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GWは「東京・ミュージアム ぐるっとパス2023」を活用しよう! 文化と歴史の香り漂う駒込散歩

イベント・レポート

No.044
六義園の藤代峠からの眺め(★)

「東京・ミュージアム ぐるっとパス2023」は、都内を中心とした101の美術館・博物館の入場券・割引券がセットになったお得なQRコードチケットです。販売価格2,500円で、最初に利用した日から2カ月間、各施設につき1回利用することができます。今回は、日本最大級の本の博物館と2つの庭園を徒歩で巡るお得なコースをご紹介します。


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2023.04.27

新年度に入り、だんだんと過ごしやすい季節になってきました。「ぐるっとパス」の魅力は、対象施設の多さ。美術館や博物館だけでなく、動物園や水族園、庭園など、多彩なお出かけスポットでお得に利用できることです。今回は、ゴールデンウィークに文化と歴史や自然を満喫できる、駒込駅周辺を徒歩で回るコースを提案します。

「東洋文庫ミュージアム」で世界の動植物を知る

東洋文庫ミュージアム 入口

まずは駒込駅から徒歩8分のところにある、「東洋文庫ミュージアム」へ。三菱の第三代当主・岩崎久彌が設立した、世界屈指の東洋学の研究図書館兼ミュージアムです。アジアの歴史と文化に関する書籍約100万冊のコレクションをもとに、幅広いジャンルの展覧会を開催しています。

「ぐるっとパスカード」を受付で購入するとパンフレットがもらえる
「ぐるっとパスカード」のQRコードをスマートフォンで読み取ってもらい、入場手続きは完了

スマートフォン経由で購入できる「電子チケット版」もありますが、今回は「ぐるっとパスカード」を使うことにしました。ミュージアムの受付でぐるっとパスを購入すると、全対象施設の情報が掲載されているパンフレットがもらえます。すぐにカードを利用する場合は、その場でカードに有効期限の日付印を押してもらったら、名前を記入します。
東洋文庫ミュージアムでは、一般900円の企画展にぐるっとパスのみで入場することができました。

企画展「フローラとファウナ 動植物誌の東西交流」展示風景

開催中の企画展「フローラとファウナ 動植物誌の東西交流」(2023年2月1日~5月14日)は、古今東西の動物や植物の図鑑・図譜を通して、知の東西交流をたどる展覧会です。
メインの展示作品の一つ、ドイツ人医師シーボルトがまとめた『日本動物誌』(1833〜50年)、『日本植物誌』(1835〜70年)には、ニホンザルやキュウシュウジカ、アジサイといった、彼が日本で初めて見た動植物が紹介されていました。19世紀のヨーロッパは多色刷りの技術が普及しておらず、この図鑑は印刷した線描画に手で着色されています。

インドの植物を紹介した『コロマンデル海岸の植物誌』。美しく色鮮やかな挿絵を眺めているだけでも楽しい
モリソン書庫

2階の「モリソン書庫」も大きな見どころです。岩崎久彌が北京駐在のオーストラリア人、G.E.モリソン博士から購入した約2万4000点にものぼる書籍・絵画等のコレクションの一部が、床から天井までぎっしり収められています。まさに知の殿堂といった趣で、東洋文庫ミュージアムを象徴する空間となっています。

東洋文庫の歩みを紹介する1階展示室

「フローラとファウナ 動植物誌の東西交流」の開催期間中は、1階展示室にて、岩崎久彌の故郷である土佐の偉人たち、幕末の英雄・坂本龍馬やNHK連続テレビ小説『らんまん』の主人公のモデルとなった植物学者・牧野富太郎などに関するものも展示されています。

「六義園」で和やかなひと時を

六義園正門

東洋文庫ミュージアムから徒歩1分ほどで、次の目的地「六義園(りくぎえん)」に到着します。小石川後楽園とともに江戸の二大庭園に数えられ、1953(昭和28)年に国の特別名勝に指定された貴重な文化財です。
こちらの入園料は一般300円ですが、ぐるっとパスのみで入園できました。

園路のツツジ

六義園は五代将軍・徳川綱吉に重用された大名・柳沢吉保(やなぎさわよしやす)によって築園され、明治時代には三菱の創設者・岩崎彌太郎の別邸となりました。春のしだれ桜が有名ですが、初夏にはツツジ、秋にはモミジやハゼノキの紅葉が来園者の目を楽しませます。

例年4〜5月がツツジの見頃。サツキ(写真)は例年5月半ば〜6月上旬にかけて目を楽しませてくれる

道路脇によく見かけるツツジですが、緑豊かな水辺にこんもりと咲いたツツジのピンク色が愛らしく、気持ちも華やぎます。山の斜面や園路に沿ってさまざまな地域の種類が植えられていました。

園内で一番高い築山の藤代峠(ふじしろとうげ)にも登ってみましょう。標高35mの峠を登れば、東京にいながらハイキング気分が味わえます。赤やピンク、オレンジに彩られたツツジの先に、大小の木々、大泉水の描く曲線が続き、奥行きを感じさせます。

吹上茶屋で穏やかな日差しと風を感じながら、和菓子と抹茶でホッと一息つきました。

「旧古河庭園」で和洋の庭を散策

六義園から徒歩18分、駒込駅を越えて北へ向かうと「旧古河庭園(きゅうふるかわていえん)」が見えてきます。
明治時代に活躍した外交官・陸奥宗光(むつむねみつ)の邸宅だった旧古河庭園は、大正時代初期の庭園の姿を伝える貴重な存在として、2006(平成18)年に国の名勝に指定されています。
入園料は一般150円、こちらもぐるっとパスのみで入園することができました。

西洋庭園のバラと洋館

英国貴族の邸宅をイメージした石造の洋館とフランス式の洋風庭園は、イギリスの建築家・ジョサイア・コンドルによる設計。赤みを帯びた岩の壁と白い窓枠のコントラストがおしゃれな洋館を背に、初夏には約100種にもおよぶバラやツツジが咲き誇ります。その光景は、まるでヨーロッパにいるようです。
5月・10月頃のバラフェスティバルでは、音楽会やバラの人気投票なども開催され、多くの人で賑わいます。

雪見灯篭

バラ園やツツジ園を抜けると雰囲気は一変、日本庭園が広がります。心字池(しんじいけ)の奥には、大きな雪見灯篭が大小の石組とともに置かれ、風流な雰囲気を醸し出していました。

今回のぐるっとルートはスタート地点の駒込駅からゴールの上中里駅までのコース

今回は、1つの美術館と2つの庭園の入場料が合計1,350円のところを、ぐるっとパスのみで巡ることができました。

行楽シーズンをお得に楽しもう

「ぐるっとパスカード」は、101の対象施設や観光センター等の窓口で購入できるほか、コンビニエンスストアで引換券を購入すると、対象施設で引き換えることもできます。コンパクトな名刺サイズなので、いつでも使えるよう財布の中に忍ばせておけますね。
パンフレットには全対象施設の基本情報とエリアマップが掲載され、各施設情報の日付欄に記入をして、訪問履歴を管理することができます。パンフレットを参考に、「まだ行ったことがない施設はどこだろう」「この美術館と博物館は一緒に行けそうだ」と楽しみながら、次の計画を立てられそうです。

皆さんも「ぐるっとパス」で、ゴールデンウィークのお出かけをお得に楽しんでみませんか?

「ぐるっとパスカード」とパンフレット

Text:浅野靖菜
Photo:櫛引典久(★以外)

「ぐるっとパスカード」

ぐるっとパス2023
「電子チケット」はパソコンやスマートフォンから、「ぐるっとパスカード」は対象施設の販売窓口などで購入可能。各種交通機関の乗車券とのセット販売も行っています。詳しくはぐるっとパス2023の公式ウェブサイトをご確認ください。
料金:2,500円(大人料金のみ)
販売期間:2023年4月1日(土)〜2024年1月31日(水)
有効期間:最初に利用した日から2カ月の間に、各施設の指定の展示に1回ずつ利用可能 ※最終有効期限は2024年3月31日(日)
https://www.rekibun.or.jp/grutto/

東洋文庫ミュージアム
東京都文京区本駒込2-28-21
開館時間:10:00-17:00(入館は16:30まで)
休館日:毎週火曜日(祝日の場合は翌平日)、展示替え期間、年末年始
https://toyo-bunko.or.jp/museum/

今後の予定:
「フローラとファウナ 動植物誌の東西交流」2023年2月1日(水)~5月14日(日)
「東洋の医・健・美」 2023年5月31日(水)~9月18日(月・祝)

六義園
東京都文京区本駒込6
開園時間:9:00-17:00(入園は16:30まで)休園日:年末年始
https://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index031.html

旧古河庭園
東京都北区西ヶ原1
開園時間:9:00-17:00(入園は16:30まで)
休園日:年末年始
https://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index034.html

※洋館は別途入館料がかかります。
http://www.otanimuseum.or.jp/kyufurukawatei/

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