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トーキョー・アートスポット
東京をめぐる No.001 ものづくりのまち、徒蔵(かちくら)とは?

さまざまな魅力にあふれた都市、東京。「スポット」では、注目のエリアを毎月とり上げ、そのまちの特徴や歴史的背景、地域密着型のアート活動などを紹介します。今回は、革製品や帽子、ジュエリー、アクセサリーパーツといった装飾品やファッション雑貨を扱う専門店が軒を連ね、職人も多く住む台東区の御徒町・蔵前、略して「徒蔵(かちくら)」から浅草橋周辺を特集。時代の変遷とともに盛衰を繰り返しながら少しずつ変容してきたエリアですが、現在もなお「ものづくりのまち」としての実力は変わりません。特に近年の特徴は、熟練の職人たちに限らず、若いクリエイターが集まり始めていること。製作のための素材が手近に揃う利便性だけでなく、地元に根ざした彼らの活動から、新しい魅力も生まれています。

 職人気質と現代の潮流が混じり合う場

モノマチの会場のひとつ、佐竹商店街
モノマチの会場のひとつ、佐竹商店街

 今年5月、「ものづくりのあるまちづくり」で地域を盛り上げようと、地元の有志たちによって「モノマチ」と名づけられたイベントが開催されました。普段は卸し専門の企業がアウトレット販売を行い、独立系クリエイターは特別商品を用意。日本で2番目に誕生したという佐竹商店街では、区外からの参加者も含む50組以上がアーケードに店を構え、手づくりの商品を直接販売。来客数は3日間で1万人以上を記録し、大盛況を収めました。
 有志のひとりで、蔵前に革小物・バッグの製作スタジオ兼ショップを主宰する「m+(エムピウ)」の村上雄一郎さんは、この徒蔵エリアを「ものづくりに興味のある人なら、誰でも受け入れてくれる懐の深さがある」と言います。以前は別の場所でスタジオを開いていた村上さんですが、革や金具の仕入れに何度も足を運んでいたことをきっかけに、クリエイター創業支援施設、台東デザイナーズビレッジに入居。卒業とともに現在の場所で開業しました。「モノマチをきっかけに、昔からいる職人やメーカーの人たちと途中から移ってきた若手の交流も増えて、とてもいい雰囲気ですよ。顔が見えるし、何をつくっているのか理解も深まり、近所付き合いも良好」と村上さん。イタリア、フィレンツェの工房で修行した革加工技術とセンスは、このまちに支えられ、活かされているとも言えるでしょう。

 11月に開催予定となっている第2回「モノマチ」の中心になっているのが、新御徒町駅にほど近い小島町にある創業80年の硝子食器問屋、木本硝子の3代目、木本誠一さんです。「今回のテーマは『ツール&ルーツ』。ものづくりのツールが揃うエリアで、実際の道具や現場を見てもらい、体験してもらって、魅力を感じてもらいたい。いくら形ばかりをつくっていても、そこに心がこもっていなければ意味がありません。ここでものづくりをしているからには、自分たちの手でまちを盛り上げていきたいと思っています」と情熱的。「伝統工芸だからって、例えば昔と全く同じように江戸切子をつくるのではなく、若手のデザインをとり入れ、それを技術のある職人がつくる。高い品質を保ちつつ、新しいものを生み出せるのもこのまちだからこそ」。御徒町駅から新御徒町駅周辺、小島町と鳥越町を抜けながら蔵前駅近辺へ寄りつつ浅草橋へとつながる、この徒蔵エリア。伝統あるまちに若手が加わったというだけではなく、「ものづくりをテーマに新しいまちを共に築いていこう」というエネルギーを感じさせる場所です。

村上雄一郎さんのブランド「m+」

木本硝子さんの黒の江戸切子「KIKI JAPANESQUE MODERN」

村上雄一郎さんのブランド「m+」(写真左)、木本硝子さんの黒の江戸切子「KIKI JAPANESQUE MODERN」(写真右)
 まちの支援が優秀な若手を輩出

宇南山加子さんの店舗「SyuRo(シュロ)」
宇南山加子さんの店舗「SyuRo(シュロ)」

 「モノマチ」イベント開催のきっかけにもなっているほか、台東区内で起業する若手クリエイターを輩出している支援施設が、台東デザイナーズビレッジです。これまでに38組のブランドが巣立ち、19組が台東区に残りました。そのうち10組は、アトリエや店舗を構えて活動を続けています。生活雑貨の企画、販売を行う「SyuRo(シュロ)」の宇南山加子さんは、台東デザイナーズビレッジの建物として改装される前の旧小島小学校に実際に通っていた根っからの地元っ子。「もちろん親しみある場所だし、製作するために必要な材料が全部揃うので、今でも居心地がいいところです」と話してくれました。まちには他にも「Kanmi.(カンミ)」、「Coquette(コケット)」、「carmine(カーマイン)」など卒業生のショップが点在し、ものづくりのまちを活性化させています。

 鈴木淳村長(ビレッジなので村長)によれば、「初めて制作活動をスタートさせるというよりも、すでにものづくりを始めているクリエイターがここに入居することで近所の職人さんと出会い、事業として成立できる規模へ成長していく場所」とのこと。実際に現在入居中のみなさんのアトリエを見せていただくと、十分な作業スペースで生き生きと手を動かしながら創作に没頭していました。入居倍率の高さは最初の難関かもしれませんが、選ばれた才能が集まる場所だからこそ、ものづくりのまちがさらに活気づく勢いを担うクリエイターとして成長できるのではないでしょうか。因みに、通常は公開していない台東デザイナーズビレッジですが、「モノマチ」開催時には特別に見学可能の予定です。このイベントをきっかけに実際にまちを歩いてみると、思いがけない再発見ができそうです。

台東デザイナーズビレッジ外観

入居中のブランド「AUTTAA」

台東デザイナーズビレッジ外観(写真左)、入居中のブランド「AUTTAA」(写真右)

取材・文/高橋美礼

 Information

「第2回モノマチ」参加企業・ショップ募集
テーマ :ツール&ルーツ
開催日程:2011年11月18日(金)〜19日(土) ※一部店舗は20日(日)まで
参加対象:台東区内の対象エリア内に所在する企業・店舗・クリエイターなど
参加締切:2011年8月20日(水)
申し込み:参加費のほか、詳細は公式HPよりご確認ください
http://www.monomachi.com/

東京という都市を形成するまちや地域にスポットを当て、そのエリアの特徴や歴史的背景、地域密着型のアート活動などを紹介します。

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