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トーキョー・アートスポット
西新宿・初台の劇場都市「東京オペラシティ」

東京オペラシティで、アートギャラリー、コンサートホール、リサイタルホールの運営管理と自主企画の制作をしているのが、財団法人東京オペラシティ文化財団です。大きく美術と音楽の2つの部門があり、美術事業であるアートギャラリーでは絵画の発表を行う「project N」、音楽ではオーケストラ曲を対象とした作曲コンクール「武満徹作曲賞」で若手支援を行っています。今回はそれぞれ企画を担当されている、飯田志保子さん、国塩哲紀さんにお話しをお聞きし、事業の目的や意義についてお伺いしました。

 若手作家の育成・支援「project N」

── 「project N」の成り立ちを教えてください。

東京オペラシティアートギャラリー外観

東京オペラシティアートギャラリー外観

 東京オペラシティアートギャラリーがオープンしたのが、平成11年。「project N」は、開館記念展No.2の「難波田龍起展」から始まりました。当館コレクションの中心である難波田龍起という作家の、若手を支援するという遺志を引き継ぎ、個展のシリーズを開催しています。難波田は、日本の抽象表現を切り拓いた作家の一人で、70年以上に及ぶ画業を通して、西洋にはない日本的な抽象表現の可能性を追求し続けました。難波田は若い頃、詩人で彫刻家の高村光太郎との出会いによって、その生き方や芸術観に強い影響を受け、絵画の道を志すようになります。その後一時、川島理一郎に師事するなど先達の支えがありながらも、ほぼ独学で独自の抽象絵画を確立しました。平成8年に文化功労賞を授与されると、難波田はその年金を使わず、若手の育成に役立ててほしいとご遺族を通して財団に寄付してくださいました。「project N」の“N”はそうした経緯で、難波田の苗字のNを冠しています。当初は5年間のシリーズを予定していましたが、反響が出てきたこと、若手支援の意義もあり、現在もプロジェクトは継続しています。

── 個展という形式にしているのはなぜですか?

 特にこの3、4年は、若手の作家を紹介する場やチャンスが増えていますが、私たちがこのシリーズを始めた10年ほど前は、まだ限られた方法でしか紹介の機会がありませんでした。当時、作家が作品を発表するには、アルバイトをして貸画廊を借りて個展をするというのが主流。そういった背景のもとで、このスペースは来館した誰もが通るコリドール(回廊)という場の性質を活かし、ここに来れば一人の作家の活動をまとめて見ることができ、また作家にも発表できる場だと認知してもらおうと、個展の形式をとりました。単に「展示する場所を提供する」のではなく、美術館規模のスペースで不特定多数の人の目にさらすということになります。東京オペラシティアートギャラリーとして「この作家を見せたい」ということで展示をしています。

── 作家の選出方法について教えてください。

 アートギャラリーには、4名の学芸員がいます。毎年秋ごろに、近年まわった展覧会、画廊、卒展、推薦、ポートフォリオの情報などをもとに、学芸員みんなで10名ほどの候補者をあげます。その後、館長や名誉館長の寺田小太郎さん、当財団の理事・評議員の中の美術関係者を含めた「選考委員会」で候補者から4名を選びます。難波田が画家だったことから、主に絵画表現をされている方で美術館規模での発表がない方、新しい試みを切り拓いていこうとする作家の精神性をサポートしていきたいと考えています。そしてまた、評価基準や私たちの考え方も、時代に合わせて柔軟に対応していきたいですね。現代美術は時代と共にあるので、時代が変わってしまったのに評価基準が同じでは、現代美術ではなくなってしまいますので。時代にマッチしたものに変えていく力も、美術館には必要だと思います。


 information
project N 原良介展 会場風景

project N 原良介 展会場風景

project N 36 原良介
2009年1月17日(土)〜3月22日(日)

「作品は知っていましたがトーキョーワンダーサイトで実物を見て以来、いいと思って今回の展示をお願いしました。2点は近作で、あとは全部新作です。風景の中に同一人物が複数同時に登場する作品が特徴的でしたが、今回の展示はそこから一歩進んだ原さんの抽象的な思考を見ることになるでしょう。project Nでは作家にも新たなチャレンジをしてもらいたいので、面白い展開になりそうです」。(飯田)

2009年度のラインナップ
project N 37 阿部岳史 2009年4月11日(土)〜6月28日(日)
project N 38 山下美幸 2009年7月18日(土)〜9月27日(日)
project N 39 住田大輔 2009年10月17日(土)〜12月27日(日)
project N 40 熊谷直人 2010年1月16日(土)〜3月22日(月・祝)

詳細は公式ホームページからご確認ください。
http://www.operacity.jp/ag

東京オペラシティ 写真

東京オペラシティ

所在地:東京都新宿区西新宿3-20-2
交 通:京王新線「初台駅」東口徒歩1分
http://www.tokyo
operacity.co.jp

飯田志保子(いいだしほこ)

飯田志保子(いいだしほこ)

1998年多摩美術大学美術学部芸術学科卒業。同年より(財)東京オペラシティ文化財団に在籍、東京オペラシティアートギャラリー準備室で開館業務に就く。1999年の開館以後2003年まで国内若手作家の個展シリーズ「projectN」を担当。東京オペラシティアートギャラリーで、「ヴォルフガング・ティルマンス:Freischwimmer」
(2004)、「トレース・エレメンツ―日豪の写真メディアにおける精神と記憶」(2008)などの展覧会企画を担当。

 若手作曲家の発掘・顕彰「武満徹作曲賞」

── 「武満徹作曲賞」の成り立ちを教えてください。

東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル

東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル

 作曲家 武満徹は、東京オペラシティの建設中から文化施設検討懇談会のメンバーとして、そして文化財団設立後は芸術監督として尽力してくださいましたが、残念なことに1996年2月、ホールオープンの1年半あまり前に亡くなってしまいました。在任中、芸術監督として最も力を注いだ企画が、若い才能の発掘・創作奨励を目的とした、オーケストラ作品の作曲コンクール「ネクスト・ミレニアム作曲賞」の創設です。それは「毎年一人の世界的作曲家が審査員をつとめ、それぞれ独自の判断でその年の受賞作品を選考する」という武満徹ならではの画期的なアイデアでした。武満自身、若い頃にストラヴィンスキーに見出されるなどした人なので、この賞も35歳以下の若い世代を対象としています。ホールのオープニングシリーズの一環として1997年11月に第1回を実施し、翌年からは「武満徹作曲賞」と名称を改め、現在まで継続しています。

── 審査員はどのように選ばれるのでしょうか。

 最初の3年間の審査員、アンリ・デュティユー、ジェルジ・リゲティ、ルチアーノ・ベリオは、武満徹の指名によって選ばれた3人です。2002年までは、この審査員3名がそれぞれ次の審査員を推薦するというように、審査員が決まっていました。途中お休みの年もありましたが、その後は国内外の作曲家や指揮者達によるアドヴァイザリー・コミッティにより審査員を選定し、現在2012年度までの審査員が決定しています。審査員となる作曲家はたった一人、世界屈指の人が担当します。応募してくる人たちも、誰でもいいという人もいるだろうし、審査員の作曲家を選んで出すこともできるため、ユニークであると同時に、他の作曲コンクールと比べてかなりリベラルと言えますよね。

── 審査はどのように行われるのですか?

 事務局で書類不備などはチェックしますが、基本的に審査員がたった一人で譜面審査から審査を行います。譜面にはタイトルと受付番号のみ、名前などの個人情報が分かるものは一切載せません。譜面審査を通った作品は本選演奏会で上演、最終審査を行い、受賞作品を選びます。年によって応募数も、応募してくる人の国籍なども異なります。2009年度はドイツのヘルムート・ラッヘンマンが審査員となり、日本、中国、韓国といったアジア地域、アメリカはもちろんイタリア、スペインといったヨーロッパ、東欧や南米といったエリアの若手作曲家の応募がありました。

── 若手作曲家にとって、どういうメリットがありますか?

 譜面審査で選ばれたファイナリスト達の作品は、最終審査として東京オペラシティコンサートホールで、自分が作曲した曲をオーケストラが演奏するという機会が与えられます。若手作曲家にとって、このようなチャンスはめったにないでしょう。リハーサルする時間をきっちり用意して、作曲家として出演するプレーヤーに指示をし、審査終了後には審査員と意見を交わすことができる。そしてNHKがFMでオンエアしてくれたり、会場にいる人たちだけではなく多くの人たちが聴いているということ。受賞者に対して新たに委嘱を行なうなど継続的なアフターフォローはありませんが、自分が尊敬する作曲家(審査員)に評価されることは大きな自信につながるでしょうし、作曲家としてやっていこうという意志があれば、こうした場の広がりを実感でき、次につなぐことができるのではないでしょうか。

 information
武満徹

武満徹

「武満徹作曲賞」審査員

2010年度 トリスタン・ミュライユ(フランス)
2011年度 サルヴァトーレ・シャリーノ(イタリア)
2012年度 細川俊夫(日本)

トリスタン・ミュライユ

トリスタン・ミュライユ

サルヴァトーレ・シャリーノ (c)Mauro Fermariello

サルヴァトーレ・シャリーノ
(c)Mauro Fermariello

細川俊夫 Photo: Schott Promotion Christopher Peter

細川俊夫
Photo: Schott Promotion
Christopher Peter

■審査方法
譜面審査/楽譜により本選で演奏される作品を選考。
本選/東京オペラシティコンサートホール:タケミツメモリアルにおいて、東京オペラシティ文化財団が主催する演奏会で上演審査し、受賞作品を選考。

■賞
賞金/各年度総額300万円
但し、審査員は賞を保留または分割することがある。本選で演奏される作品の作曲者は、本選演奏会に招待される。

■応募者の資格
年齢/応募受付年の年末において満35歳を超えない者。
国籍/不問

■応募の締切
2010年度審査作品 2009年9月30日(水)
2011年度審査作品 2010年9月30日(木)
2012年度審査作品 2011年9月30日(金)

詳細は公式ホームページからご確認ください。
http://www.operacity.jp/concert

次回は…
渋谷のアートスポット、Bunkamuraを紹介します。[4月23日(木)アップ予定]

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国塩哲紀(くにしおてつき)

国塩哲紀(くにしおてつき)

1962年岡山市生まれ。中央大学文学部文学科ドイツ文学専攻卒業。岡山シンフォニーホールプロデューサーを経て、1996年から東京オペラシティ文化財団プロデューサー。これまでに「武満徹作曲賞」審査員として来日したスティーヴ・ライヒやルチアーノ・ベリオ、マグヌス・リンドベルイらの作品演奏会をはじめ、アンサンブル・モデルン初来日公演(1998)、「武満徹没後10年特別企画 東京オペラシティ音楽⇔美術共同プロジェクト『Visions in Time』」(2006)などを手がける。

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