東京のアートシーンをアーティストとともに創り、発信する Tokyo Art Navigation
HOME トピックス 展覧会・イベント情報 美術館・劇場・活動スペース アーティストファイル アート作品ランキング コラム 支援制度・コンテスト情報
トップ > トーキョー・アートスポット
 
トーキョー・アートスポット
東京をめぐる No.007 クリエイターが変える、馬喰町・東日本橋周辺

繊維問屋が軒を連ねる馬喰町界隈は、デザイン・アート・建築といったクロスジャンルのイベント「CET(セントラルイースト東京)」の開催、リノベーション物件の増加などによって、この10年で街並に大きな変化が現れたスポットです。今回は、人形町に事務所を構え、CETの運営にも携わられていたコミュニケーションディレクターのシミズヨシユキさんに、街の変遷や魅力を教えていただきました。

 空きスペースから、街が変わる

「クロージング:竹森橋通り路上封鎖!」

「THE BARGAIN〜俺たちは絵を売りたいんだ〜」全日本ポストサブカルチャー連合 (小田島等、箕浦建太郎、大橋裕之)」

「CET2010」より。左は、「クロージング:竹森橋通り路上封鎖!」。右は、「THE BARGAIN〜俺たちは絵を売りたいんだ〜」全日本ポストサブカルチャー連合 (小田島等http://odajimahitoshi.com/、箕浦建太郎http://minourakentaro.com/ 、大橋裕之http://blog.livedoor.jp/ohashihiroyuki)」

 馬喰町・東日本橋周辺エリアが注目されるきっかけとなったCETがスタートしたのは2003年のこと。シミズさんは、当時の街を「オフィスビルばかりで空きスペースが目立ち、遊ぶ場所としては何もない街だったのですが、何かポテンシャルを感じる不思議な場所」と振り返り、「多くの人に、この街の可能性や面白さに気づいてもらいたい」と、有志でCETの運営に参加。現在に至るまで、この街を拠点にクリエイティブな活動を展開されています。

 自転車があれば日本橋、銀座、上野へアクセスしやすく、徒歩でも10分圏内に馬喰町・東日本橋・人形町・小伝馬町駅などがあり、「ちょっと歩けば駅にぶつかる」ほど交通の便がよいのもこのエリアの特徴で、「これだけ線路が走っていると、どこからでも来やすく、産業が成り立ちやすい環境だと感じていました。ところが、活気のあった問屋産業の形態が時代により変化。街中に空きスペースが増えてきたんですね。そこにカフェやショップが生まれ、気づいたら、街の面白さに気づいた人たちが自主的に場所を持ち、みんなが新しいものを模索するような場所になっていました」と、シミズさん。今では、現代アートギャラリーも点在し、馬喰町駅近辺には「ラディウム-レントゲンヴェルケ」「CASHI」のほか、アガタ竹澤ビル内の「gallery αM」、「TARO NASU」、「馬喰町ART+EAT」など、アート巡りも楽しめるスポットになっています。

 文化や産業を通じ、深まるクリエイターと地域の交流

「馬喰町ファッションプロジェクト」より
「馬喰町marking project」より。location:松野屋、photographer:高木俊幸(Nojyo)、models:玲奈 and 諒子。
http://CET-TRIP.com/marking-project/

 もともと繊維問屋街だった馬喰町周辺は、革、ボタン、ファスナー、リボン、レースといった素材が豊富にあるため、ファッション関係のクリエイターにとって仕事がしやすい環境もあります。「鞄作家のカガリユウスケ君は、作品づくりに必要なものを自転車で買いに行ったり、新しい素材をチェックできるのがとても便利だと言っていました。彼に限らず、ここにはデザイナー、スタイリスト、ヘアメイク、カメラマンなど、ファッション関係者もたくさんいるんです。そこで、この街のクリエイターで作品をつくってみようと企画したのが、馬喰町marking projectです。撮影場所もこの街。モデルの小物も地場の手ぬぐいだったり、CET参加アーティストのアクセサリーだったり。それで作品が成立できるんですよね。建築家の事務所ビル1階を借りてファッションショーを実施した時も、スピーカーやプロジェクターなどを持ちよって、あるものだけで実施できました。みんな凝り出すと自腹を切り出してしまい危険なのですが(笑)。でも、何かやりたいと思った時、話に乗ってくれる人がいれば、何でもできる街だと実感しました」(シミズさん)。

カバン作家カガリユウスケさんの100年コインパース

ニット作家モキリーさんの商品

日本橋のカフェ「OM CHAN TONE」の3Fにあるショップ「p2g第二実験室」(http://p2g-second.com/)。左は、カバン作家カガリユウスケさんの100年コインパース。右は、ニット作家モキリーさんの商品。

 このようなイベントの開催には、街の人の理解と協力が必要不可欠ですが、シミズさんは、「ファッションショーのために警察に届け出を出すとき、何度も通って名刺を渡しておきました。本来、書類を一枚出せばそれだけで済む話ですが、人間くさいところがまだ残っていて、責任者が誰だかわかると安心してくれるんです。こういうことは街のおやじさんたちに習いました。警察に挨拶しておくと後で楽だよ、なんて。じゃあ、おやじさんとどうやって知り合うかと言うと、神田祭だったりするわけです。神輿を担がせてもらったりして、その後は顔を合わせれば挨拶する。生活をしていくうちに、どんどんつながっていくんですね」と、地元の行事から信頼関係を構築。更に「イベントに限らず、日々の生活で地域との交流が深まる」ということですが、どのような交流が生まれているのでしょうか。

 「このあたりは何代も続いているお店が多くて、"何代目"と呼ばれる方が結構いらっしゃいます。そんな方たちも、新しくできたカフェに夜ふらっと来て飲んでいくんですね。そこが交流の場になり、店主と地元のおやじさんや兄さん方がつながり、店主がお客さん同士をつなげてくれたりして、人の輪がどんどん広がっていく。例えば、日本橋人形町の甘酒横町に、新川屋佐々木酒店という大正4年創業の酒屋さんがあり、そこの若旦那は常に新しいことを試みられています。もう3回くらい開催されたのが、日本酒の蔵元をカフェにお呼びして、利き酒しながらお酒のことを説明してもらうイベント。毎回お客さんに好評みたいです」(シミズさん)。

文中の利き酒のイベントなどが開催されるカフェ、「OM CHAN TONE」。中央は店長の土井高志さん。右は今回お話をお聞きしたシミズヨシユキさん。左は「LORO BICYCLES」の秋山亮一さん。
文中の利き酒のイベントなどが開催されるカフェ、「OM CHAN TONE」(http://www7b.biglobe.ne.jp/~omchantone/)。中央は店長の土井高志さん。右は今回お話をお聞きしたシミズヨシユキさん。左は「LORO BICYCLES」(http://www.loro.co.jp/bicycles/)の秋山亮一さん。

 10回来たら、10回新しい発見のある街

 他にも、古くから続く文化や産業と融合したイベント、クリエイター主催の企画が各所で開催されている馬喰町・東日本橋周辺は、「10回街に入ったら10回違うルートがあって、毎回新たな発見がある」くらい変化に富み、「自由な気質で、自分たちのやりたいことを実験でき、反応が早くて面白い。チャレンジに対して正当な評価を与えてくれる」場所だとシミズさんは言います。そして、「CETは2010年で終了しましたが、街としては移住してきた人たちに子どもも生まれ、オープン2〜3周年を迎えるカフェやショップが増加するなど、このエリアは確実に次のフェーズに入ったと感じています。個人の文化が地域の面白さにつながってきているので、これからも何か発信できればと考えています」と、新たな展開について話してくれました。今後の街の変化にも注目です。

■CET TRIP
中央区、千代田区を中心とするCETエリアのカフェ、ショップ、ギャラリーなどの情報が随時アップされるサイト。お出かけ前に是非チェックしてみてください。
http://cet-trip.com/

東京という都市を形成するまちや地域にスポットを当て、そのエリアの特徴や歴史的背景、地域密着型のアート活動などを紹介します。

創作活動サポート
メンバー登録
東京のアートシーンを共に創造するメンバーを募集しています!
アーティストの方はこちら
あなたの作品や活動をTokyoから世界に向けて発信してみませんか?
サポーターの方はこちら
創作活動をサポートするギャラリーや稽古場の登録、展覧会やイベントを投稿できます。
メールマガジン登録申し込み
デジタルミュージアム
美術館・博物館の収蔵作品2万点以上の
デジタルアーカイブ
東京・ミュージアム ぐるっとパス
詳しくはこちら