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西堂行人のトーキョー・シアター・ナビ
No.005
ティーファクトリー
トム・プロジェクト
『明日がある、かな』
(10/24〜10/30)
演劇評論家の西堂行人さんが、見逃せない公演を紹介する「西堂行人のトーキョー・シアター・ナビ」。今回は、演劇の聖地・紀伊國屋ホールにお目見えする、大人気のプロデュース集団トム・プロジェクトの制作公演。 1960年代、高度経済成長期の栃木を舞台にした人間ドラマで、上演期間はわずか1週間、まさに「見逃せない」公演だ。

「トム・プロジェクト」というプロデュース集団は、1992年に立ち上がりひとり芝居を数多く上演している。けれども、ここ数年は本格的な公演を手がけ、その上演リストを見ると、現代を切り裂く劇作家・演出家を多数起用している。昨年の『挽歌』がそうだった(作、演出は、劇団チョコレートケーキの古川健と日澤雄介)。 

『晩歌』(2016年11月30日〜12月4日、東京芸術劇場シアターイースト)より
『晩歌』(2016年11月30日〜12月4日、東京芸術劇場シアターイースト)より

今回登場する中津留章仁は、今回で8回目になる。自ら「トラッシュマスターズ」を率い、劇団員たちと創作活動を続ける彼だが、トムプロに拠る時は、多彩なキャストたちとともに異なった作風を探索する。
時事的なテーマを扱うことの多い中津留はしばしば「社会派」と言われる。だが彼が描き出すのは、いつでも内面のドラマである。人間の心の動きを丹念に追い、人間が現実や社会と出会う際の葛藤と変質を描く。
今回の新作のテーマは公害問題である。高度経済成長に突入する1964年が舞台の発端となる。東京五輪を境にニッポンは一気に世界の一流国の仲間入りを果たした。それと引き換えに、ニッポンの内部は何かが狂い始めていく。咳が止まらず、体調に異変を来す者たちも増え、社会問題となった。自動車販売の仕事に従事する阿久津家は、息子の健康のため東京から空気のいい栃木に引っ越す。けれども、祐太の病状は一向に直る兆しがない。それどころか阿久津家はさらなる難題に巻き込まれていく……。地方都市にありがちな偏見と外国人差別、地場産業がもたらす会社の利益と公害の垂れ流し。当事者性に目覚めた登場人者は自らに襲いかかった問題と対決する。
タイトルの『明日がある、かな』は坂本九の名曲「明日があるさ」をもじったもので、1963年に発表されたこの曲は、貧しい若者たちの心情を謳った。青島幸男の歌詞は舞台の背景を映し出し、時代をくっきり彩る名曲となった。

『明日がある、かな』稽古風景

『明日がある、かな』稽古風景
『明日がある、かな』稽古風景

『明日がある、かな』

作・演出:中津留章仁
出演:橋洋介、斉藤とも子、李丹、真山章志、尾身美詞、太平、滝沢花野、辻井彰太、伊藤壮太郎

[期間] 2017年10月24日(火)〜10月30日(月)
[会場] 紀伊國屋ホール(東京都新宿区新宿3丁目17-7 紀伊國屋書店新宿本店4F)
https://www.kinokuniya.co.jp/c/store/hall.html
[主催] トム・プロジェクト
http://www.tomproject.com/

『明日がある、かな』
  • 橋洋介
    橋洋介
  • 斉藤とも子
    斉藤とも子
  • 李丹
    李丹
  • 真山章志
    真山章志
  • 尾身美詞
    尾身美詞
  • 太平
    太平
  • 滝沢花野
    滝沢花野
  • 辻井彰太
    辻井彰太
  • 伊藤壮太郎
    伊藤壮太郎

西堂行人(にしどう・こうじん) 演劇評論家。明治学院大学文学部芸術学科教授。1954年東京生まれ。78年より劇評活動を開始し、アングラ・小劇場演劇をメインテーマとする。主な著書に『演劇思想の冒険』『韓国演劇への旅』『[証言]日本のアングラ』『唐十郎 特別講義―演劇・芸術・文学クロストーク』(編)など多数。最新刊は『蜷川幸雄×松本雄吉 二人の演出家の死と現代演劇』。

西堂行人(にしどう・こうじん)

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