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トーキョー・アートスポット
史上初の試み!? 狩野一信筆《五百羅漢図》一挙公開 前編
東京都江戸東京博物館

3月15日(火)から東京都江戸東京博物館で開催される特別展「五百羅漢―増上寺秘蔵の仏画 幕末の絵師 狩野一信」は、今から約150年前の幕末期に活躍した絵師が、芝・増上寺に残した仏画100幅を一挙公開する初の展覧会です。今回展示される《五百羅漢図》は、高さ170cmを超える巨大な掛軸。全100幅で500人の羅漢が描かれるという空前絶後の大作です。ところが公開される機会が乏しく、《五百羅漢図》も本図を描いた狩野一信(1816-63)もいつしか忘れ去られ、今では知る人ぞ知る存在になってしまいました。《五百羅漢図》とはどんな作品なのか、2回に分けて紹介します。
 何じゃこりゃ! 地獄絵入りの五百羅漢図

狩野一信 《五百羅漢図》 1854〜63 絹本着色 172.3×85.8cm 増上寺蔵 第22幅「六道 地獄」

狩野一信 《五百羅漢図》 1854〜63 絹本着色 172.3×85.8cm 増上寺蔵 第21幅「六道 地獄」

狩野一信 《五百羅漢図》 1854〜63 絹本着色 172.3×85.8cm 増上寺蔵
左/第22幅「六道 地獄」 右/第21幅「六道 地獄」

この春、東京都江戸東京博物館で展示される《五百羅漢図》は、所謂ふつうの羅漢図ではありません。“悟りを開いた聖人である羅漢を信仰の対象として画面の中央に描いて終わり”ではなく、500人の羅漢が巻き起こす奇跡の数々が、約172×85cmという巨大な画面に100シーンも描かれているのです。これは現存する羅漢図として、サイズ、量、描き込みのどれをとっても規格外! 上図は《五百羅漢図》のうちの2幅ですが、肝心の羅漢よりも地獄の描写に絵師の技が冴えます。こんな強烈な作品が100幅並ぶ展覧会……、密度の濃さは保証付きです。

 とにかく凄い! 常識破りの五百羅漢図

狩野一信 《五百羅漢図》 第22幅 「六道 地獄」(部分) 増上寺蔵

狩野一信 《五百羅漢図》 第22幅 「六道 地獄」(部分) 増上寺蔵

狩野一信 《五百羅漢図》 第22幅 「六道 地獄」(部分) 増上寺蔵

狩野一信 《五百羅漢図》 第22幅 「六道 地獄」(部分) 増上寺蔵

“100幅セットの五百羅漢図”は日本の絵師の誰も成し得なかった試みで、作者の一信は日本各地の寺を巡り、「日本全国ニ未タ百軸ノ五百羅漢ノ画像ナシ」と確認したところで、前人未到の《五百羅漢図》制作を開始しています。実際は、京都の大徳寺に100幅(大徳寺に現存するのは82幅)の五百羅漢図が存在するのですが、描いたのは林庭珪と周季常という南宋の絵師なので、日本の絵師としては初! もうひとつ一信独自の試みと言えるのが、羅漢図に地獄の様子を取り入れた点。通常、地獄は閻魔大王などが描かれる十王図に登場しますが、一信は第21幅から第24幅まで地獄を描いており、全100幅の中で最も躍動感あふれるのもこの地獄の場面。執拗なまでのディテールの描き込みは、圧巻の一言。

 摩訶不思議! 異様な空気が漂う五百羅漢図

狩野一信 《五百羅漢図》 1854〜63 絹本着色 172.3×85.8cm 増上寺蔵 第50幅「十二頭陀 露地常坐」

狩野一信 《五百羅漢図》 1854〜63 絹本着色 172.3×85.8cm 増上寺蔵 第49幅「十二頭陀 冢間樹下」

狩野一信 《五百羅漢図》 1854〜63 絹本着色 172.3×85.8cm 増上寺蔵
左/第50幅「十二頭陀 露地常坐」 右/第49幅「十二頭陀 冢間樹下」

《五百羅漢図》は基本2幅の対で、各幅に設けられた画題に沿った内容が描かれています。上の2幅は羅漢の修行の様子で、気になるのは妙に薄暗い画面に浮かび上がる月光と逆光のコントラスト。幕末期の日本には、開国と同時に西洋画も流通するようになり、一信もそれらに影響を受け、見よう見まねで陰影法を取り入れていることがわかります。もともと羅漢はインドの修行者なので、エキゾチックな雰囲気はあって当然なのですが、一信の習得した狩野派の技法と西洋画の陰影法がごちゃ混ぜになり、異国情緒を通り越した、あくの強い画面になっているのが面白いところ。幕末という時代の流行や空気感を敏感に反映している点からは、一信の好奇心の軌跡を見てとることもできます。

 細部に注目! どこか笑える五百羅漢図

狩野一信 《五百羅漢図》 増上寺蔵より

狩野一信 《五百羅漢図》 増上寺蔵より

狩野一信 《五百羅漢図》 増上寺蔵より

狩野一信 《五百羅漢図》 増上寺蔵より

狩野一信 《五百羅漢図》 増上寺蔵より

狩野一信 《五百羅漢図》 増上寺蔵より

狩野一信 《五百羅漢図》 増上寺蔵より

狩野一信 《五百羅漢図》 増上寺蔵より

狩野一信 《五百羅漢図》 増上寺蔵より

いずれも狩野一信 《五百羅漢図》 増上寺蔵より

《五百羅漢図》の見どころは何と言っても、画面を埋め尽くす細部の描き込み。よくよく見るとマンガチックで、絵師のユーモアが随所にちりばめられていることがわかります。動物も頻繁に登場し、猿や鹿に説法する羅漢の姿には思わずにんまり。また、羅漢のシンボルである光輪がないと、羅漢はどこかのオジサンにしか見えず、羅漢信仰の「五百羅漢に会いに行くと亡き人に会える」という俗信にも納得の表情をしています。とても100幅全てを紹介することのできない《五百羅漢図》の魅力は実物でしか体感できないものですので、是非展覧会場で生の《五百羅漢図》をご堪能ください。約150年の時を経て甦る、凄まじい迫力に圧倒されること間違いなしです!

次回は……
引き続き絵師の一信について、《五百羅漢図》の制作背景などを紹介します。[3月17日(木)アップ予定]

狩野一信 《五百羅漢図》 第57幅 「神通」(部分) 増上寺蔵
狩野一信 《五百羅漢図》 第57幅 「神通」(部分) 増上寺蔵

法然上人八百年御忌奉賛
特別展「五百羅漢―増上寺秘蔵の仏画 幕末の絵師 狩野一信」

会期/3月15日(火)〜5月29日(日)
※開幕日が延期となりましたので、詳細は公式HPよりご確認ください
休館/月曜日(ただし3月21日、5月2日、5月16日は開館予定)、3月22日(火)
時間/9:30〜17:30(土曜日は19:30)
料金/一般1300円、大学・専門学校生1040円、65歳以上・高校・中学・小学生650円
会場/東京都江戸東京博物館1階展示室
交通/大江戸線両国駅A4出口より徒歩1分、JR両国駅西口より徒歩3分 他

http://500rakan.exhn.jp/

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