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4649  小林優平さん、清水将吾さん、高見澤ゆうさん

新進ギャラリストに聞くアートとマーケット

No.002
ディレクターの清水将吾さん。海外から帰国したばかりの、高見澤ゆうさん(モニター内左)と小林優平さん(同右)はオンラインでインタビューに対応いただいた

ギャラリストの声をお届けするこの連載では、アーティストとの出会い方、作品のどこに注目するのか、アートマーケットの動向など、ギャラリーごとの特色を紹介します。

登場するギャラリストは、一般社団法人日本現代美術商協会(CADAN)に所属するギャラリーの中から、都内でこの数年に設立されたギャラリーの主宰者たち。今回は巣鴨で2018年に誕生した「4649」を訪問し、3人のディレクターに話を聞きました。「4649」はアーティストが自身で運用し、作品も発表する「アーティスト・ラン・スペース」という形式のギャラリー。小林優平さん、清水将吾さん、高見澤ゆうさんの3人はともに90年代の生まれで、それぞれ絵画や写真など分野の異なる作品を発表しながら、海外の若いアーティストたちを積極的に紹介しています。


Text: 新川貴詩

Photo: 中川周


アーティスト・ラン・スペース

ぜひとも、足を運んでみたいギャラリーをお知らせする当連載、今回、紹介するのは巣鴨にある4649だ。なんでも、「ヨン・ロク・ヨン・キュー」と読むらしいが、いったいどんな活動をしているのか、名前からは判断できない。そればかりか、ギャラリーなのか何なのかさえもよくわからない。そこで開口一番、率直にこんな質問をしてみた。

「『4649』をギャラリーと呼んでもいいんですか?」

清水将吾さんは即座ににこやかにこう答えた。

清水  はい、大丈夫です。

「4649」の文字だけの謎めいた表札。ピンク色の照明で怪しい雰囲気がさらに増す。ビルの地下に下りていくとギャラリーがある

続いて高見澤ゆうさんが説明する。

高見澤   ギャラリーでもあり、アーティストが運営するスペースでもあります。「アーティスト・ラン・スペース」という言葉もありますけど、最近はアメリカでもヨーロッパでもこの語を使う機会が減っていて。というのも、アーティストがスペースを運営すること自体が当たり前になってきていて、わざわざ言わなくなったからです。

2021年11月4日から12月5日まで開催された清水将吾、カルヴィン・ミセリ・ネルソンの2人展「Disassembled Self」。カルヴィンとはInstagramでのやりとりをきっかけに親交を深め、展覧会を開くことに

こちら「4649」は、小林優平さん(1990年生まれ)と清水将吾さん(93年生まれ)、高見澤ゆうさん(90年生まれ)の3人体制で運営されている。彼らは大学からの友だちで、小林さんは主に写真や印刷メディアを用い、清水さんは平面、高見澤さんはいわゆるコンセプチュアル・アートの作家活動も続けている。

在学中から清水さんは仲間たちとブックレーベルを始め、手づくりのZINE(ジン)を制作。やがてそれが発展して、2018年から3人で「4649」の活動をスタートした。

高見澤  もともとスペースを始めたいという決意はなくて、単純にぼくらの作品を見せる場がなかった。そこで、自分たちでスペースを借りて展覧会を開くうちに、他の人の展覧会もやるといいんじゃないかって感じで、自然にスペース運営みたいになってきました。

同様にギャラリーにしてアーティスト・ラン・スペースの「XYZ Collective」と場所をシェアし、一年で半々、それぞれプログラムを組んで活動に取り組んでいる。だがユニークなのは、運営体制だけではない。「4649」は、ここ巣鴨のスペースだけでなく、他の場でも展覧会を手がけている。

高見澤  そもそもぼくらが活動を始めたのは、海外の友だちのアーティストがスペースを主体的に運営していることに影響を受けて、ニューヨークやウィーンの同世代のアーティストを日本の若い人に紹介したかった。逆にぼくらが海外のスペースで展覧会をディレクションすることもあるというわけです。

「Disassembled Self」展、展示の様子。展覧会は広報用のチラシ、DMはつくらず、もっぱらオンラインで告知をすることが多いという
清水将吾「Despair organ」2021年

3人で運用するメリット

ではなぜ、3人で運営するのか?

高見澤  3人の関心のある分野はそれぞれ違います。ですから、展覧会のディレクションに幅がもたらされる。で、1人でやるよりは、そのあたりが面白いかなって。3人は集団ではないし、2人とも違う。絶妙な関係だと思ってて、それがいい感じに働いていますね。

小林  たとえば今日みたいに、ぼくと高見澤は海外から戻って自粛期間だけど、清水は会場に出られる。そんなふうに自然に成り立つ形で役割分担ができていて。

ちなみに、取材で訪れた日は、清水さんとアメリカ人でロサンゼルス在住のカルヴィン・ミセリ・ネルソンさんの2人展が開催されていた。なんでも、2人はInstagramで知り合って友だちになり、展覧会に発展したとか。

作家とのつながり方

では、アーティストの卵たちがこの「4649」で展覧会をしてみたいと思った場合、売り込みは可能なのか?

清水  インスタ経由で(売り込みは)ありますね。PDFで作品が添付されていたりとか。

高見澤 ただ、売り込みという形じゃなくて、まずは普通に展覧会を見に来てほしいですね。それで知り合って友だちになって、そのうえで作品を見せてもらうことはありますけどね。だいたい、ぼくらは確かにスペースは持ってるけど、立場的には似たようなもんだし。

今後、「4649」はどんな展開を目論んでいるのだろう?

清水  この2年で海外の人たちとの交流が途絶えてしまうことも増えました。ですからそれを再開したいと思いますね。

高見澤 それから、今まで行ったことのない街で活動してみたいです。

最後に、どうしても気になることを聞いてみた。「4649」のネーミングの意図とは?

清水  何も考えずにつけたんですよ。

高見澤 数字がいいなって。数字と日本語が合わさっているのがいいなって、一瞬で適当につけました。

じゃあ2軒目を出すとしたら、どんな名前に?

清水  うーん、「5963」かなあ?

「僕たちの3人展は、なぜかやったことがありません(笑)」と清水さん

4649
住所:東京都豊島区巣鴨2-13-4 B02
開廊時間:木-土 13:00 - 18:00/日 13:00 - 17:00
http://www.4-6-4-9.jp/

CADAN有楽町
住所:東京都千代田区有楽町1-10-1 有楽町ビル 1F
電話:070-6464-1438
営業時間:火~金=11:00-19:00/土、日、祝=11:00-17:00
定休日:月(祝日の場合は翌平日)
https://cadan.org/cadan-yurakucho/

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