東京のアートシーンをアーティストとともに創り、発信する Tokyo Art Navigation
展覧会・イベント情報 アーティストファイル エッセンス ビジョン スポット
マイページ サイトマップ
Tokyo Art Navigationとは?
TOPICS
TOP
トップ > トーキョー・アートビジョン
トーキョー・アートビジョン
No.028 すべてのみんなと共感したい
語り手:アーティスト 清川あさみ(きよかわあさみ)さん

「写真に刺繍」という斬新な手法で作品を発表し、多くの女性から共感を得ている清川あさみさん。美術館での展示から、広告や雑誌の表紙、連載作品のアートディレクションまで行う活動領域の広さは、彼女ならでは。こうした活動の背景には「作品を通じてみんなと共有したい」という思いがあるとのこと。作品のモチーフは女性から男性、風景にまで及び、現在進行形で表現の幅を広げています。今回は、どのように作品世界が形成されるのか、これからのビジョンについてお聞きしました。

宝塚〈Bi-dan〉シリーズ 《夢桜》 Photo by Kishin Shinoyama/Artwork by Asami Kiyokawa Model by 真飛 聖(宝塚歌劇団 花組)
宝塚〈Bi-dan〉シリーズ 《夢桜》
Photo by Kishin Shinoyama/Artwork by Asami Kiyokawa
Model by 真飛 聖(宝塚歌劇団 花組)


発想の源は人から

 私の作品は美術という領域にとどまることなく、あらゆるジャンル、世代の方に共感してもらいたいと思っています。私自身、アートにまだそこまで詳しくないというか、絵や美術作品から影響を受けたことってほとんどないんです。むしろ散歩をしているときや女の子との会話をしているときに、作品のイメージが生まれるんです。いま10代向けの雑誌で、書道家の武田双雲さんとコラボレーション企画「読者からの悩み相談を解決する」という連載をしているんですが、10代の悩みって「前髪を切り過ぎて変になっちゃった」とか、すべて外見に関することなんですね。すっかり忘れていたけれど、私自身もそうだったなと思い出すこともしばしば(笑)。武田さんが書いた文字の書に私が刺繍をして、悩み相談の答えを表現しています。自分の作品もこれと同じ。毎日いろいろな人に会うので、人からの恋愛相談やいろいろな会話を受けてなにか自然にインプットされていき、そこから私が針と糸をつかってアウトプットしていくという感じなんです。

 私にとってのキャンバスは、写真です。写真は私自身が撮影することもありますが、ほとんど写真家の方に撮ってもらいます。自分の視点ではなく、他人の視点で女性をとらえることで、女性を客観的に見ることができるからです。ですので、写真は「リアルに」撮影してほしいし、女性が持つ強さや美しさをつくりこまれたもの、不自然なものにならないようにしています。私がつくりたい世界を共有できるスタッフと協力して作品をつくり、見る人と共感したいと考えています。篠山紀信さん、荒木経惟さんといった素晴らしい写真家の方ともコラボしていますが、私自身、興味がある作品に出会った時は、どんな若い写真家でも声を掛けることもあります。ライティング、セッティングといったアートディレクションを私がしているのは、モデルをしていたから「見ること」も「見られること」も少しは理解できるからだと思っています。

清川あさみ《HAZY DREAM》2008年 写真、刺繍糸
清川あさみ《HAZY DREAM》2008年 写真、刺繍糸


作品を通じて広がる世界

 最近では、東京の風景写真に刺繍を施し、さらに写真を撮り、また刺繍をするといった作品もつくっています。〈HAZY DREAM〉というシリーズで展開していて、これって糸の感触とか、どこまでが本物で複写なのか一見するとわからないんです。東京の街のイメージというか。上京したばかりのころ「東京ってテーマパークみたい」と思うほど、私にとって東京には刺激があふれていました。目に見えるもの、会う人たち、すべておもしろかったし、どこまで本当でどこから本当じゃないのか不思議な街でもあって。撮影された風景、刺繍した部分、撮影された刺繍の糸、といったように写しだされたものがおもしろく混ざっている感じが、まさに東京らしさのような気がしています。

 たまに審査員を引き受けているので、他の方の作品を見る機会も増えています。以前、こんな売り込みがあったんです。たまたま乗ったタクシーの運転手さんが私の事を知っていて、もともと写真を撮っていた方らしく、「自分の作品を見てください」と、後日ポートフォリオが送られてきました(笑)。残念ながらご一緒できなかったのですが、ときどきさまざまな作家さんからポートフォリオが送られてきて、2年に一度くらい「おもしろい」「一緒に仕事をしてみたい」という方に出会うことがあります。これからも「こんな気持ちになったことない!」と感じる、まさにすべてを取り込んでしまうブラックホールのような作品や人に出会えたらいいですね。私自身の創作にも言えることです。最近は男性をモチーフにした作品もつくってみたいと思っています。やっぱり男性は中身ですから、その魅力の本質を見つけていきたいですね。

清川あさみ《Complex-fat》2008年 写真、刺繍糸
清川あさみ《Complex-fat》2008年 写真、刺繍糸

information

■手で創る 森英恵と若いアーティストたち
ファッションデザイナーの森英恵氏が選ぶ、次世代の作家たちの新しい表現作品を紹介する展覧会。

会期: 2009年7月11日(土)〜8月16日(日)
会場: 水戸芸術館現代美術センター

http://www.arttowermito.or.jp/

■Stitch by Stitch ステッチ・バイ・ステッチ 針と糸で描くわたし
日本の作家たち8組による現代美術展。針と糸を使いながら、全く異なるテーマと表現世界が東京都庭園美術館で展開される。

会期: 2009年7月18日(土)〜9月27日(日)
会場: 東京都庭園美術館

http://www.teien-art-museum.ne.jp/index.html

インタビュー・文/藤田千彩

 
清川あさみ(きよかわあさみ) 写真
 
清川あさみ
(きよかわあさみ)
1979年、兵庫県淡路島生まれ。文化服装学院在学中より、モデルとして人気を得て連載やスタイリングを手がける。現在、糸や布を使ったアート作品、衣装、空間、映像、イラストレーションを創作するアーティストとして多方面で活躍中。そのオリジナルな手法と世界観をもつ作品を発表し続け、世代をこえて注目されている。また、数々のCDジャケットや広告のアートディレクションを手がけている。主な著書に、絵本『幸せな王子』『人魚姫』(リトルモア)、作品集『caico』(求龍堂)など。現在、『Zipper』(祥伝社)、『FRaU』(講談社)、『すばる』(集英社)などの連載で作品を発表している。

http://www.asamikiyokawa.c
om/

創作活動サポート
メンバー登録
東京のアートシーンを共に創造するメンバーを募集しています!
アーティストの方はこちら
あなたの作品や活動をTokyoから世界に向けて発信してみませんか?
サポーターの方はこちら
創作活動をサポートするギャラリーや稽古場の登録、展覧会やイベントを投稿できます。
メールマガジン登録申し込み
デジタルミュージアム
東京・ミュージアム ぐるっとパス2007
詳しくはこちら