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パブリックドメインで巡る世界の美術館

パブリックドメインとは、著作権を有さない公共の知的財産のこと。世界には、そのような所蔵品をインターネット上で公開している美術館があります。パブリックドメインとなった所蔵品を取り上げ、その魅力をあらためて紐解きます。

No.001
スミソニアン博物館 門外不出のフリーアコレクション

2020.9.16

パブリックドメインとして、収蔵品をオンライン上で公開している美術館があります。オンライン空間では、海外渡航が難しくなっても、国内にいながらにしていつでも海外の美術館に収蔵されている名品に出逢うことができます。今回とりあげるのは、複数の博物館と教育研究機関の集合体であるスミソニアン博物館のひとつ、フリーア美術館の作品。同館には、実業家チャールズ・ラング・フリーア(1854-1919)が蒐集した7,500点に及ぶコレクションが所蔵されています。アジア美術に興味のあったフリーアは、ジャポニズムに影響を受けた画家ジェームズ・マクニール・ホイッスラー(1834-1903)との交流を通し、さらにアジア美術にひかれていきました。蒐集内容は、絵画、陶磁器、ブロンズ、彫刻、テキスタイルと幅広く、個人のコレクションとしてはアメリカで最大規模を誇ります。「門外不出」とされ、日本国内では見る機会のない傑作を、スミソニアン美術館で日本美術のセクションを担当する学芸員キット・ブルックスさんに解説していただきます。

ジェームズ・ホイッスラー《ピーコック・ルーム》1877年

ジェームズ・ホイッスラー《ピーコック・ルーム》1877年

Harmony in Blue and Gold: The Peacock Room, Freer Gallery of Art
https://asia.si.edu/object/F1904.61/

ピーコック・ルーム(孔雀の部屋)は、イギリスの富豪、フレデリック・R・レイランドが食堂として使用していた部屋で、ジェームズ・ホイッスラーがデザインしました。ホイッスラーとレイランドとの間で部屋の外見と費用をめぐって確執もありましたが、1877年に完成。その後、ホイッスラーの後援者であるフリーアが1904年にピーコック・ルームを買い取り、展示室が備わるデトロイトの自宅に移築しました。1919年にフリーアが死去し、ピーコック・ルームはワシントンD.C.のフリーア美術館に移動されました。美術館では、毎月第3木曜日に正午から午後5時まで鎧戸を開けていて、窓から差し込む自然光の下で陶器と壁画の美しい組み合わせが味わえます。

ジェームズ・ホイッスラー《バラと銀:陶磁の国の姫君》1863-1865年

ジェームズ・ホイッスラー《バラと銀:陶磁の国の姫君》1863-1865年

The Princess from the Land of Porcelain (La Princesse du pays de la porcelaine), Freer Gallery of Art
https://asia.si.edu/object/F1903.91a-b/

1863年から1865年にかけて、ホイッスラーがクリスティン・スパルタリをモデルにして描いた作品です。ロンドンの富豪、レイランドが買い取り、自宅の食堂であったピーコック・ルームに飾ってありましたが、1892年に彼が亡くなった後売却され、ピーコック・ルームと離ればなれになりました。その後フリーアが1903年にこの肖像画を、そして1904年にピーコック・ルームを買収。1923年、フリーア美術館に移され、以来ピーコック・ルームの暖炉の上方に掛けられています。モデルのスパルタリは着物を着て、屏風、団扇、陶磁器などのアジア風の調度品に囲まれています。絵画としては、明らかに印象派の作品といえます。

俵屋宗達《松島図屏風》江戸時代(17世紀)

俵屋宗達《松島図屏風》江戸時代(17世紀)

Waves at Matsushima, Freer Gallery of Art
https://asia.si.edu/object/F1906.231-232/

フリーアは、俵屋宗達の最高傑作とうたわれ、琳派の魅力にあふれる《松島図屏風》を1906年に購入しました。この一双屏風に、フリーアは《Waves at Matsushima》という英語名を付けましたが、実在する松島を描いた作品ではないと言われています。松島ではなく、宗達が源氏物語を念頭に置いて、大阪住吉の荒波を描いたという説もあるのです。そのことは、1902年まで堺の祥雲寺がこの作品を所蔵していたことからも推測されています。フリーア美術館のアジア美術専用のギャラリーには特殊な天窓が付いていて、《松島図屏風》の生命みなぎる波と水の描写を自然光の下で楽しむことができます。

Text:キット・ブルックス(スミソニアン博物館学芸員)

スミソニアン博物館

アメリカ合衆国ワシントンD.C.とその周辺にある科学、産業、技術、芸術、自然史など19の博物館郡であり、教育研究の拠点。本記事でとりあげたような絵画だけでなく、月の石や世界初の飛行機、恐竜の骨格模型、など多彩な分野の芸術品と標本が蒐集されていて、そのコレクションは約1億5,400万点にものぼります。
https://www.si.edu/
https://www.si.edu/collections ※左記のサイトにてパブリックドメインを公開
住所:Capital Gallery Building, Suite 3000, 600 Maryland Avenue SW, Washington, DC, 20024,アメリカ合衆国 ガイド&マップ(日本語):
https://www.si.edu/sites/default/files/japanese_guide_and_map.pdf

フリーア美術館

スミソニアン博物館のひとつで、フリーアが蒐集した7,500点に及ぶ美術品を基に開館しました。日本にあったら国宝に該当するような美術作品をはじめ、アジア美術を中心としながら、19世紀から20世紀初頭のアメリカ美術に至るまで、幅広い作品を所蔵しています。
https://asia.si.edu/
住所:1050 Independence Ave SW, Washington, DC 20560,アメリカ合衆国

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