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トーキョー・アートビジョン
No.006 東京の建物を見て楽しむ。
語り手:東京都江戸東京博物館 米山勇氏

東京都江戸東京博物館 都市歴史研究室に在籍し、近代建築史を専攻される米山勇氏。実は7年前に、建物の本質を体で理解する「建築体操」を考案した方でもあります。今回は、建築体操が一度きりのイベントで終わらなかった理由、建築体操を通して見る東京の建物のおもしろさなどについて語っていただきました。



大人も楽しむ建築体操へ

 2回目の建築体操をしたのは江戸東京たてもの園で、夏休みの子ども向けイベントのときでした。以来、改良を重ねて毎年やっています。今、体操の型は、およそ100種類ぐらいの定番プラス、高橋さんが隠しているネタがかなりあります。それにしても、子どもたちの表現力には毎回驚かされます。思いもよらぬ独創的な表現をしてくれると、本当に感心してしまいますね。東京都写真美術館でイベントを行ったとき、初めてパフォーマー2人でひとつの建物をつくるという建築体操に挑戦したのですが、シンメトリーの大作などもできて非常によかったと思います。それまで、ルネサンス様式などの横長の建物は、高橋さん1人ではなかなかうまくできませんでしたから。これで、今後の新作もますます楽しみになってきました。

建築体操のパフォーマー、江戸東京たてもの園 学芸員・高橋英久氏 建築体操のパフォーマー、江戸東京たてもの園 学芸員・高橋英久氏

 建築体操は実際に見て体験してみないと、何をやっているのか疑問に思うかもしれません(笑)。でも、建築の本質的な部分を学ぶ手法としてとても効果的なんです。東京都写真美術館で嬉しかったのは、大人対象のワークショップということでしたが、参加者がたくさんいたことです。カップルが一緒に体操する姿、1人でもおもしろがって参加されている方を見ることで、大人の建築体操に可能性を感じました。



建築を鑑賞する意識を育てたい

 建築体操をやっている中で、日本では、まだ建築は「施設」でしかないということを感じました。広い意味で、建築を鑑賞する意識というものが根付いていないのです。例えば、スペインに行く人はガウディの建築を見ることをひとつの目的にします。国内の建築物に対しても、そういう目を持って見てほしいのです。代々木体育館が、いまだに外国から見に来る人がいるほど貴重な作品であることは、あまり知られていません。日本人の「建築物の形を見る意識」は、まだまだこれからだと思います。だから、そういった意識を変えていきたいですね。
 建築体操で建築物の名前をあげても、その建物の形がすぐ出てこないのです。ですから画像を見せるのですが、そうすると表面上の形だけを似せようとしてしまう。それをなんとか克服して、建物が持っている構造とか、パワーを表現できる建築体操を目指したいと思っています。建築体操の最も重要な点は、照れてはいけないということです。高橋さんも最初は照れがありましたが、ある時から照れがなくなり、最近ではパフォーマンスに磨きがかかってきましたね。今では、ドイツのバウハウスに呼ばれても大丈夫だと思っています(笑)。

都庁第1庁舎:大切なのは似せようとしないで、建物の特徴をひとつつかむこと。ツインタワーで握りこぶしをつくっているところ。グーがポイント
国会議事堂:屋根のラインは、世界的にも類のない珍しいつくり。明治時代から国会議事堂の建築をどうするかで論争が紛糾し、結果的に現在の形になったといわれる
都庁第1庁舎:大切なのは似せようとしないで、建物の特徴をひとつつかむこと。ツインタワーで握りこぶしをつくっているところ。グーがポイント
国会議事堂:屋根のラインは、世界的にも類のない珍しいつくり。明治時代から国会議事堂の建築をどうするかで論争が紛糾し、結果的に現在の形になったといわれる
東京カテドラル教会:代々木体育館と同じく丹下健三と構造技術者 坪井善勝の作品。上空から見た形は十字架型で、曲線をいかした構造になっている
東京カテドラル教会:代々木体育館と同じく丹下健三と構造技術者 坪井善勝の作品。上空から見た形は十字架型で、曲線をいかした構造になっている


東京の建物を楽しもう

 私の専門は、建築史です。なかでも、昭和から現代の建築について講演をする機会が多いのですが、今、江戸東京たてもの園の東ゾーンに昭和30年代〜40年代の町並みをつくっています。ただ建物を建てるだけでなく、布団や洗濯物を干したりするなど、文化的な要素を組み込んで当時の生活ぶりを再現しています。
 また、東京には私の好きな建築がたくさんあります。今、通りとしておもしろいのは、クオリティの高い建物が次々とできている表参道です。原宿から青山のプラダまで、新しい建築物を見ながら歩くのは楽しいですね。東京は再開発が進んでいますが、私は、少なくとも取り壊す前のビルに負けないものをつくってもらいたいと思います。でも、実際には高さだけは勝っていても、内容的にずいぶん負けている建築物が多いんじゃないかな。
 建築のひとつの見方として、素材を見ることをおすすめします。例えば、ガラスを見ると10年単位で竣工の時期がだいたいわかります。ガラスの色、納め方など、時代性が非常に出ています。70〜80年代はミラーガラス、それがハーフミラーになり、比較的最近はグリーン系ですが、それも変わっています。90年代以降は透明性を求めた時代です。いかに透明にするか、サッシをなくすなどの工夫をしていました。今は、ただ透明なだけではだめだという考え方が台頭してきています。ガラスは透明で平滑なものだ、という概念が終わりつつあるのです。ガラスの可能性はまだまだ伸びていくと思います。建築体操をきっかけとして、東京の建物を見て楽しむ方が増えることを願っています。

米山勇 写真
 
米山勇
建築史家・東京都江戸東京博物館助教授。東京都景観審議会歴史景観部会委員。1965年、東京生まれ。1994年早稲田大学大学院理工学研究科博士後期課程修了。博士(工学)。日本学術振興会特別研究員、早稲田大学非常勤講師、日本女子大学非常勤講師などを経て、現在に至る。専門は日本近現代建築史及び建築評論。著書および監修に参加した本として『建築MAP横浜・鎌倉』(TOTO出版)、『東京-建築・都市伝説』(同)、『東京の近代建築』(共著、地人書館)、『大江戸透絵図』(共著、江戸開府400年記念事業実行委員会)、『痛快!ケンチク雑学王』(共著、彰国社)、『建築ガイド・都市ガイド-東京圏-』(同)、『建築「見どころ」博物館ガイドブック』(同)、DVD「東京遺産」(東京FM出版)など多数。東京MXTVで放映中の「建築の世紀」監修・出演。
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