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アートのスペシャリスト
No.010
日本とスペイン語圏の文化交流の架け橋に
セルバンテス文化センター東京 館長 アントニオ・ヒル・デ=カラスコさん
「日本におけるスペイン年」がスタートする2013年(10月〜2014年7月)。日本とスペイン語圏の文化交流の拠点として、スペイン語講座の開講、展覧会やスペイン語圏の文学・芸術・歴史に関する文化イベントなどを無料で開催しているスペイン国営セルバンテス文化センター東京の館長、アントニオ・ヒル・デ=カラスコさんに、現職に就くまでの経緯、施設やスペイン文化の魅力についてお話しいただきました。

語学や異文化への興味から、他国でスペイン文化を普及する仕事に

――世界70か所以上にあるセルバンテス文化センターの中でも、東京センターは最大規模を誇るそうですね。語学教室を中心に、図書館や書店、レストランなどを備え、展覧会や映画などの文化イベントも充実した施設だと感じました。カラスコ館長がこのような国際交流の仕事に就かれたきっかけを教えていただけますか?

セルバンテス文化センター東京(麹町駅徒歩3分、市ヶ谷駅徒歩6分、四ツ谷駅徒歩7分)
セルバンテス文化センター東京(麹町駅徒歩3分、市ヶ谷駅徒歩6分、四ツ谷駅徒歩7分)

子どもの頃から語学に興味があり、フランス語が話せるようになったのは11歳でした。今では英語、トルコ語、アラビア語など9か国語が話せますが、若い頃から海外に行って異文化に触れたいという強い思いがあり、小学校・中学校の教師を経た後、在マンチェスタースペイン大使館教育部長を務め、教育分野で各国と国際交流をはかってきました。セルバンテス文化センター館長に就任したのは1992年で、これまでにイギリス、エジプト、イスラエル、シリア、レバノン、トルコで館長を務め、2012年9月、東京センターに着任しました。

――東京センターの館長に着任された経緯を教えてください。

これまで英語圏と中東圏の文化を追求してきましたので、東洋文化を深く知る意味でもインドや中国、日本に興味があり、赴任先の第1希望に東京、第2希望にニューデリーを挙げました。本部での会議で、私が最も経歴の長い館長であり、トルコのイスタンブール、シリアのダマスカス、レ バノンのベイルート、エジプトのカイロなど文化の異なる各都市の館長を歴任してきたこと、またマンチェスターではセルバンテス文化センターの開館にかかわるなど、大きなプロジェクトを指揮してきた経験が買われ、2013年の「日本におけるスペイン年」を率いるのにふさわしい人物だと判断されたようです。

スペイン語講座の様子。無料体験レッスンや館内ツアーの申込も予約制で受付
スペイン語講座の様子。無料体験レッスンや館内ツアーの申込も予約制で受付

――東京を一番に希望したのはなぜですか?

日本人が秩序正しくまじめで働き者であることに、魅力を感じていました。私はアンダルシア出身で、「アンダルシアの人は時間に正確ではない」と昔からいわれているようなのですが、私は例外で(笑)。時間に厳しく秩序を重んじる性格のため、日本でうまくやれるのではないかと思っていました。実際にその通りで、東京で仕事ができてうれしいですね。

フェデリコ・ガルシア・ロルカ図書館。約1万冊の蔵書を無料で閲覧できる
フェデリコ・ガルシア・ロルカ図書館。約1万冊の蔵書を無料で閲覧できる

スペインやラテンアメリカのアート作品を常時展示しているギャラリー
スペインやラテンアメリカのアート作品を常時展示しているギャラリー

160人収容可能なオーディトリアム。映画上映やダンス、講演会などを開催
160人収容可能なオーディトリアム。映画上映やダンス、講演会などを開催


日本でまだ知られていない、スペイン文化の魅力

――日本とスペインの文化で共通するものはありますか?

オーディトリアムでのイベントの様子
オーディトリアムでのイベントの様子

日本はスペインから遠い国ですが、両国は何か繊細なものを共有しているのではないかと思います。例えば、日本のフラメンコ・ダンサーの小島章司さんは、スペインの偉大なフラメンコ・ダンサーの一部にしか到達し得ないものを自分のものにされていると思います。

――フラメンコなどで親しみのあるスペインですが、日本で知られていない文化もあると思います。スペイン語圏の文化をいくつかご紹介いただけますか?

スペイン北東部のアラゴン地方で始まった「ホタ」という民謡と舞踊があります。ケルトの影響を受けたグループでの歌や踊りで、フラメンコとはまた違う魅力があり、日本の方も気に入ると思います。ガリシア地方の「ムニェイラ」はカラフルな衣装も魅力です。カタルーニャ地方の「サルダナ」はテンポが遅いので、どうかな(笑)。トマトをぶつけ合う祭り「ラ・トマティーナ」はご存じですよね? 料理では、スペインのパエージャやハモン(生ハム)は知られているのですが、エストレマドゥーラ州やアンダルシア州の地方料理もおすすめです。パンくずを意味する「ミガス」という名前の、残り物のパンでつくる、お米を使わないパエリアのような料理があり、イワシやメロンを付け合わせにします。アーモンドとにんにくでつくる冷たいスープ「アホ・ブランコ」は夏にいいですし、ペースト状のガスパチョ「サルモレッホ」はお腹いっぱいになりますよ。


「スペインイヤー」では、多彩な文化イベントを企画

――2013年10月から「日本におけるスペイン年」が始まります。どのような展覧会や文化イベントがありますか?

まずはノーベル賞作家、スペインとペルーの国籍をもつマリオ・バルガス=リョサ氏と日本人作家との対談を予定しています。また、世界21か国のスペイン語圏の大使館から言語アカデミーの代表と、スペイン語学部を持つ大学から研究者を招へいし、スペイン語とスペイン語圏の文化の価値についての会議を開催します。2013年はまた、慶長遣欧使節団派遣400周年にあたり、歴史の検証を行う会議も行います。音楽を介した対話として、ギター奏者のダビ・マルティネスと日本人の琴奏者によるコンサートも考えています。

――それは待ち遠しいです。年始にはどのような文化イベントがありますか?

スペインで継続して行われている現代美術展「ARCO」や、スペインの磁器メーカー「リヤドロ」のダンスをテーマにした作品展があります。ゴヤ賞6部門で受賞したスペイン映画「悪人に平穏なし」(2013年2月公開)の試写会も行います。世界的に著名な作家であるエドゥアルド・メンドサと詩人のホセ・マリア・アルバレスの講演会もあります。また、日本のスペイン語研究者による講演会シリーズを企画しており、その第1回に東京大学教授の上田博人さんをお招きします。

――貴重なイベントが多いですね。最後にメッセージをお願いします。

スペイン語は世界21か国の公用語で、総話者数が約5億人におよぶコミュニケーション言語として世界第2位、インターネットのユーザー数では第3位の言語です。今後、スペイン語は英語に匹敵するコミュニケーション・ツールになるでしょう。言語を学ぶことで広がる世界もありますので、ぜひスペイン語を学びに、また文化や芸術にふれに、気軽にセルバンテス文化センター東京に足をお運びください。

■Information

「ARCOマドリッド巡回展」より
「ARCOマドリッド巡回展」より

スペイン国立バレエ団
スペイン国立バレエ団

アントニオ・ナハーロ
アントニオ・ナハーロ

■展覧会
・ARCOマドリッド巡回展:スペイン写真の25年
 会期:1月23日(水)〜4月10日(水)

・リヤドロとダンス
 会期:1月29日(火)〜2月9日(土)

※展覧会は入場無料/予約不要
 開館:月〜土曜日10:00〜20:00、日曜日10:00〜14:00
 休館:2月11日(月・祝)、3月20日(水・祝)

■イベント
・スペイン国立バレエ団芸術監督講演会「アントニオ・ナハーロ:ダンスに捧ぐ人生」
 日時:2月8日(金)19:00〜

・外国語としてのスペイン語教育・学習における価値の優先性
 日時:4月12日(金)19:00〜

・文学 世界本の日 ホセ・マリア・アルバレスとの出会い
 日時:4月23日(火)19:00〜

※イベントは参加無料/ウェブサイトから要予約


インタビュー・文/白坂ゆり

アントニオ・ヒル・デ=カラスコ ANTONIO GIL DE CARRASCO

1954年、スペイン(グラナダ)生まれ。1976年、グラナダ大学教職課程一般基礎教育人文科学専攻修了。1980年、グラナダ大学哲文学部卒業。小学校・中学校教師、在マンチェスタースペイン大使館教育部長を経て、1992年からセルバンテス文化センター館長を歴任。2012年9月、東京センターに就任。「日本におけるスペイン年」を牽引する。
セルバンテス文化センター東京 公式HP http://cervantes.jp

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