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「東京・ミュージアム ぐるっとパス」を活用しよう! 初夏を感じながら、六本木・新宿エリアのミュージアムをめぐる〈前編〉

イベント・レポート

No.047
菊池寛実記念 智美術館の入口

「東京・ミュージアム ぐるっとパス2024」は、都内を中心とした103の美術館・博物館の入場券・割引券がセットになったお得なQRコードチケットです。販売価格2,500円で、最初に利用した日から2カ月間、各施設につき1回利用することができます。

今回は梅雨の季節にもピッタリの、1日でめぐれる駅近のミュージアム3施設を、六本木〜新宿のエリアからセレクト。異なるジャンルの斬新な表現に触れるお得なコースを、前後編に分けてご紹介します。


2024年度も好評発売中!

「ぐるっとパス」は、東京を中心とする美術館・博物館などの入場券や割引券がセットになったQRコードチケットです。参加施設は、都内の各地域と神奈川・千葉・埼玉を含む7つのエリアにある、美術館や博物館、動物園、水族園、植物園・庭園。今年度は、日本オリンピックミュージアムと三鷹市吉村昭書斎が初参加、静嘉堂文庫美術館とSOMPO美術館が再参加して、参加施設は過去最多の103施設となりました。

多彩なお出かけスポットが選べるぐるっとパスですが、東京を中心とした広大なエリアで参加施設をどんなふうに巡るか迷う人も多いはず。できれば、パスの使用開始に合わせていくつかの施設をハシゴできるとよいですよね。うまく選べば、1日でパスの購入費用相当の入館料分の元を取ることもできます。

お得にぐるっとパスを活用いただくためには、参加施設が多く集まるエリアやアクセスのいい駅近で、入場券扱いになる参加施設を調べてみるのがオススメ。今回は、1日で訪れることのできる距離にあり、どれも駅から徒歩圏内、しかも、ぐるっとパスのみで入場できる3つのミュージアムのコースを紹介します。

「菊池寛実記念 智美術館」で前衛陶芸に刺激を受ける

ぐるっとパスカード

最初に訪れたのは、非日常的な空間で現代陶芸を堪能できる「菊池寛実記念 智美術館(きくちかんじつきねん ともびじゅつかん)」です。最寄り駅は東京メトロ日比谷線の神谷町駅で、南北線の六本木一丁目駅、日比谷線の虎ノ門ヒルズ駅、銀座線の虎ノ門駅からも近い場所にあります。

菊池寛実記念 智美術館は、創立者でコレクターである菊池智のコレクションを母体に、現代の陶芸作品の紹介を目的として、2003年に開館しました。優れた造形作品を紹介するさまざまな展覧会を開催するとともに、陶芸の枠にとどまらず、現代の工芸全般の発信地となっています。

1階受付でぐるっとパスを購入してからQRコードを提示

美術館の受付でぐるっとパスカードを購入、その場で名前を書いたら、日付印の押印と、QRコードの読み取りをしてもらいます。
これまで智美術館では、ぐるっとパスは割引券での取り扱いでしたが、今年度から入場券として利用できるようになりました。一般1,100円の企画展に、ぐるっとパスのみで入場できました。

走泥社の初期作品はうつわをキャンバスに、ひまわりやライン・ダンサーが描かれている

「走泥社再考 前衛陶芸が生まれた時代」(前期:2024年4月20日〜6月23日、後期:2024年7月5日〜9月1日)は、戦後の日本陶芸界を牽引した前衛陶芸家集団「走泥社(そうでいしゃ)」の活動を検証する展覧会です。走泥社は、1948年に八木一夫、叶哲夫、山田光(ひかる)、松井美介(よしすけ)、鈴木治の5人で結成されました。本展では、50年にわたる活動の中でも、前衛性が著しい前半の25年間に焦点を当てています。

彼らの初期の作品には、伝統的な形や技術を使いながら、西洋美術を参考にしたモチーフや抽象絵画のような模様が施されました。一方で造形の面白さを追求した作品もつくられ、のちに「オブジェ焼」と呼ばれる表現に発展しました。

人の背丈ほどの大作も

美術館は、創立者である智の美意識が細部にまで及び、まるで施設自体も工芸作品のようです。
篠田桃紅(とうこう、1913-2021)による作品や、ガラス作家の横山尚人(なおと、1937-)による手すりが曲線を描く螺旋階段を降りた先にある展示室は、作品のみを照らすライティングが特徴的です。
この展示室は、智と親交のあったアメリカ人デザイナーのリチャード・モリナロリが手がけたもの。S字や階段状になった展示台や、薄布を使った演出は空間を立体的に見せ、陶器の肌や釉薬の輝きを効果的に引き立てます。

今回の走泥社展でも、智がこだわり貫いた鑑賞空間に身を置いて、作品と向き合うことができました。

前編のぐるっとルート

徒歩圏内には、2022年に訪れた泉屋博古館東京と大倉集古館もあり、こちらもぐるっとパスのみで入場できます。

後編では新宿駅に移動して、古今東西のファッションに出会える「文化学園服飾博物館」、多彩な表現活動を紹介する「東京オペラシティ アートギャラリー」を訪問します。

(後編へ続く)

Text:浅野靖菜
Photo:中川周

「ぐるっとパスカード」

ぐるっとパス2024
「電子チケット」はパソコンやスマートフォンから、「ぐるっとパスカード」は対象施設の販売窓口などで購入可能。各種交通機関の乗車券とのセット販売も行っています。詳しくはぐるっとパス2024の公式ウェブサイトをご確認ください。
料金:2,500円(大人料金のみ)
販売期間:2024年4月1日(月)〜2025年1月31日(金)
有効期間:最初に利用した日から2カ月 ※最終有効期間は2025年3月31日(月)
https://www.rekibun.or.jp/grutto/

菊池寛実記念 智美術館
東京都港区虎ノ門4-1-35 西久保ビル
開館時間:11:00-18:00(入館は17:30まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、展示替期間中、年末年始
https://www.musee-tomo.or.jp

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