──aviさんの動画を見ていて、取り上げる作品や紹介するポイントはどのように決められているのだろう、と思いました。たとえば、依頼があって展覧会の動画をつくるときにも細かな要望があったりするのですか。
要望はほとんどなく「自由につくってください」ということが多いです。でもこれはアートに限ったことではなく、ショート動画のクリエイターには自由につくってもらう、というのが依頼側のマナーのようでして。クライアントが求めるものにこたえようとすると、個人の声で発信するというスタイルが崩れてしまうことがある。違和感が出ると、視聴者も「いつもと違う」と気づくのですよね。私が動画をつくるときに意識するのは、美術の知識がなくてもいかに興味をもってもらえるか、というポイントです。
──ショート動画ならではの短い時間のなかで伝えることが重要だと思いますが、工夫していることはありますか。
ショート動画って、見ているようで見ていないもの。次から次へとコンテンツが流れていくなかでいかに目に留まるかで、最初の1秒が肝心と言われています。私の場合は、美術に興味がない人にも、動画再生をとばされない工夫をしています。たとえば旅行の要素で入るとか、ファッションの要素で入るとか。自分の興味から入ったと思ったら、気づけば美術の世界にいた、というように。じつは私が戦っているのは、犬や猫の動画やお料理の動画なんです。