の様子。左から、エンターテインメント部門主査の塩田周三さん、2部門で最優秀賞を受賞した見里朝希さん、アート部門主査の寺井弘典さん

学生CGコンテスト(Campus Genius Contest)とは

コンテスト発足当初はCG(コンピューター・グラフィックス)を使用した作品を部門ごとに募集していましたが、テクノロジーの普及や多様化、学生の技術面での習熟を受け、現在はジャンルやテーマにこだわらず、広く才能ある学生(CG=キャンパス・ジーニアス)を発掘する場として機能しています。部門も応募者が選択するのではなく、審査段階で、メッセージ性を重視したアート部門、視聴者・ユーザーが楽しめることを重視したエンターテインメント部門のどちらか、または両方にノミネートされます。

作品の意図を伝える工夫

2019年2月16〜17日、日本科学未来館では、学生CGコンテストの授賞式と作品展示、審査員・評価員によるトークイベントを兼ねたイベント「CGC Meeting」が開催されました。今回、アート部門・エンターテインメント部門の最優秀賞を見里朝希(みさと・ともき)さんの《マイリトルゴート》が受賞し、トークイベントでも人形の造形や動き、照明や音響などの完成度の高さが評価されました。
《マイリトルゴート》は、グリム童話『オオカミと7匹の子ヤギ』をモチーフにしたストップモーション・アニメーション(立体物をコマ撮りして動いているように見せるアニメーション)です。

《マイリトルゴート》ポスター
		写真提供:見里朝希
《マイリトルゴート》ポスター
写真提供:見里朝希

――学生CGコンテストに応募したきっかけは何ですか。

きっかけは、受賞歴があったほうが就職に有利だと思ったからですね。それと、観てくれる人がいてこその映像作品です。動画配信で世界中の人たちに作品を観てもらうことはできますが、スキップなどが使われ、作品を最初から最後まで丁寧に観てくれる人は多くないと思う。コンテストに出せば、審査員を務めている有名なアニメーション会社の社長さんや監督さんに作品を届けることができます。

――このコンテストには3回応募されていますが、応募を重ねるなかで工夫していったところはありますか。

初めは自分の意図が伝わっていないと感じることもありました。特に2回目(第23回)に応募した短編アニメーション《Candy.zip》(アート部門審査員賞受賞)では、作品の世界観を複雑にしすぎてしまった。
その反省点を生かして、今回はストーリー面を強化しました。また、作品のコンセプトや技法についての基本情報、特に注目してほしいポイントなどを、テキストで具体的に示しました。
学生CGコンテストは、ノミネート選考会と最終審査会がインターネットで生中継され、各委員による作品の講評や作家へのアドバイスなどがネットで公開されます。そのため、制作の意図やコンテクストを明確にしなければという緊張感を持って応募しました。

《マイリトルゴート》2018年 より
フェルト人形を少しずつ動かしながら、1秒24コマで撮影した
写真提供:見里朝希
《マイリトルゴート》2018年 より
フェルト人形を少しずつ動かしながら、1秒24コマで撮影した
写真提供:見里朝希

「CGC Meeting」には、作品上映とともに《マイリトルゴート》に使用された人形が展示された。主人公・トルク(左から2番目)は、お気に入りだった犬のぬいぐるみの名前。他の子ヤギたちにも、小さい頃に遊んでいたぬいぐるみたちの名前をつけているという
「CGC Meeting」には、作品上映とともに《マイリトルゴート》に使用された人形が展示された。主人公・トルク(左から2番目)は、お気に入りだった犬のぬいぐるみの名前。他の子ヤギたちにも、小さい頃に遊んでいたぬいぐるみたちの名前をつけているという

自分に合った制作スタイルを考える

――ストップモーション・アニメーションを使う理由は何ですか。

最初はいろいろな手法を一通り試しました。転機は、大学1年生の時に観た3Dストップ・モーション・アニメーション映画『コララインとボタンの魔女』(2009年、ヘンリー・セリック監督)です。この映画では、桜の木を表現する素材にポップコーンを使用したり、手づくりならではの工夫がたくさんあるんです。そこに惹かれて、学生のうちにストップモーションをつくりたいと思いました。
実際につくってみると、立体物を撮影するので、テクスチャーを瞬時に伝えることができるんです。3DCGでもリアリティのある映像はつくれますが、ストップモーションならではの手触り感と動きも出ます。幼少期にぬいぐるみを登場人物に物語をつくって遊んでいたので、自分で触って動かすことで人形に命を吹き込むスタイルが合っていました。

――手間と時間のかかる技法ですが、大変だったことはなんですか。

企画と人形制作、撮影や編集は一人で行いましたが、同じ大学の学生や家族に協力を仰いだところもあります。音楽は東京藝術大学の音楽環境科の学生につくってもらい、セットも家族に手伝ってもらいました。制作期間は1年ほどで、撮影期間は約4カ月です。大学で「スケジュール管理が大事」というのを嫌という程教わったので、簡単なカレンダーをつくって進めていったのですが、時間に間に合わせるのはなかなか難しいですね。

制作現場の様子
写真提供:見里朝希

制作現場の様子
写真提供:見里朝希
制作現場の様子
写真提供:見里朝希

次のステップへ進むために

――今後はどのように制作していきたいですか。

「やりたいことはたくさんあるが、世界中の人に認めてもらえるクリエイターになりたい」と語る見里さん
「やりたいことはたくさんあるが、世界中の人に認めてもらえるクリエイターになりたい」と語る見里さん

今はフリーランスとしてお仕事をしているのですが、そこで優秀な人たちと関わったことで、チームで制作をすることに魅力を感じています。一人だと自由度がある反面、限界もあると思います。大作をつくるには人数が必要ですし、そのためのチームワークを学んでいかないといけません。
さまざまな人たちと関わることができるよう、制作を続けなければと思っています。

審査員・評価員に作品のメッセージを伝えるため、さまざまな手を尽くしたという見里さん。トークイベントでも、「自分が思った作品のおもしろさや魅力を伝える力が大事」と審査員から発言がありました。作品の魅力だけでなく、コンセプトや技術、制作の様子などをしっかりと提示することも大切なようです。

後編では、ユニークな素材を扱うアーティストにインタビューを行いました。

Text:浅野靖菜
Photo:櫛引典久

学生CGコンテストとは

当初はCG(コンピューター・グラフィックス)を使用した作品を部門ごとに募集していたが、テクノロジーの普及や多様化、学生が技術面での習熟を受け、現在はジャンル不問、テーマも自由で、広く才能ある学生(CG=キャンパス・ジーニアス)を発掘する場として機能している。

第24回学生CGコンテスト

応募作品:439作品
ノミネート:アート部門41作品、エンターテインメント部門43作品

アート部門

審査員(主査):寺井弘典(P.I.C.S. クリエイティブディレクター、多摩美術大学特任教授)
審査員:久納鏡子(アーティスト)
審査員:陣内利博(武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科 教授)
評価員:大山慶(株式会社カーフ代表取締役/プロデューサー)
評価員:萩原俊矢(ウェブ・デザイナー)
評価員:藤木淳(アーティスト、表現研究)
評価員:やんツー(美術家)

エンターテインメント部門

審査員(主査):塩田周三(株式会社ポリゴン・ピクチュアズ 代表取締役)
審査員:荒牧伸志(監督、SOLA DIGITAL ARTS CCO)
審査員:市村龍太郎(株式会社スクウェア・エニックス プロデューサー)
評価員:井口晃慶(KLab株式会社 クリエイティブ部 グループマネージャー)
評価員:須貝真也(株式会社サブリメイション CGIディレクター)
評価員:齋藤和丈(株式会社デジタル・フロンティア シニアデザイナー)

https://campusgenius.jp/2018/

[お問い合わせ]

上映予定
『ホフマニアダ ホフマンの物語』併映/短編映画『マイリトルゴート』

  • 映画『ホフマニアダ ホフマンの物語』上映前に、短編映画『マイリトルゴート』を上映いたします。
  • 日時:2019年4月2日(火)〜4月26日(金) 11:00/16:00/18:30
  • ※毎週月曜および4月20日(土)は休映
  • ※4月21日(日)は11:00の回のみ上映
  • 場所:東京都写真美術館 1Fホール
  • http://topmuseum.jp/contents/exhibition/movie-3400.html
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