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トーキョー・アートビジョン
No.001 写真は言葉じゃない!
語り手:写真家 佐内正史氏


いつも東京はすごいと思う

 海外から東京に帰ってくるたびに、いつも感じることがある。だいたい成田から車で帰ってくるけど、やはり千葉からお台場に入るあたりにくると、東京はすごいなあって思う。レインボーブリッジのところで、言い方とテンションは違うけどいつも同じことをつぶやいている。「やっぱり、東京は大都会ですごいなあっ」て。じゃんけんで毎回気づいていても決まってついグーを出してしまうような感じかな。

 レインボーブリッジは、ワンダーランドの入口のような感じがして、その先に何があるのか、わくわくするような感覚を覚える。品川あたりのマンションとか見ていると、その辺に住んでみたいと思ったりするし。そのぐらい、なんか町自体がポップというか。海外の町はこんなにぎらぎらしていない。

 十数年前に静岡の田舎から首都高を通って東京に出てきたときも似たような感覚だった気がする。渋谷あたりを通りかかったときに、「何だろう、このすごく変な町は」と思ったことを。海外にしばらく行った後は、特に感じやすくなるせいか、単純に写真のフィルターを通さなくても東京のすごさがよく見えてくる。

 週末の新宿で串かつを食べて、新宿のビルに上って、上からさっきまで串かつを食べていたところを見てみる。俯瞰で眺めて下で食べているというシーンを想像する。こんなふうに、東京は遊びようがいろいろとある。店がひしめきあってごちゃごちゃしたところもあれば、すっきりしたビル街もある。食べ物もいろいろあるし、映画も見ようと思えばいろんな国の映画が見られる。東京は何でも情報が多すぎて、全部はできないけれど、遊び方は誰でも好きに選べる街なのかなって思える。


絵画から何か個人的な感覚が伝わってくる

 スペインに行ったときに、ピカソのゲルニカやピカソが昔描いた絵とか、ゴーギャンやミロとか、そういう作品を見たんだけど、教科書に載っているのと原画では全然感じるもの、伝わってくるものが違う。教科書にはいろいろと説明が書かれていて、先に説明を読むようなことになるけど、原画には描いた熱みたいなものがあって、それを感じることができた。

 自分が写真を撮るときは、あまり写っている対象を見るようなことはない。対象そのものというよりは、写真全体から受ける何か希望のような、熱みたいなものとか、もやもやしたものとかを受けとっている。絵画からもそういうような何か個人的な感覚が伝わってくる。言葉には置き換えられないような、ざわざわする何か熱のような、魂のようなものを。そういう感覚は「のようなもの」としか言いようがない。この感覚を言葉で説明しすぎると、本来の意味がなくなってしまうし。美術の世界が説明的になっているのが、ちょっと不思議な気がする。でも、みんな小さいときから国語の授業を受けているから、言葉で説明してしまいたい、言葉で確認しておきたいのだろうと思う。


現実とは違うロマンチックな世界

「SUKH14」
「SUKH14」 

 写真を撮るときの熱の込め方って難しいけど、ケースはいろいろとある。僕にとっては、ひとつには「遅れ」というものだ。例えば、甲州街道で赤い車が走ってきていいなと思って、シャッターを切ろうとしてももう車はいない。でも、そこには車が行った後の風景が存在して、それがまたいいなと思ってシャッターを押す。何かきっかけみたいなものが存在して、その後で撮っているような気がする。

 僕は窓を開けることがすごく好きなのは、ちょっと開けただけでも何かが変わってくるからだ。窓の外に出るとまた違ってくる。シャッターチャンスという感じで撮る行為につながってくる。きっかけがあって、そこから何か遅れて撮るということ。それらは、気持ちいいときばかりじゃない。めまいがするような気持ちのときでも僕はシャッターを押せる。すごく暗い気持ちとかでもロマンチックに写る。何か不思議な気がするけど、暗い写真がかっこよかったりする。

 夜中に誰もいない住宅街を歩いていると後ろから誰か襲ってくるんじゃないかと思う。でも写真は違う。暗い路地とかはとても恐ろしい感じがするけど、写真にするとロマンチックだったりする。まさに現実じゃないのが写真の世界。目の前のものを撮っているけど、実は写真の目で見ている。現実は目の前にあるけど、それに対してもう少しローアングルで撮ろうとか、絞りはこれぐらいにしようとか、現実とは違う世界を創っている。さりげなく撮ってもそこは日常的じゃない異次元の世界になっている。
 これが、コンセプチュアルアートみたいにすみずみまで決まってしまうと、写真としてつまらなくなる。でも、写真をすごく気持ちよくしたいと思わせるような情報はすぐには見えてこない。だから、謎説きみたいなこととか、隠された鍵みたいなものを写真の中にひそませておく。そういうことが実はすごく気持ちよくて楽しいことなんだと思う。

佐内正史氏 写真
佐内正史氏
写真家。1968年静岡県生まれ。『生きている』(青幻舎)でデビュー。『MAP』(佐内事務所)で第28回(2003年度)木村伊兵衛写真賞受賞。ベタベタな写真を撮ることで有名で、写真を撮ることで自分を確認している。写真集に『Chair Album』(佐内事務所)、『Windows and Applen』(イマココ社)、『a girl like you〜君になりたい。』(マガジンハウス)、『夏秋冬秋』(マッチアンドカンパニー+佐内事務所)、『ロマンチック』(朝日新聞社)、『うりずん』(光文社)など。
「SUKH」作品については、こちら。
nca(nichido contemporary art):

http://www.nca-g.com/
DVD作品「Doctor Yellow Skyline」・「東京は」については、こちら。
+bt business today art online:

http://www.bbtoday.net/
plus_bt/
佐内正史HP:
http://www.sanaimasafumi.jp/
文中の写真「SUKH14」は、佐内氏にインタビューの後、そのときの気分で選んでいただいたイメージです。
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