アーティスト
朱　芸然

2012年来日、2022年京都市立芸術大学修士課程修了。日頃見る夢や瞑想をヒントに、鑑賞者と作家自身の無意識を写し出す表現を試みる。一枚の絵の持つ素材感と意味に焦点を当て、動く「絵」としてアニメーションを見せる。展示するたびに、さらにインスタレーションとして再構成する。

ステイトメント
水底に深く埋葬したあの災難を一瞬見せられた時、
無意識に潜んだ怒りに気づく。
それに直面する。
それを浄化する。
その記憶の縛りから、自分たちを解放する。

作品説明
今作は二つの部分で構成される。
①シーツ部分
花粉症の5月、呼吸がスムーズになった瞬間に夢を見た。自分も含めた世界が病から抜け出し、
「浄化」されていた。
現在と過去のパイプとして、それを作者自身が幼少期に使ったシーツに投影した。見る人に
とっても、使用感のあった布によって、安らぎな記憶を想起させたい。
②水槽部分
水で怒りを封じ、災難を封じ、整理できない心的外傷を封じようとした。けれども、作者は水
を半分注ぐことを選んだ。潜めた記憶がようやく観測され、救いが現れる。
水の後ろに置いたアニメーションの画面は、タロットカードの「月」をアレンジしたもの。あ
る日の夜に、月が二つの塔の真ん中にいる瞬間を見た。「月」は意識と無意識の塔の真ん中に、
「周期」によって変化する。
①＋② の構造
モニターと水槽の部分は災難の再現であり、シーツの部分はそれの浄化であると考える。