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トーキョー・アートビジョン
No.005 建物の本質が分かる、「建築体操」のすすめ!
語り手:東京都江戸東京博物館 米山勇氏

東京都江戸東京博物館 都市歴史研究室に在籍し、近代建築史を専攻される米山勇氏。実は7年前に建物の本質を体で理解する「建築体操」を考案した方でもあります。今では表現できる建物が20以上となり、小学校低学年向けのワークショップなどでも活用されています。 今回は「建築体操」とはどういうものなのか見せていただき、体操ができるまでのエピソードも教えていただきました。



建築体操っていうのはどう?

 「建築体操」は、2005年の東京都写真美術館の展覧会イベントに参加したりと、少しずつアート界にも浸透してきているようで、考案者としては嬉しい限りですね(笑)。
 実はこの体操は、7年前に東京都江戸東京博物館と江戸東京たてもの園が合同で行った「東京建築展」(1999〜2000年)用に考案したものなんです。展覧会自体、今までの建築展にとらわれない内容を目指していました。だから展覧会と連動して行う教育普及プログラムの企画出しの際に、半ば冗談で「建築体操っていうのはどう?」と提案したんです。

建築体操のパフォーマー、江戸東京たてもの園 学芸員・高橋英久氏 建築体操のパフォーマー、江戸東京たてもの園 学芸員・高橋英久氏

 自分でやるのはムリだけど(笑)、実際にこの体操をやったらきっと面白いだろうと思っていました。この時の会議で隣に座っていたのが、現在も建築体操のパフォーマンスを担当している江戸東京たてもの園の学芸員・高橋英久さんです。彼は、博物館教育を専門にしている、いわば「子どものプロ」。そこで彼に体操を実演してもらうことになりました。子どもたちに建築分野の教育を普及させる、という大義名分を前に「できない」とは言えなかったんでしょうねえ。



プリミティブな身体芸術

 建築展の関連ワークショップとして、普通に考えると、子どもを対象にした建築物の絵を描かせるお絵かき教室とか、大人向けの現地見学ツアーなどが浮かびますが、私はもっとプリミティブな感情をそのまま表現するような身体芸術の方法に魅力を感じていたんです。実際、美術や建築の歴史に大きな影響を与えた総合芸術学校のバウハウス(主な活動時期は1919〜1933年)でも、同様の試みが行われていたんですよ。建築体操と同じものではありませんが、身体表現と空間芸術を横断するものでした。観客に見せるためではなく、自分自身がモノの形を理解したり、表現するための「自己目的」の身体芸術としてバウハウスでも重要な意味を持っていたんです。そういった背景もあったので、半分冗談、半分本気で高橋さんと一緒に建築体操をつくりあげていきました。

東京タワー:建築体操を代表するもの。タワー土台のソリの力強さが特徴なので、大地に根を張るような感じで体を突っ張る
東京タワー:建築体操を代表するもの。タワー土台のソリの力強さが特徴なので、大地に根を張るような感じで体を突っ張る
国立代々木競技場:第二体育館:丹下健三が設計した美しい曲線構造をいかに身体で表現するかがポイント
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東京ビッグサイト:逆三角形の構造を表現するために、体も逆さにしている。4人同時に行うのもおすすめ
東京ビッグサイト:逆三角形の構造を表現するために、体も逆さにしている。4人同時に行うのもおすすめ

 建築の構造と人間の身体はもちろん違います。だから、全く同じものになるわけはないんです。実際の建物の形と似てなくてもいい、それぞれが建物から感じたことを自分の体で表現するという点が重要なんです。だからポーズはみんな違っていていいんです。実際のワークショップでは、私が「建築体操ハカセ」という役で参加、参加者のポーズを、実際の建築物の特徴と絡めながら講評していく役目。高橋さんには「建築体操マン」になってもらって、参加者と競争してやってもらいます。やはり同じ建物を見ても、人と違う形を体現している方は面白いですね。
 ワークショップでは子どもの参加者が中心になりますが、建築体操自体は、子どもたちのためだけではなく、大人がやっても良いのです。ただ、大人はどうしても、頭で考えてしまう。その点、子どもは素直。対象に似せようと思わなくていい、自分の感覚で表現すればいいのですが、大人はどうしても外見の形を似せようと考えてしまいますね。
 「東京建築展」では、大人と子どもの領域を微妙にしようということもコンセプトの一つでした。展覧会カタログは、飛び出す絵本形式。仕掛けは子どもっぽいけど、内容は大人向けです。建築体操も同じで、一見単純なものですが、建築の本質を理解するためにとても有効な手段になり得るのです。

次回は‥‥
引き続き、米山氏に建築体操が一度きりのイベントで終わらなかった理由を教えていただきます。都内のあの有名建築が、体操になって登場するのでお楽しみに!(9月13日アップ予定)

米山勇 写真
 
米山勇
建築史家・東京都江戸東京博物館助教授。1965年、東京生まれ。1994年早稲田大学大学院理工学研究科博士後期課程修了。博士(工学)。日本学術振興会特別研究員、早稲田大学非常勤講師、日本女子大学非常勤講師などを経て、現在に至る。専門は日本近現代建築史及び建築評論。著書および監修に参加した本として『建築MAP横浜・鎌倉』(TOTO出版)、『東京-建築・都市伝説』(同)、『東京の近代建築』(共著、地人書館)、『大江戸透絵図』(共著、江戸開府400年記念事業実行委員会)、『痛快!ケンチク雑学王』(共著、彰国社)、『建築ガイド・都市ガイド-東京圏-』(同)、『建築「見どころ」博物館ガイドブック』(同)、DVD「東京遺産」(東京FM出版)など多数。東京MXTVで放映中の「建築の世紀」監修・出演。
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