遊び心に満ちたスタイル、世代ならではの素材選び―。
メディウムにこだわらない奔放な作風には、
作家・森田学の自由な生き様がありありと反映されている。

自身のアバターでもある「NEO」を筆頭に、彼が生み出すキャラクターは皆、
我々がAIと呼ぶデジタル・ワールドの住人だ。
時間や空間といった制約を一切受けないそれらは、
自律思考のみによっていつどのようなスガタカタチにもトランスフォームし続ける。

若者のみならずミドルレンジの年齢層からも幅広く愛される「NEO」は、
疾駆するような大胆なポージングが特徴的だ。
ヴィヴィッドな色彩のなかで、森田がシグネチャー的に散りばめる白のハイライトは、
瞬間を切り取るような鋭さを以て生命にいっそうの輝きをもたらす。

アクリル、スプレー、マジックからデジタルツールをも自在に操る森田のカンヴァス上で、
異なる質感から複合的に組み上げられたキャラクターたちは、
まるで有機生命体であるかのような深みとリアルさをもって我々に迫り
現実と仮想の境界を、瞬時、ファジーにぼかす。
アナログからデジタルへ、刻々と移ろう日々への順応を迫られた世代ならではの世界構築ともとれるかもしれない。

硬質かつ金属的な鋭さが際立った従来の作品群に加え、
近年では、丸みを帯びたポップな風合いが強調された「MINI NEO」も登場。
アクリルのレイヤーによって立体的に浮き上がり、流体を纏いながら今にも跳躍しそうなその姿は、鮮烈なインパクトを放っている。

僅か数十年前まで、多くの人々にとってはフィクションの領域を出なかったAI。
それらがかつてなく近しい存在となったいま、
果たして友となるのか敵たりうるのか、
もっとニュートラルな第三者か、はたまた我々自身の写し鏡かー。

本展「スガタカタチ」にて、「NEO」との対話をぜひ心ゆくまま深めていただきたい。