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トーキョー・アートスポット
南青山の複合文化施設「SPIRAL」
SPIRAL チーフキュレーター 岡田 勉さん

今年2009年に25周年を迎えるSPIRAL。20年のキャリアを持ち、現在チーフキュレーターを務める岡田勉さんに、SPIRALがこれまでやってきたこと、これから目指す方向性を伺います。アート作品の展覧会、コンテンポラリーダンスの上演だけではない、SPIRALの事業を紹介します。

art-lifeシリーズより 大巻伸嗣 「Flotage」 2005 「art-life+ vol.8 手塚愛子展 薄い膜、地下の森」 2007 (c)Katsuhiro Ichikawa

写真左から:art-lifeシリーズより 大巻伸嗣 「Flotage」 2005 、「art-life+ vol.8 手塚愛子展 薄い膜、地下の森」 2007 (c)Katsuhiro Ichikawa

── 岡田さんがキュレーションしている1Fの展示スペースは、どう使われているのですか?

 かつてはゲストキュレーター制をとっていて、現在、森美術館の館長である南條史生さんや国立国際美術館館長の建畠晢さんなどを招き、企画展を行っていました。複合文化施設として、SPIRALでいう「アート」という意味の幅は広いんです。私がやっているファインアートもそうですが、お芝居を見たり、コンサートで演奏を聴いたり、2Fでお買い物をすること、エステティックサロンできれいになっていただくことも、美味しい食事を取っていただくことも、その時間や空間、全部含めて「アート」と呼んでいます。それは今、現在を楽しんでいただきたい、それがまさに「コンテンポラリー」である理由です。

 そういった意味を踏まえて、ギャラリーのように積極的に作品を販売するというのではなく、美術館のようにアートのみを紹介するでもなく、スパイラルはアートセンターであると考えています。若手アーティストの発掘と支援をする、そしてオーディエンス(鑑賞者)の豊かさのためにいろいろなことをしているのです。例えば「art-life」や「art-life+」といったプロジェクトは、次代をになう若手作家による展覧会です。これまで秋山さやか、大巻伸嗣、手塚愛子といったアーティストが展示を行っています。


柏の葉キャンパスシティ 「ピノキオプロジェクト」 2007 特別養護老人ホーム「グリーンライフ」 2007 (c)Gentaro Ishizuka 大阪西梅田 「ブリーゼタワー」 2008

写真左から:柏の葉キャンパスシティ 「ピノキオプロジェクト」 2007、
特別養護老人ホーム「グリーンライフ」 2007 (c)Gentaro Ishizuka、大阪西梅田 「ブリーゼタワー」 2008

── SPIRALという場所以外でも、いろいろ活動なさっていますね。

 そうですね。こうした活動を20年以上続けていると、いろいろなノウハウが蓄積されていきます。それを館外にも展開できるようになりました。例えば、2005年に行われた「愛・地球博 アートプログラム事業」のキュレーション&プロデュースや、現在手掛けている「柏の葉プロジェクト」。最近開発された柏の葉というエリアの、街づくりをお手伝いしています。展示するだけでなく、ダンスグループのイデビアン・クルーのメンバーなどによる「はっぱっぱ体操」もつくっているんですよ。この体操が、柏の葉に住む人たちのコミュニケーションツールのひとつになればと考えています。

 企業からも声が掛かることもあります。大阪にできた「ブリーゼタワー」には、画家の曽谷朝絵さんなどと、パブリックアートの設置に関わる仕事もしています。また、横浜にある老人ホームでは、色彩計画を画家の津上みゆきさんに依頼し、周辺の自然を調べ、部屋にいながらでも四季折々の移り変わりを感じ取れるよう、全室すべてに色彩の変化をつけました。できあがったあと、この老人ホームには大きな変化がありました。まず訪ねてくる家族が増えたこと。そして、部屋にこもりきりになる入居者が減ったこと。高価な美術品を置く、というパブリックアートもいいけれど、アーティストも社会に果たすべき役割があるという証明ができました。

 そして海外展開ですね。葉山有樹さんというやきものの作家さんがいます。作品を見ると、非常にオーソドックスで伝統的なやきもののように見えます。しかし非常に高度なテクニックを持っていて、いまの技術で出すことができる78種類の色が再現された作品があります。これは、技術見本といってもいいくらいクオリティの高いものです。また、描かれているモチーフのいくつかは、劇画のようです。すべての絵柄、文様に物語があり、彼がほとんどすべて、物語を書き、そこから絵を起こし、絵付けをしていくんです。彼の展示をSPIRALでしたあと、フィンランドのデザインミュージアムに巡回しました。こうした企画もしているんですよ。


Yuki Hayama Exhibition 「A PATTERN ODYSSEY」 (c)Naoya Hatakeyama 会場風景(2007年) Yuki Hayama Exhibition 「A PATTERN ODYSSEY」 (c)Naoya Hatakeyama 万花色壺

Yuki Hayama Exhibition 「A PATTERN ODYSSEY」 (c)Naoya Hatakeyama
写真左から:会場風景(2007年)、万花色壺

── これからSPIRALはどうなっていくのでしょうか?そして、若い人たちにメッセージを。

 社会でニーズがある限り、そう確信していますが、アーティスティックなアイデアを実社会で活用していきたいと考えています。スパイラルバンクの充実をし、活性化させていきたいですね。ウェブは参加したい意思があれば、1億人でも60億人でも参加できるわけです。世界中の才能が集結されて、新しいアイデアや、世の中をより豊かに、より面白くできるお手伝いができればいいと思っています。

 そしてSPIRALを、コミュニケーションの場として発展させていきたいです。そのためにはアーティストをプロデュースしていく、展覧会をキュレーションできる、そういった人材を増やしていかなくてはいけません。担い手というのは実に重要で、今年度は「アートライター養成講座」を開講しました。まずは、講座を通じて、理解されにくいコンテンポラリーアートの新しい表現を伝えることができる人材の育成を目指しています。日本が新しい文化の創造に対して、世界の中心を担っているんだ、という状況になるお手伝いを自分の仕事を通じてできたらいいなと思いますね。

インタビュー・文/藤田千彩

 SPIRAL
住所 〒107-0062 
    東京都港区南青山5-6-23
電話 03-3498-1171(代表)
時間 11:00〜20:00
http://www.spiral.co.jp
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岡田 勉氏 写真

岡田 勉(おかだつとむ)

1963年、横浜生まれ。1988年、株式会社ワコールアートセンター入社。同社が運営する複合文化施設SPIRALのギャラリーにて、チーフキュレーターとアートプロデュースマネージャーを兼任。SPIRAL内で開催するコンテンポラリーアート展の企画・プロデュースだけでなく、外部施設、企業、公共団体のための企画展、パブリックアートのプロデュースなども手がけている。2005年の愛・地球博では、公式アートプログラム事業のキュレーターを務めた。近年、その活動は国内にとどまらず、海外にも展開。また、若手アーティストの発掘・育成・支援活動にも尽力している。
http://artgene.blog.ocn.ne.jp
/okada

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