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トーキョー・アートビジョン
No.043 みんなでつくった方が絶対面白い
快快(faifai)リーダー 北川陽子さん

注目の演劇創作集団、快快のメンバー
注目の演劇創作集団、快快のメンバー

9月に国際的な舞台芸術祭「チューリヒ・シアター・スペクタクル」で、アジア人初となる「ZKB Patronage Prize 2010」を受賞するなど、国内外で幅広い活動を展開している演劇創作集団、快快(faifai)。ダンスを用いた身体表現、映像を取り込んだパフォーマンスは、演劇の新たな境地を切り拓いています。今回は、リーダーで脚本・演出を手がける北川陽子さんに「快快とは?」「集団制作とは?」についてお聞きしました。


快快(faifai)とは?

「ZKB Patronage Prize 2010」を受賞した『My name is I LOVE YOU』より

「ZKB Patronage Prize 2010」を受賞した『My name is I LOVE YOU』より

「ZKB Patronage Prize 2010」を受賞した『My name is I LOVE YOU』より

 何でもやるんでわかりづらいんですけど、劇をつくってるから劇団でいいかなって思ってます。もともとは、多摩美の学生だった2004年に、私が「あの子カワイイ」とか「ちょっとオーラある」って思った同級生を10人集めてゆるーくつくったチームで、みんな演劇をやっていたわけではなく、映像を撮ってたり、それぞれやってることがバラバラでした。それで、なんとなく舞台をやってみたら面白くて、もう5年以上も続いているという。

 演劇って何でも取り込めるので、みんなでやるには一番いいんですよ。でも学生時代は、すごい泥臭い演劇、見よう見まねで「演劇っぽい演劇」をやっていて、それがイヤでイヤでしょうがなくて(笑)。どうしようかなと思っていたある日、稲妻が走った。「これでイケる!」と滝に打たれたような感じで閃いて、舞台の方向性が決まりました。ちょっとパフォーマンスよりになったというか、演出がガラッと変わった。2005年に初演した『My name is I LOVE YOU』から、だんだん今の形をつくっていったという感じですね。今回「ZKB Patronage Prize 2010」をいただいたのがこの作品で、これは初演時から海外公演を視野に入れて制作した作品でした。それが5年経った今、海外のフェスで最優秀賞をもらえたんですよ。

 この『My name is I LOVE YOU』は、ストーリーを読む人がひとりいて、パフォーマーは言葉を発さないという作品なので、いくらでも遊べるんです。役者の身体表現によって、いくらでも見せ方を変えられる作品って言うんでしょうか。基本的な流れは変えませんが、観てる方が面白ければいいので、舞台はパフォーマー次第。だから毎回、演じる方はすごい切磋琢磨してると思いますよ。とにかく、私が書いた脚本や自分が想像していたものと同じ内容だとイヤなんで、どんどん違うようにしてほしいんですよね(笑)。


集団制作というスタイル

東京芸術劇場で上演されたタイ共同制作『Spicy, Sour, and Sweet』の稽古風景

東京芸術劇場で上演されたタイ共同制作『Spicy, Sour, and Sweet』の稽古風景

東京芸術劇場で上演されたタイ共同制作『Spicy, Sour, and Sweet』の稽古風景

 他の劇団の稽古場に行ったりすると、演出の方が指示を出してみんながそれに従って芝居をつくっていくようなんですが、うちはちょっと違って、新作をつくる時はメンバー全員で意見を出し合って、テーマやストーリーを固めていくんです。今、何に興味があるか。何が面白いか。自分たちは世界の中でどの位置にいるのか。とにかく話して話して、みんなの今を導きだす形でラストが決まるという。なので、でき上がるものは毎回、快快の今が凝縮された作品になりますね。

 最初は、みんなで意見を出すのではなく「全部決めちゃって」と言われていたんです。でも、ひとりの考えを一生懸命具現化するってどうなのかなって。これからは絶対集団制作が来ると思い、みんなでつくった方が絶対面白いということを話して、このやり方を続けてきました。

 例えば落語の『芝浜』を原作にした『SHIBAHAMA』は、快快の演出家、篠田千明さんから「古典がいいんじゃない」という話が出て、そこから落語にいき、「お金」「酔っ払い」「お財布」という三大要素に、うちらでも扱えそうな空気を感じたので、やってみよっかと。会場全体を細工したいという思いが念頭にあったので、そこに『芝浜』を乗せて、原作に出てくる「夢」のトリップ感を表現できたら面白い。そんな感じでつくりました。ただ、集団制作というやり方も、もう5年やってるので、これからは別の方向性もあるのかなと。そろそろ別の遊び方を考えようかなとも思っています。

演劇の可能性と今後の活動

観客を巻き込みながら展開する舞台『SHIBAHAMA』より
観客を巻き込みながら展開する舞台『SHIBAHAMA』より

 演劇って、演じる方は演じるだけ。観客は観るだけ。それが一般的な演者と観客の関係性だと思うんですが、演者と観客はフラットな関係の方がいいと思うんですよね。ライブやクラブに行くと、お客さんが主体的じゃないですか。そういう感じを演劇でできないかなと。『SHIBAHAMA』の公演では、若干無理矢理感もありましたが、お客さんにウェーブをさせたり、じゃんけん大会に参加させたり……、観客を舞台に巻き込むことでフラットな関係を創出するという試みをしました。もともと演劇はそういうものじゃないんで、やっぱりビックリしちゃうお客さんが多かったと思うし、演劇で観客が主体的になるのは難しいですけどね。だけど、快快だったらそういうのもあり得るって、そう思いながら観に来てほしい(笑)。もちろん『Y時のはなし』とか、ふつうに観てもらいたい作品もあるので、公演によってやり方を変えています。

 最近の活動は、10月頭に小沢剛さんの公開制作「できるかな2010」(府中市美術館)のパフォーマンスイベントに参加し、三軒茶屋の銭湯でイベントを行いまして、これから10月末に横浜で『アントン、猫、クリ』を再演し、11月はじめに京都で『Y時のはなし』を再演。その後、泉太郎さんの「こねる / Kneading」(神奈川県民ホールギャラリー)でパフォーマンス。11月末には「スペクタクル・イン・ザ・ファーム 2010」に参加と、どうしても好奇心が抑えられなくて、オファーがあったらやってみる。そういうスタンスでいます。去年くらいから、演劇ではないところからお話をいただくようになって、幅が出てきたと思います。でも一回幅を広げるだけ広げて、また演劇に全部回収できたらそれがいいですね。

 他にも、福島県いわき市の高校でワークショップを行ったり、来年もヨーロッパツアーに3か月ほど行く予定があります。その前に、今年こそ「欽ちゃんの仮装大賞」に応募したいんですよね。4年前に一度応募して2次審査くらいまでいったんですけど、忙しくて準備できなくて。それ以来、毎年応募用紙が送られてくるんです。だからそろそろやるか、みたいな。もしかして1月に快快の仮装大賞が見られるかも(笑)。出るなら優勝したいな〜!!


Photo by 加藤和也


Information

■快快 公演
上演/『アントン、猫、クリ』
公演/10月27日(水)〜31日(日)

10月27日(水)開演19:00
神里雄大(岡崎藝術座 主宰・劇作家・作家)+ベクトルズ<大谷能生(音楽家・批評家)、木村覚(美学研究者・ダンス批評)、佐々木敦(HEADZ代表・評論家)>
10月28日(木)開演19:00
小沢剛(アーティスト)+安野太郎(音楽家)
10月29日(金)開演19:00
桜井圭介(コンポーザー・ダンス批評)+藤城里香(無人島プロダクション代表)+藤原撤平(建築家)
10月30日(土)開演14:00
カワムラアツノリ(振付家・ダンサー)+中村真生(俳優・青年団)+野村政之(こまばアゴラ劇場・青年団制作)
10月30日(土)開演19:00
五所純子(文筆業)、毛利悠子(アーティスト)、吉田アミ(前衛家・文筆家・音楽家)
10月31日(日)開演16:00
スプツニ子(アーティスト)+喪服ちゃん(モエ・ジャパン社長)

会場/STスポット横浜(横浜市西区北幸1-11-15 横浜STビルB1F)
料金/2800円(当日)、2500円(予約)
http://www.stspot.jp/

■KYOTO EXPERIMENTフリンジ HAPPLAY
上演/『Y時のはなし』

開演/ 11月5日(金)19:30
11月6日(土)15:00、19:30
11月7日(日)13:00、17:30

会場/アトリエ劇研(京都府京都市左京区下鴨塚本町1)
料金/2500円(当日)、2000円(予約)
http://kyoto-ex.jp/

■スペクタクル・イン・ザ・ファーム 2010
出演/快快+ヌケメ×オオルタイチ+那須音頭
開演/11月27日(土)14:30

会場/ 宇都宮共和大学 那須キャンパス(栃木県那須塩原市鹿野崎131)
※快快バスツアーもあり! 公式サイトをご確認ください。

料金/下記よりご確認ください。
http://spectacleinthefarm.com/

※チケットは完売の場合もありますので、事前にご確認ください。

次回は…
引き続き、北川陽子さんに海外公演などについてお聞きします。[11月11日(木)アップ予定]

 
北川陽子(きたがわようこ) 写真
 
北川陽子
(きたがわようこ)

脚本家/演出家。2004年、多摩美術大学映像演劇学科在籍中に、「小指値(koyubichi)」を結成。2008年、「快快(faifai)」に改名。リーダーとして活動の方向性を決定している。

 
快快(faifai)

演劇、ダンス、映像など、様々なメディアを取り入れた舞台・パフォーマンスを企画・制作・上演するカンパニー。現在17名が所属し、脚本、演出、振付、衣装、パフォーマンス、映像制作まで手がける。東京を拠点に、日本各地、アジア、ヨーロッパで活動を展開。2011年のヨーロッパツアーでは、落語『芝浜』をベースにした『SHIBAHAMA』(2010年初演)を上演予定。2008年、『インコは黒猫を探す』が「世田谷芸術アワード”飛翔”2008」舞台芸術部門受賞。2010年、『My name is I LOVE YOU』がスイスの舞台芸術祭「チューリヒ・シアター・スペクタクル」で、アジア人初となる「ZKB Patronage Prize 2010」を受賞。2010年、初のオフィシャルDVD『Y時のはなし』を発売。
http://faifai.tv/

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