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トーキョー・アートビジョン
No.047 第5回展覧会企画公募入選3組のご紹介
クラウディア・ラルヒャーさん、佐々木友輔さん、松井えり菜・村上華子さん

展覧会場となるトーキョーワンダーサイト本郷外観
展覧会場となるトーキョーワンダーサイト本郷外観

トーキョーワンダーサイト(TWS)が主催する「展覧会企画公募」は、企画者(キュレーター)を志す若手を対象に、展覧会の企画を公募するプログラムです。2006年のスタートから開催5回目を迎えた2010年度は、会田誠氏(美術家)、片岡真実氏(森美術館チーフ・キュレーター)、鈴木芳雄氏(エディトリアル・コーディネーター)、家村佳代子氏(TWSプログラム・ディレクター)、北澤ひろみ氏(TWSキュレーター)が審査員を務め、44企画の応募から3企画が選出されました。今回は、3組の入選企画者のみなさんに、企画の意図や見どころについてコメントをいただきました。キュレーターを目指す方は、2月26日(土)からはじまる展覧会も必見です。


「ELASTIC VIDEO - curated by PLINQUE」 企画/クラウディア・ラルヒャー

■企画概要
 PLINQUE(プリンキ)は、ウイーンを拠点に活動する若いアーティストや美術理論家のグループです。マルクス・ハナカム、クラウディア・ラルヒャー、ロスヴィータ・シューラー、リディ・シェフクネヒト、アルミン・B・ヴァグナーをメンバーとし、2008年より個展とグループ展を織り交ぜながら、開催場所に適した展覧会を行っています。今回、トーキョーワンダーサイト本郷に展観するのは、クラウディア・ラルヒャーが中心となってまとめたビデオ作品シリーズ〈ELASTIC VIDEO〉で、このビデオインスタレーション作品は、マルチメディアアートのトレンドに対する概念を広げる展覧会となるでしょう。

■展示作品について
 ハナカムとシューラーの《Invasion》は、映画理論における装置に焦点を当てたショートフィルムです。1849年にヘンリー・H・スネリングが書いた『The History and Practice of the Art of Photography; or the Production of Pictures through the Agency of Light(写真術の歴史と実践、あるいは、光の作用を介した写真の制作)』の記述をもとにデザインした、いくぶん荒唐無稽な装置が一部復元され登場します。
 デヤン・カルジェロヴィッチのビデオインスタレーション《Je Suis Malade(私は病気)》は、同タイトルのシャンソンを、ブロンドの少女が歌う様子を映した作品です。少女は歌の歌詞に没頭していますが、失恋歌の内容も、歌の書かれたフランス語も、彼女と何ら関係がありません。
 クラウディア・ラルヒャーが本郷をテーマにつくったシュールなビデオアニメーション《HONGO》は、建築物と鑑賞者の視線を利用した作品です。作品自体が、展示スペースの入り口、または隠し部屋であるかのように見える映し方をします。
 マヌエラ・マークの《Three sheets of paper(3枚の紙)》は、折り紙の伝統をモチーフに、フラットな素材が3次元の彫刻に変化していくさまを見せながら、人はいかに光を認識しているかを提示します。
 ベルンド・オップルのインスタレーションは、動く部屋の映像です。完全に静止して見えるように撮影された部屋の中で、4つの黒いボールが無秩序に転げ回っています。
 クリスティアン・ルシツカの作品は、2つのスクリーンを使ったビデオインスタレーションで、一方のスクリーンには、延々と泳ぐ動作を繰り返すプラスチックのフィギュアが、反対側のスクリーンには、理想の彫刻を探しに氷山に向かってボートを漕ぐ男が映し出されます。
 リディ・シェフクネヒトの《1/250》は、一枚の写真に、コンピュータで作った影が差している映像です。写真と影は完璧にシンクロしていて、別々のものには見えません。写真と映像の境界を探った作品です。
 アルミン・ヴァグナーの作品は、使い古された仕掛けを再構成して、昨今のトレンドである、偽の3次元性やマルチパースペクティブ性に疑問を投げかけます。

クラウディア・ラルヒャー
クラウディア・ラルヒャー

■クラウディア・ラルヒャー(Claudia Larcher)
1979年オーストリア・ブレゲンツ生まれ。アーティスト、キュレーター。2008年よりPLINQUEの展覧会キュレーションに携わる。2009 年、《HEIM》で「クンストハーレ・ウィーン・アワード2008」アニメーション部門特別賞受賞。オーストリア文化省スタジオグラント2010参加。現在、ウィーン在住。
http://www.plinque.info


「floating view “郊外”からうまれるアート」 企画/佐々木友輔

■企画概要
 近年、日本文化を世界に発信する必要性が語られ、アートもその一環として動員されていますが、驚くべきことにこれまで「郊外」がアートのテーマとなったことはほとんどありませんでした。アーティストたちの多くは「何もない郊外」という先入観を鵜呑みにするかのように、郊外を無視して都市や農村に目を向け続けてきました。
 しかし実は郊外は、人工物と自然物、さらに近年拡大を続ける情報環境が加わって三つ巴のせめぎ合いが繰り広げられている刺激的な場所です。そこには、現代をめぐる重要なキーワードが一望できる最先端の風景があります。そして何より、そこは多くの人びとが生まれ育ち暮らしている場所です。郊外の風景の中で、私たちはものを考え、身体を動かし、表現活動を行っているのです。そのような郊外的環境から生まれ出てくる想像力を救い上げることなしに、現代日本の文化を語ることはできないでしょう。
 本展はこのような問題意識のもとに、郊外的環境から生まれ、郊外的環境を更新する可能性を秘めた10人のアーティスト(佐々木友輔、石塚つばさ、笹川治子、遠藤祐輔、川部良太、ni_ka、田代未来子、清野仁美、渡邉大輔、藤田直哉)を紹介する企画展です。タイトルの 「floating view」(浮遊する景色/眼差し)は、均質でヴァーチャルなイメージを持ちながらも同時に確かな現実として私たちの目の前に広がる郊外の風景を表すと同時に、これまでの先入観に縛られることなく独自の経路を浮動しながら郊外的環境の新たな可能性を発見していくアーティストたちの眼差しを表しています。
 会期終了後は、郊外研究を行う社会学者や批評家との協働により展覧会カタログ兼論考集を出版します。アートと言説の双方からアプローチして、「何もない郊外」のイメージを、新たな表現が生まれる場所に書き換えていきます。

■展覧会開催に向けて
 本展では、「AR(拡張現実)としての郊外」というキーワードをもとに、一風変わった会場構成を計画しています。ホワイトキューブに「土地」を持ち込む石塚つばさの作品が大地となり、薄いビニールで浮遊する笹川治子の作品が「空」となり、その間に遠藤祐輔の写真をはじめとして個々の作家の作品が並ぶ。このように空間を上中下の三層に分割することで、会場全体が、複数のレイヤーのかさね合わせによるAR的風景として現れてくるでしょう。

佐々木友輔
佐々木友輔

■佐々木友輔(ささきゆうすけ)
1985年兵庫県生まれ。映像作家、企画者。映像表現を中心に、アートプロジェクトや舞台芸術、展覧会企画など様々な領域で活動を続ける。2003年、映画『手紙』で「イメージフォーラム・フェスティバル2003」一般公募部門大賞受賞。主な展示・上映に秋葉原の通り魔事件を題材にした映画『夢ばかり、眠りはない』、平山郁夫賞受賞顕彰展「デジャメーヴユ 既/未視感」など。現在、東京藝術大学大学院博士後期課程在籍中。
http://qspds996.exblog.jp/
http://qspds996.com/floating_view/


「Girlfriends Forever!」 企画/松井えり菜・村上華子

■企画概要
 美術大学には女性が多いのに、アーティストとして活躍し続ける女性が少ない(ように見える)のはなぜか? 「Girlfriends Forever!」展は、若手アーティストの中でもひときわ活躍している松井えり菜(1984年生)と、コンセプチュアルな作品で知られる村上華子(1984年生)が、同世代の作品を広く紹介するとともに、既に長く活躍しているアーティストも迎えて女性アーティストの来るべき未来像を考えるための展覧会です。
 個性的で華やかなイメージのある作家生活ですが、一方で長く制作を続けることは決して楽なことではないことも事実です。本展では、その2つの側面を“Girlfriendsの昼と夜”としてトーキョーワンダーサイト本郷の最上階を女性の部屋に見立てつつ、空間の隅々までアーティストの作品で満たします。
 松井と村上と同じく80年代生まれの画家や映像作家だけでなく、2人の共通の友人であるスペイン人作家モム&ノエスが、オランダで滞在制作した映像を発表します。また、辰野登恵子氏の新作絵画やファッションデザイナーの金森香氏と松井えり菜のコラボレーション作品、村上華子が元・警察官の協力を得てつくったインスタレーションも出品予定で、分野も世代も超えた、アーティストによるキュレーションならではの遊び心満載の空間が期待できます。
 3月12日(土)には、「ホワイトデー直前!ティーパーティーバトル」、3月26日(土)には「トークショー&クロージング・パーティー」といったイベントも予定しており、一層の交流を図ります。

■展覧会開催に向けて
 女性作家とひとくちに言っても、1つのイメージにはまとめきれないような多様性を大事にしたいと考えました。11組12人の女性アーティストが集う今回の展覧会では、絵画や映像も展示し、同年代の作家だけでなく、大先輩にあたるアーティストの方や海外のアートユニットの参加もあり、よそでは考えられないような個性的なラインナップになったと自負しています。分野が近いようでいて、なかなか一緒に展示をする機会のない作家たちが集って起きる化学反応のようなものがとても楽しみです。会場の構成も、メンバーでミーティングを重ねるごとにさまざまなアイデアが出てきているので、実際にどんな部屋に仕上がるか、見届けに来ていただければと思います。また、デザイナーさんと力を合わせて制作中のカタログも会期中に完成する予定なので、こちらもご期待ください!

村上華子(左)、松井えり菜(右)
村上華子(左)、松井えり菜(右)

■松井えり菜(まついえりな)
1984年岡山県生まれ。アーティスト。2004年、GEISAI#6で《えびちり大好き》が金賞を受賞。主なグループ展に、2005年、カルティエ現代美術財団の「私はそれを夢見る」、2009年モスクワ・ビエンナーレなど。2007年、山本現代で「わたしの小宇宙(コスモ)」、バルセロナのジョアン・ミロ財団で個展を開催。現在、国際的に活動中。

■村上華子(むらかみはなこ)
1984年生まれ。東京大学文学部美学専攻後、東京藝術大学大学院映像研究科修了。大地の芸術祭・越後妻有アートトリエンナーレ2006、2009に参加。2009 年からおよそ1年間、TWS青山:クリエーター・イン・レジデンスにて国内クリエーター制作交流プログラム参加。コンセプチュアルな作品を発表している。
http://girlfriendsforever2011.blogspot.com/


 
第4回展覧会企画公募 オル太「オル太の田」展示風景 (c)Tokyo Wonder Site
第4回展覧会企画公募 オル太「オル太の田」展示風景 (c)Tokyo Wonder Site
 
第5回展覧会企画公募
Emerging Artist Support Program 2010

「展覧会企画公募」は、トーキョーワンダーサイトが若手支援・育成を目的に2006年にはじまった公募プログラム。2010年度は3企画が入選し、2月26日(土)から展覧会をトーキョーワンダーサイト本郷で開催。

展覧会/ 「ELASTIC VIDEO - curated by PLINQUE」クラウディア・ラルヒャー
「floating view“郊外”からうまれるアート」佐々木友輔
「Girlfriends Forever!」松井えり菜・村上華子
会期/ 2月26日(土)〜3月27日(日)
休館/ 月曜日(祝日の場合は翌火曜日)
時間/ 11:00〜19:00(入場は18:30まで)
料金/ 無料
会場/ トーキョーワンダーサイト本郷
交通/ 御茶ノ水駅(JR・東京メトロ丸ノ内線)、水道橋駅(JR・都営三田線)、本郷三丁目駅(東京メトロ丸ノ内線・都営大江戸線)各駅より徒歩7分

http://www.tokyo-ws.org/

 
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