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社会のさまざまな場で、人と音楽をつなぐプロフェッショナルな音楽コミュニケーターを育成する、東京音楽大学、昭和音楽大学、神戸女学院大学の3大学による共同プロジェクト。後篇では毎年恒例の3大学合同夏期セミナーの模様を、参加した学生の声を中心にお届けします。
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3大学の学生が一堂に学ぶ、ユニークなワークショップ・セッション |
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音楽を学び、やがて社会に出て行く学生たちに、さまざまな場所で幅広い人たちと音楽の素晴らしさを共有してほしい――。教員たちによる音楽と教育への熱意から実現したのが、東京音楽大学、昭和音楽大学、神戸女学院大学音楽学部が共同で推進する「音楽系3大学による共同プロジェクト」です。プロジェクトの柱を成すのは、多彩な講師陣による授業をインターネットビデオで3大学が共有する「ミュージック・コミュニケーション講座」と、今回ご紹介する「3大学合同夏期セミナー」。今年の夏期セミナーは、ロンドンの名門・バービカンセンター&ギルドホール音楽演劇学校クリエイティブ・ラーニング・ディレクターとして国際的に活躍するショーン・グレゴリー氏を迎え、東京音楽大学に3大学の学生が集まり4日間の合宿形式で開催されました。
 バービカンセンター&ギルドホール音楽演劇学校クリエイティブ・ラーニング・ディレクターのショーン・グレゴリー氏
セミナーは、実際に近隣の小学生を招いて行う最終日の「クリエイティブ・ワークショップ」に向け、そのために必要なコミュニケーション・スキルやプログラムの組み立て方、進行の仕方などを「ワークショップ・セッション」でみっちり学ぶという実践的な内容構成が特徴です。「ワークショップ・セッション」は、全員で大きな輪をつくり、ボディパーカッションなどを行う“アイスブレイク”を取り入れたウォーミングアップからスタート。全緊張をほぐして心身をリラックスさせる動作や、子どもたちから伸びやかな反応を引き出すための接し方など、実技の授業にはないユニークな指導内容に、会場は終始学生たちの笑みに包まれました。
「グレゴリー先生のプログラムは、枠組が無いようで在るのが面白い。特に印象的だったのは先生の表情です。常に笑顔で、合図ひとつ出すにしても全身を使って表現する。将来ワークショップを実践して新しい音楽の道を拓くことを目標としている私にとっては、勉強になることばかりでした」(東京音楽大学3年 磯野恵美さん)

子どもの自由な想像力を引き出すクリエイティブ・ワークショップ |
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セミナー後半は、前半で学んだ知識やスキルをもとに、豊島区立南池袋小学校4〜6年生を、会場である東京音楽大学に招いて「クリエイティブ・ワークショップ」を開催。「東京の街」をテーマに「空」「道」「地下」の3つのグループに分かれ、まず各グループでそこにはどんなイメージが広がるか、目に見えるものや感じる音など、自由に意見を出し合うことから始まりました。次に、そのイメージに合う楽器を子どもたちが自由に選び、歌やボディパーカッションも交えながら、音を並べて一連のストーリーのように「空の音楽」「道の音楽」「地下の音楽」を創作。さらにその3作品をつなげ、最後は一曲の「東京の街の音楽」を完成させました。
クリエイティブ・ワークショップでは、子供たちと同じ目線に立ち、一人ひとりの感性を引き出しながら全員でひとつの曲をつくり上げた
「楽器を演奏できなくても、楽譜が読めなくても、誰もが音楽の力を体感できることがわかりました。周りの人の動きを敏感に察知し、耳を澄ませて音を聴き、自分の主張も入れつつ、どのように合わせるかを瞬時に判断して音楽をつくって行く。その場の人と人が結ばれて行くような空気や、全員で音楽をつくり出す一体感は、とても面白く、感動的でもありました」(神戸女学院大学4年 藤井美波さん)
「性格も反応も違う子どもたちから自由なイメージを自発的に引き出すのはとても難しかったのですが、初めは緊張で固まっていたような子も最後は笑顔に変わっていたので、ワークショップの力をあらためて実感しました。このセミナーを通じて音楽への強い思いを持ったたくさんの仲間と出会えたことは一生の財産です」(昭和音楽大学2年 本田翔子さん)
「入学当初は音楽に取り組むことに対してすごく堅苦しく構えていましたが、このセミナーや講座を通じて初心に戻ることができました。これを機にいろいろなワークショップの見学に行くようになり、さまざまな音楽との関わり方があることにも気づきました。視野が広がり、自分の中に少しずつ変化が生まれている実感があります」(東京音楽大学2年 大西小百合さん)
音楽でみんながひとつになり、ワークショップが終わる頃には全員が笑顔に
確かな手応えを得て、それぞれに音楽の可能性を模索する学生たち。3大学が団結して取り組むプロジェクトは、着実に実を結びつつあるようです。
インタビュー・文/杉瀬由希
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東京という都市を舞台に、学生や若手アーティストが地域と連携して企画・実施しているアートプロジェクトや芸術活動、スポットを紹介します。
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