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トーキョー・アートビジョン
No.044 今後の活動は、占いに行って聞いてきます
快快(faifai)リーダー 北川陽子さん

『Y時のはなし』(2010年)より
『Y時のはなし』(2010年)より

演劇という枠組みにおさまらず、毎回新たなパフォーマンスで注目を集めるカンパニー、快快(faifai)。彼らは集団制作というスタイルで舞台を創作し、国内だけでなくヨーロッパやアジアなど海外でも精力的に公演を行っています。今回は、目覚ましい活躍を見せる快快のリーダーで脚本・演出を手がける北川陽子さんに、海外進出のきっかけやヨーロッパでの公演、今後の活動などについてお話しいただきました。


海外進出とヨーロッパツアー

『My name is I LOVE YOU』(2009年)より
『My name is I LOVE YOU』(2009年)より

 海外へはずっと行きたいと思っていて、実際にヨーロッパやアジアに行ってみたら、すごく反応がよかった。快快はメンバーに外国人がいるので、海外ツアーに行きやすかったというのもありますが、まず「東京芸術見本市」という舞台芸術のイベントに参加したんです。その時はじめて英語で上演して、その場ですぐ「うちに来てくれ」というオファーがあり、海外公演が決定。やっぱりむこうの方も探してるんで、海外で公演したい人は、こういったイベントに出た方が絶対いいです。

『SHIBAHAMA』(2010年)より
『SHIBAHAMA』(2010年)より

 来年2011年も3か月ほどヨーロッパツアーに行く予定があり、上演作品『SHIBAHAMA』(落語『芝浜』を原作にした演劇)についてみんなと相談しています。落語の何をどう伝えるか。どのへんを英語にするか。『芝浜』の主人公は、お酒ばかり飲んでいて働かない。日本ではまだ「働かない=ダメ人間」という図式が成り立つと思ったので『SHIBAHAMA』でもそういうストーリーにしていたんですが、ヨーロッパでは、例えば公演予定のドイツは失業率が高くて、社会の仕組みがそうさせている部分も大きいから「働かない=ダメ人間」とは言い切れない。そうするとドイツなら「お酒を飲み過ぎて失敗=ダメ人間=酔っ払い」の線でいくかとか、国に合わせて筋を考えていく。海外で上演する作品は、ほとんど新作になってしまいますね。

 ヨーロッパツアーでハンガリーへ行った時に感じたんですが、みんな働いてないんですよ(笑)。だけど社会が成り立ってる。国自体の安定がすごいのか、サマータイムだったからなのか、17時過ぎにはみんなのんびり。その代わり遊ぶところがない。誰も働いてないだけに(笑)。日本だったらいくらでも遊ぶところがあるけど、それって誰かが働いてるからこそなんですよね。ヨーロッパに行って痛感しました。あと、普段、新橋のサラリーマンの話をよく耳にするんですが、がむしゃらにならないと日本という国は豊かにできないのかなって。もうそういう風に社会が回っちゃってるから、誰も止められないし、それでもいいのかもしれないけど、芸術のような余白に豊かさを求められない国、それはどうなのかなとも思ったりしています。


作品テーマと方向性

 海外ツアー中、Banksyの展覧会がたまたまやっていたので行ってみると、美術館におじいちゃんから子どもまで並んでたんです。現代アートの展覧会でこういう状態って、いい国だなと思いましたね。日本もそういうところをちょっと変えられたらいいなという気持ちもあります。快快の舞台も観に来てくださるのは大人が多くて、本当はもっと若い人たちに観てほしいんですよ。高校生が「キャーッ!」となっちゃうような作品、そういうものをつくってみたいんですけど、酸いも甘いも知った大人でなければわからない難しさが、作品の中に入ってしまうんでしょうか(笑)。普遍的な作品をつくれない限り、まだまだ作家とは言えません。がんばります!

 ものをつくる時、生と死は必ずテーマに入ってくるし、うちらの今の状態をテーマにするとダメーな感じがメインになってしまうので、そうならないよう、いろんな立場の人に何をどんな風に考えているのか聞いたりします。演劇をやってると、創作の世界のみに生きてしまう人も結構いるんですけど、一般的な感覚を忘れたくないし、日常の何かからじゃないと何も生まれないと思うんです。今年の8月にタイの劇団B-Floorと共同制作する中で、政治を扱う難しさも知りました。やっぱりリアルに今の状態を考えていないと、やるにやれない。ふつうに考えたらいろいろ大変ですけどね、そうも言ってられないので、これからもポップで楽しい演劇をつくっていきたいです。

快快のこれから

『SHIBAHAMA』(2010年)より
『SHIBAHAMA』(2010年)より

 最近、メンバーのひとりが子どもを産んだんですよ。20代後半の女子が多いので、このままいくとみんな産むわけじゃないですか。これから先どうなるんだろうって思いますよね。でも、チーム結成からほとんどメンバーがやめてないんで、それも不思議です。私の場合、やっぱり自分たちがやることは面白いと思ってやっているので、自分のいないところで面白いことをされたら人生がもったいないって思ってるんじゃないかって、だから続けているのかなと。あとは集団の力なんですかね。個性的な人が多くて、面白いっていうのもあるかもしれません。役者の山崎皓司さんは元プロボクサーで、現在はケータリングもこなせる料理人です。役者で映像もつくったりする天野史郎さんは最近、快快を2か月休んで農業をやっていて、銭湯のイベントに野菜を届けてくれるとか、意味わかりませんよね。

『Y時のはなし』(2010年)より
『Y時のはなし』(2010年)より

 今後は、日本各所での公演と海外ツアーが続きますが、沖縄やアメリカにも行きたいです。公演をするとなったら、どうやって見せるのかとても難しいと思うんですけどね。これまでと全然違った感覚を体験してみたいんです。他には、多方面でできた友だちみんなでフェスをやるのもいいですね。作品については、新作がつくりたいです。9月に発売したDVDでは、公演を記録として残すのではなく作品として完成させたいという思いで制作していますが、もっといいものをつくっていきたいという気持ちもあります。

 やりたいことはたくさんありますが、ホントにこれからどうなるか自分でもわからないので、まずは占いに行こ! って思ってます。これは、将来について飴屋法水さんに相談した時、飴屋さんも困った時は占いに行くとおっしゃっていたので。飴屋さんのお話はオリジナリティが溢れ過ぎていて全然参考にならないんですが、舞台から何からカッコイイですよね(笑)。超イケメン☆ミ


Photo by 加藤和也


Information

■スペクタクル・イン・ザ・ファーム 2010
出演/快快+ヌケメ×オオルタイチ+那須音頭
開演/11月27日(土)14:30

会場/ 宇都宮共和大学 那須キャンパス(栃木県那須塩原市鹿野崎131)
※快快バスツアーもあり! 公式サイトをご確認ください。

料金/下記よりご確認ください。
http://spectacleinthefarm.com/

■「泉太郎展 こねる」快快パフォーマンス
開演/11月20日(土)13:00〜13:20、15:00〜15:20

会場/ 神奈川県民ホールギャラリー(神奈川県横浜市中区山下町3-1)

料金/無料(要展覧会入場券)
http://www.taroizumi-koneru.com/

 
北川陽子(きたがわようこ) 写真
 
北川陽子
(きたがわようこ)

脚本家/演出家。2004年、多摩美術大学映像演劇学科在籍中に、「小指値(koyubichi)」を結成。2008年、「快快(faifai)」に改名。リーダーとして活動の方向性を決定している。

 
快快(faifai)

演劇、ダンス、映像など、様々なメディアを取り入れた舞台・パフォーマンスを企画・制作・上演するカンパニー。現在17名が所属し、脚本、演出、振付、衣装、パフォーマンス、映像制作まで手がける。東京を拠点に、日本各地、アジア、ヨーロッパで活動を展開。2011年のヨーロッパツアーでは、落語『芝浜』をベースにした『SHIBAHAMA』(2010年初演)を上演予定。2008年、『インコは黒猫を探す』が「世田谷芸術アワード”飛翔”2008」舞台芸術部門受賞。2010年、『My name is I LOVE YOU』がスイスの舞台芸術祭「チューリヒ・シアター・スペクタクル」で、アジア人初となる「ZKB Patronage Prize 2010」を受賞。2010年、初のオフィシャルDVD『Y時のはなし』を発売。
http://faifai.tv/

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