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ステップアップ
No.009
個展を開催する〜実践編〜
Step.9 伊藤純代さんの個展に潜入!

これまで「ステップアップ」では、個展開催のノウハウをご紹介してきましたが、今回は実践編として展覧会の現場に潜入。12月17日(土)まで個展「おままごと」をNANZUKA UNDERGROUNDで開催中の伊藤純代さんにご協力いただき、どのように展覧会の準備を進めてきたのかをレポートします。


展示作品と個展のテーマ

伊藤純代(いとうすみよ)さん 1982年、長野県生まれ。2009年、武蔵野美術大学修士課程造形研究科彫刻コース修了。2010年「Toyota Art Competition とよた美術展2010」準大賞、2011年「第6回大黒屋現代アート公募展」入賞、「トーキョーワンダーウォール公募2011」大賞受賞(立体・インスタレーション作品部門)。現在、山形を拠点に創作活動を展開。
伊藤純代(いとうすみよ)さん
1982年、長野県生まれ。2009年、武蔵野美術大学修士課程造形研究科彫刻コース修了。2010年「Toyota Art Competition とよた美術展2010」準大賞、2011年「第6回大黒屋現代アート公募展」入賞、「トーキョーワンダーウォール公募2011」大賞受賞(立体・インスタレーション作品部門)。現在、山形を拠点に創作活動を展開。

 トーキョーワンダーウォール(TWW)公募2011の立体部門で大賞を受賞するほか、今年3回の個展を開催するなど、創作活動と作品発表を積極的に行っている注目の若手アーティスト、伊藤純代さん。武蔵野美術大学では彫刻を専攻し、その作品には、幼少期の体験がもとにあるという"ものを切り開く、解体したものを再構築する"行為が表れています。

 出品作のひとつ、少女をかたどった作品をよく見ると、切り刻まれた無数の人形の部位で覆われていることがわかります(写真下)。「今回の個展は、人形を切り刻むことでそれに死を与え、作品として再生させるシリーズを、同じく死を与え再生させた植物(模造植物)の中に配置し、とりまく空間までをも支配したい。そんな展示構成を考えていました。幼少期に体験したことや、遊びの"おままごと"の中に感じた"環境"や"状況"への征服欲がテーマで、キャスティングやシュチュエーションを思うままにしたいという子供の欲求を形づくれないかと」。

伊藤純代《child' s play 3》(部分) 2011年 140×60×50cm ミクストメディア
伊藤純代《child' s play 3》(部分) 2011年 140×60×50cm ミクストメディア


作品を搬入し、インスタレーションで空間をつくる

伊藤純代 個展「おままごと」 NANZUKA UNDERGROUNDでの展示風景
伊藤純代 個展「おままごと」 NANZUKA UNDERGROUNDでの展示風景

 上述の少女像など新作の立体10点と平面1点から成るインスタレーションで構成されているのが、今回の個展「おままごと」です。インスタレーションは伊藤さんにとって初の試みで、「個展の話が決まってから、とにかく手を動かして作品をつくりながら、全体のイメージをつかんでいきました」と、作品制作と会場づくりを並行して考えていったそうです。作品1点1点を見せる展示と違い、空間全体で作品の世界観やテーマを表現する難しさのあるインスタレーション。それを「おままごと」に見せるためのアクセントが、会場の青い壁です。「色は何色でもよかったのですが、壁の一面だけを塗ったのは、ドールハウスを意識して壁を塗るという想定をしていました。作品全て前を向いているのも、ドールハウスの正面性というか、一面だけが空いたあの空間を表現できればと思ったからです」。

 このようにして創出された「おままごと」の空間ですが、作品設置の前に搬入という作業があります。伊藤さんは、レンタカーでハイエースバンを借り、居住地である山形から個展会場の東京まで、自分で車を運転して作品を搬入。「作品が壊れやすい場合、木枠で梱包をつくり車に載せるのですが、今回はエアパッキンを巻くだけでも梱包は大丈夫でした」。一般的に、彫刻作品を一人で運ぶのは大変な作業ですが、「作品は1人で持てるくらいの重さなので、人の手を借りなくて済みました」とのこと。

 実際の設置も「2〜3時間で終わりました。壁は事前に画廊の方に塗っていただき、平面は位置を調節しましたが、立体は置いたらバランスを見るだけ」という手際の良さ。「もちろん初めての個展の搬入は緊張し、配置をし終わってからも本当にこの配置でいいのかどうなのか四苦八苦していました。そういう時は、客観的に見てくれる人がいるとスムーズに搬入が出来ると思います」と、初個展を振り返ってアドバイスをくださいました。作品の設置は展覧会開催3日前に終え、個展初日には芳名帳や作品ファイルを入口にセットし、来廊者を待ちます。オープニングレセプションの時間になると、多くの人が会場に足を運び、無事、個展がスタートしました。

会場入口に、作品ファイル、DM、経歴や個展概要を記載したコンセプトシート、芳名帳を準備。写真右は、オープニングレセプション用のワイン。

会場入口に、作品ファイル、DM、経歴や個展概要を記載したコンセプトシート、芳名帳を準備。写真右は、オープニングレセプション用のワイン。

会場入口に、作品ファイル、DM、経歴や個展概要を記載したコンセプトシート、芳名帳を準備。写真右は、オープニングレセプション用のワイン。

個展初日の様子。さまざまな人が来廊し、作品を鑑賞。伊藤さんは来廊者と名刺交換を行ったり、作品の説明をするなど、熱心に交流。

個展初日の様子。さまざまな人が来廊し、作品を鑑賞。伊藤さんは来廊者と名刺交換を行ったり、作品の説明をするなど、熱心に交流。

個展初日の様子。さまざまな人が来廊し、作品を鑑賞。伊藤さんは来廊者と名刺交換を行ったり、作品の説明をするなど、熱心に交流。

個展にまつわるQ & A

 最後に、そもそもどうやったら個展開催に結びつくのか、制作以外に必要な準備、発表の場の違いなどについてもお聞きしました。

Q1. 公募展応募のきっかけと、活動の変化を教えてください。
作家として名前を知ってもらうために、いろいろな公募に応募しました。始めは何度か落ちましたが、入賞すると、審査員の方から作品について直接意見していただけたりするわけです。そういう機会は大学を出るとなかなか無いので、公募展に参加するのは面白いと思いました。また、賞金を素材の購入や制作費に活かせるのも大きいですね。

Q2. 個展「おままごと」の開催経緯を教えてください。
展覧会をする時、見に来てほしい画廊や美術館などにDMを発送していて、ある日、NANZUKA UNDERGROUNDの南塚真史さんが「DMをいただいたので来ました」と、展覧会に来てくださったんです。これは TWW受賞前の話ですが、それまで DMの反応はほとんどなかったので、とても嬉しかったです。それから南塚さんと作品の話を幾度か交わしているうち、今年7月に展示のお話をいただきました。

Q3. DMの制作や発送はいつ頃行うものですか。
いつも展覧会の2週間前にDMを発送しているので、逆算して1か月前にはDM用の写真の撮影とデザインを終えています。

Q4. 貸し画廊と企画画廊で行う個展に違いはありますか。
貸し画廊の場合、全て1人で準備しなければならないことばかりだったのですが今回の展覧会ではDMの制作や宣伝など、NANZUKA UNDERGROUNDさんにやっていただけたので、制作について考える時間が多くとれることが良いと思いました。ただ、貸し画廊で展示をしていた時、全て1人で準備するという経験はとても身になっています。どちらにもメリットはあると思います。

伊藤さんのお話からは、アーティストとしての才能はもちろんですが、「名前を知ってもらうために公募展に出す」「見に来てほしい画廊に DMを送る」といった作家としての地道な努力もあって、個展開催に結びついたことがわかります。作家を目指すみなさんも、今日からできることにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。


Information

伊藤純代《child' s play 4》(部分) 2011年 148×65×62cm ミクストメディア
伊藤純代《child' s play 4》(部分) 2011年 148×65×62cm ミクストメディア

伊藤純代「おままごと」
 

会期/2011年11月19日(土)〜12月17日(土)
時間/11:00〜19:00 ※日・月・祝は休廊
会場/NANZUKA UNDERGROUND(白金)
http://nug.jp

トーキョーワンダーウォール都庁2011
 

会期/2012年3月13日(火)〜3月26日(月)
時間/9:00〜18:00 ※土・日・祝も開場
会場/都政ギャラリー(東京都庁都議会議事堂1階北側)
http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/bunka/wonderwall


 
ステップアップ

美大生やプロのアーティストを目指すみなさんの疑問に応えます。2011年4月から毎月1回、1年間を通してアーティストとして活動するためのノウハウを、実例をまじえて紹介していきます。

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