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トーキョー・アートビジョン
No.019 飽きっぽいから15年も続いているんです
語り手:アーティスト 明和電機・土佐信道(とさのぶみち)氏

写真:明和電機

お茶の間でもおなじみのアーティスト、明和電機。メカニックなアート作品を独自のパフォーマンスで発表し続けているのが、代表取締役社長の土佐信道さんです。今回は活動15年目を迎えた明和電機の土佐信道さんに、アーティストとして本格的なスタートを切る契機となったソニー・ミュージックエンタテインメント主催の「第2回アート・アーティスト・オーディション」大賞受賞から、現在審査員を務めるロボットコンテスト「バカロボ2008」まで、作品をつくること、発表することについてお話しいただきました。


ロボット制作と自己分析の大学時代

 幼稚園のときから、絵描きになろうと思っていました。空想の動物をCGや立体でつくるようになったのは大学からですね。それで、大学の卒業制作でロボット、自動人間をつくったんです。そのときつくったのは、等身大の妊婦が歌うというロボットでした。機械で、造形として、音楽にあわせて、ってやりたいことを全て詰め込んだ。この時点で一度、やりたいことをやりきっちゃった、夢がかなっちゃった、という感覚になりました。だけど何か違う、と気付いたんです。

 生命、生きものに興味があってつくったつもりだったけど、同じことしかしない「機械」だったんですね。面白かったんですが、自分が置き去りにされてる。ロボットのほうが目立ってるという感覚もあって。そこからすごいスランプになって、自己分析を始めたり、自分って何、生命って何ということを深く考えるようになりました。総合大学だったので、生物学の講義をかたっぱしから受けたり、お寺を見てまわったりもしましたね。それで、考えて考えて、生命の創造性のすごさに気付いたんです。いろんなことがあるし、自分も負けていられないと。

《ロボジョ》
《ロボティ》
《ロボジョ》
《ロボティ》

〈魚器〉シリーズ誕生とオーディションの大賞受賞
《弓魚1号》 NAKI-YX1 525×497×48mm 520g  Photo:Jun Mitsuhashi
《弓魚1号》 NAKI-YX1 525×497×48mm 520g Photo:Jun Mitsuhashi

 魚をモチーフにした〈魚器〉シリーズの原型となる作品をつくり始めたのは、大学院からです。小さい頃から「魚」の悪夢をよく見ていたり、魚を通して世界を考えるというシチュエーションが面白くて、「魚」なんですね。修了制作では魚器を6点(パチモク、肺魚、弓魚、魚打棒、オタクギョタク、キンギョのフン)発表しました。彫刻としてつくるのではなく、機械としてつくる。機械は操作する人間がいなければ動かないものだからと、その機械を操作するプレイヤーとして、修了制作展のときはタキシードを着て発表したんです。でもまた何か違う、と思って。

《ウケ-テル》 NAKI-U1 1200×900×900mm 80kg AC100V,50/60Hz Photo : Jun Mitsuhashi
《ウケ-テル》 NAKI-U1 1200×900×900mm 80kg AC100V,50/60Hz Photo : Jun Mitsuhashi
 それから、父親が実際に経営していた「明和電機」から電気屋の格好を思いつき、1993年の4月、ソニーのオーディションに応募しました。このコンテストは、表現したいことができるものだったので、「これだ!」と思ったんですね。そこでグランプリを受賞してから、今年で明和電機は15年目を迎えます。〈魚器〉シリーズ、〈ツクバ〉シリーズとあって、作品モチーフの対象はいまだ尽きませんね。そういうモチベーション、15年も続けていられるのは、おそらく「飽きっぽい」からだと思います。飽きっぽいから、次へ、次へと行けるんです。今でも、思い浮かんだイメージを表現していくのに、時間が足りないんですよ。

作品を発表する場としてのコンテスト

 僕自身コンテストを経て現在に至るのですが、多くの人に見てもらえる場としてのコンテストは必要だと思っています。そこで昨年から「バカロボ」というロボットコンテストを始めました。この「バカロボ」は、日本のロボットがまじめすぎるのが面白くない、もっと世の中に面白いものが出てきてもいいんじゃないか、という思いからスタートしているんですね。ホビーとしてロボットをつくる人が増えていて、もっと見たい、知りたいと思ったんです。ロボット制作にかかる費用が安くなってきたし、こういうことを楽しむ親子も多いのです。

 僕の考えですけど、ロボットってくそまじめだからこそ、同じ作業をひたすら繰り返すことができて、それがかわいかったり、哀れだったりするんですね。今のロボット産業は、スタイリッシュなデザイン、最先端の技術が未来を変えるといった方向で発展していますが、それは本来の“ロボットのおかしさ”というのを隠しているように見えます。アートの流れでは「ナンセンスマシーン」という、ティンゲリーの流れが脈々とありますよね。「バカロボ」では、僕も《ワッハGOGO》というロボットをつくろうと思っています。ぱっと浮かんだイメージを何枚もスケッチして、口が動くロボットがいいなとか、こういう形にしようとか、ビジュアル系なので形から考えて設計図に落とし込みます。日本はからくりの国ですから、ロボットには親しみやすいんでしょう。実際応募される方も、女子高生から定年間近の企業マンまで、本当に幅広くて、面白い発想を見ることができるんです。

《ワッハGOGO》スケッチの一部。完成品はバカロボ本選で発表予定
《ワッハGOGO》スケッチの一部。完成品はバカロボ本選で発表予定
《ワッハGOGO》スケッチの一部。完成品はバカロボ本選で発表予定
「NOVMICHI SKETCH BLOG」より

バカロボ2008とは?

ロボットとは本来、人の役にたつ“まじめ”な機械です。しかし、人を笑わせるロボットをつくろうとしたら、それは“ふまじめ”な機械でなければなりません。まじめに“ふまじめ”な機械をつくる。そこには、人工知能や、社会風刺、キャラクター性、斬新な機構など、ロボットをとりまくさまざまな風景が浮き上がることでしょう。「バカロボ2008」は、そんな“まじめな”テーマの、世界初・笑えるロボットのコンテストです。 土佐信道

■「バカロボ2008」では、『バカロボ三原則』を満たす、笑えるロボットを募集します。
1.バカロボはメカニックであること:フィギュアのような形だけ=ハリボテではなく、必ずメカニックな仕組みを持っていること。
2.バカロボは役にたたないこと:社会の役に立つ機能的なロボットではなく、できるだけくだらない目的のためのロボットであること。
3.バカロボは人を笑わせること:バカロボは、面白い動き、機構、意外なシステムで度肝を抜き、人を笑わせることが目標であること。

決戦は、渋谷のヨシモト∞ホールで行われ、予選を勝ち抜いた5組のバカロボがその技を競い合います! 今年も世界中からバカロボが集結! ご応募お待ちしております。

■優勝賞金 500,000円
■審査員 土佐信道(明和電機)、樋口真嗣(映画監督)、辛酸なめ子(漫画家)、稲見昌彦(慶應義塾大学教授)
■募集期間 2008年9月1日(月)〜10月24日(金)必着(当日消印は不可)
■応募方法 募集要項、応募用紙は公式HPまたは、下記URLよりダウンロードいただけます。
■「バカロボ2008」公式HP http://www.bacarobo.com/
■本選 2008年12月6日(土)14:00〜(予定)、ヨシモト∞ホール(渋谷)
■お問合せ 「バカロボ2008」事務局 E-mail:bacarobo@maywadenki.com

インタビュー・文/藤田千彩
(C)Yoshimoto Kogyo Co., Ltd./Maywa Denki

次回は…
引き続き土佐信道さんに、明和電機の作品を“近所のおばちゃんにまで”伝えるテクニックをお聞きします。[11月13日(木)アップ予定]

 
土佐信道 写真
Photo : Jun Mitsuhashi
 
土佐信道
(とさのぶみち)

1967年、兵庫県生まれ。1992年、筑波大学大学院芸術研究科修士課程修了。1993年にアートユニット「明和電機」を結成。青い作業服を着用し、作品を「製品」、ライブを「製品デモンストレーション」と呼ぶなど、日本の高度経済成長を支えた中小企業のスタイルで活動。代表作品に、魚をモチーフにした〈魚器〉シリーズ、オリジナル楽器〈ツクバ〉シリーズなどがある。2003年、アルスエレクトロニカ・インタラクティブアート部門准グランプリ受賞。近年は日本にとどまらず、海外でも展覧会やライブパフォーマンスを行っている。また、CDや映画制作、本の執筆だけでなく、ロボットコンテストのプロデュースや日本各地でワークショップを開催するなど、既成の芸術の枠にとらわれることない活動を展開。2006年より、明和電機から独立させた〈EDELWEISS〉シリーズの作品制作も手がけている。
http://www.maywadenki.com/

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