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トーキョー・アートスポット
現代に生きるアーティストの新しい表現を知る
国立新美術館

ビョルン・メルフス《夜番 | ナイトウォッチ》2010年 ビデオ・インスタレーション (c) Bjorn Melhus
ビョルン・メルフス《夜番 | ナイトウォッチ》2010年 ビデオ・インスタレーション (c) Bjorn Melhus

2008年から毎年、国立新美術館で開催されている展覧会「アーティスト・ファイル」。現代アートシーンで活躍するアーティストが毎回登場します。4回目となる今回は、クリスティン・ベイカー(アメリカ)、バードヘッド(中国)、タラ・ドノヴァン(アメリカ)、岩熊力也、鬼頭健吾、松江泰治、ビョルン・メルフス(ドイツ)、中井川由季という国内外の作家8組の作品が並びます。

 参加アーティストと展示構成

岩熊力也《reverb(無頭のスフィンクス、逃げるウサギ、偽ウサギ)》2007年 アクリル/ポリエステル、木枠 高橋コレクション蔵 撮影/末正真礼生 写真提供/コバヤシ画廊
岩熊力也《reverb(無頭のスフィンクス、逃げるウサギ、偽ウサギ)》2007年 アクリル/ポリエステル、木枠 高橋コレクション蔵 撮影/末正真礼生 写真提供/コバヤシ画廊

「アーティスト・ファイル2011」の展示構成は、アーティストごとに展示スペースが区切られ、高さと広さのあるホワイトキューブの空間に8組それぞれの世界観が打ち出されています。最初に紹介されているのはクリスティン・ベイカーで、アクリル製の巨大なパネルを支持体に、抽象と具象の境界にあるような作風の絵画が並びます。ベイカーは、学生時代からカーレースをモチーフに作品を制作。次第にロマン主義の悲劇性やスペクタクル性にカーレースとの共通点を見出し、4メートルを超す《ペルセウスの筏》にはジェリコーの《メデューズ号の筏》の参照などが見られます。古典、絵画といったキーワードで作品を追うと、新たな発見があるかもしれません。
次に続くのは、写真家として著名な松江泰治の作品スペースです。砂漠、山岳、丘陵、都市など地球の表面を俯瞰的に捉えた写真が展示され、実在する風景でありながら、どこか非日常的な世界が浮かび上がります。3つ目の展示スペースに進むと、壁一面に雲のような光景が出現。アメリカのアーティスト、タラ・ドノヴァンのインスタレーション《霞》です。大量のストローから成る本作は、ミニマルなものの集積によって無限に拡張し表情を変えるという点で、様々に変化する自然を想起させます。中井川由季も、自然からインスピレーションを得た大型のオブジェを出品。現代美術と陶芸の可能性について、注目すべき作品です。
縦13メートル、横12メートルの床一面にはためくスカーフのパッチワークが印象的な鬼頭健吾のインスタレーションは、立体でありながら平面作品、絵画の画面を思わせる1点。作家の「どこまでいっても表面しかありえない世界」が何であるかを、実際に見て体感してみましょう。また、点滅する光の中でテレビや映画の音声を再生し続けるビョルン・メルフスの作品では、「私たちが無意識のうちにメディアにすり込まれた記憶を追求すると、音と光の2つの要素に到達する」という作家の解釈、メディアと社会や個人の関係性を考えるきっかけになるでしょう。一方、ポリエステル布に水墨山水画のような始原的なイメージを投影する岩熊力也の作品鑑賞は、絵画の根源を探求することにつながります。

クリスティン・ベイカー《ワン・ピラミッド・ナイン・フェイス》2010年 アクリル/PVC (c) Kristin Baker, Neil Wong Collection Photo by Farzod Owrang Image Courtesy of  The Suzanne Geiss Company
クリスティン・ベイカー《ワン・ピラミッド・ナイン・フェイス》2010年 アクリル/PVC (c) Kristin Baker, Neil Wong Collection Photo by Farzod Owrang Image Courtesy of The Suzanne Geiss Company

松江泰治《ALTIPLANO 100676》2010年 ビデオ (c)TAIJI MATSUE  Courtesy of TARO NASU
松江泰治《ALTIPLANO 100676》2010年 ビデオ (c)TAIJI MATSUE  Courtesy of TARO NASU

 新たな表現と普遍的なテーマ

絵画、写真、映像、彫刻、インスタレーションまで、多様な表現を見せる本展の締めくくりとなる展示は、上海生まれの作家ソン・タオとジ・ウェイユィのユニット、バードヘッドの作品です。彼らは、凄まじいスピードで経済的な発展を見せる現代の中国・上海に生きる若者たちの日常をカメラで切り取り、展示室の壁一面には263枚の写真作品《過去、現在、未来で手にするものはすべて同じ》を張り巡らせました。急成長する都市と若者たちの姿からはどこか空虚な現実世界が見え隠れし、もうひとつの作品《唐詩―幽州ノ台ニ登ル歌》では、巨大都市の孤独感を明確に打ち出しています。これは、杜甫や李白など唐の詩人に多大な影響を与えた陳子昴(661-702)の「登幽州台歌(※)」をベースにした作品で、上海の街にあふれる看板を撮影した写真から一文字ずつとって詩を構成したインスタレーションです。

※「登幽州台歌」
前不見古人 後不見来者 念天地之悠悠 独愴然面涕下

<訳>
前の時代に活躍し、名を残した人々に会うことはかなうわけもなく、後の時代に出現する、ともに語りたくなるような人々に会うことも不可能なこと。戦国時代の遺跡が残り、悠久の時の流れを感じさせるこの地にあって、悲しみ愴む魂の私ひとり、その思いに涙があふれ落ちる。(山口直樹『図説 漢詩の世界』河出書房より)

時代が変わり、様々な表現手法が試され、新しさが求められる現代にあっても、普遍的な思想やテーマは存在します。日本に生きる私たちも、東京という都市や表現することについて改めて考えさせられる内容といえるのではないでしょうか。

アーティスト・ファイル2011
現代の作家たち

会期/3月16日(水)〜6月6日(月)
休館/火曜日(ただし5月3日・10日は開館)
時間/10:00〜18:00(入館は17:30まで)
料金/一般1000円、大学生500円
会場/国立新美術館
交通/千代田線乃木坂駅6出口直結 ほか
お問い合わせ/ハローダイヤル 03-5777-8600

※今後の状況により、開館日、開館時間の変更の可能性がありますので、来館の際には、国立新美術館ホームページ又はハローダイヤルで必ず確認ください。

http://www3.nact.jp/af2011/

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