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「東京・ミュージアム ぐるっとパス」を活用しよう! 初夏を感じながら、六本木・新宿エリアのミュージアムをめぐる〈後編〉

イベント・レポート

No.048
「宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO」

「東京・ミュージアム ぐるっとパス2024」は、都内を中心とした103の美術館・博物館の入場券・割引券がセットになったお得なQRコードチケットです。販売価格2,500円で、最初に利用した日から2カ月間、各施設につき1回利用することができます。後編では、ユニークなファッションや独創的なイラストレーションの展覧会で、センスを磨きに行きましょう!前編はこちら


「文化学園服飾博物館」で出会う世界の“オモシロイフク”

文化学園服飾博物館 入口

新宿駅から甲州街道沿いに徒歩7分の場所にある「文化学園服飾博物館」は、日本のファッション界をリードする人材を輩出してきた、学校法人文化学園に附属する服飾専門の博物館です。

入口の壁画は、文化学園が創立した1923年のフランスのファッション画をもとに、2003年に大理石の象嵌でつくられたモザイク画

服飾に関する教育・研究を目的として収集された所蔵品は約2万点。日本の衣服・18〜20世紀のヨーロッパのファッション・世界各地の民族衣装を3本柱に、靴やアクセサリー、バッグなども含めた体系的なコレクションを形成しています。

入館料は一般500円で、ぐるっとパスのみで入場することができました。

ヨーロッパやインドの「まるい」スカート、江戸時代の合羽などが一緒に展示されている

企画展「“オモシロイフク”大図鑑」(2024年3月11日〜6月22日)は、「ながい」「おおきい」「まるい」「たかい」「おもい」という5つのテーマに分けて、約30カ国の衣服を紹介する展覧会です。
大きく広がったスカートや裾の長いパンツ、約3000gもあるフィリピンの真鍮製の腰飾りなど、どのように身につけていたのだろうかと想像がふくらむ服や小物が並びます。こうした服装には、シルエットを美しくみせるだけでなく、暑さや寒さ、湿気の多い地域で快適に過ごすため、富や権力を示すためなど、さまざまな理由があるようです。

「ながい」服を集めたコーナー。黒と赤のパキスタンのパンツの右側は、日本の長裃(ながかみしも)

例えば、パキスタンのパンツ(1980年代)は、全体の長さが2.27m、膝下は1.5mあり、細い部分を膝下でクシュクシュと縮めて着ます。これは砂や毒をもつヘビなどが衣服内に入らないようにするための工夫だそうです。
ユニークな見た目にも興味を引かれますが、その理由を知ると、さらに驚きと発見がありますね。

「おもい」のコーナーには金属製のアクセサリーも登場

大学の附属博物館ですが、一般の方も多く来館しています。海外の方や服飾を学ぶ他大学の学生も多く、また、古いドレスや軍服などのイラストを描きに訪れる方もいるそうです。今回のような親しみやすい切り口の展覧会から、次回展の「世界のビーズ」といった素材や技法にフォーカスしたものまで、来館者の期待に応える企画展を開催しています。

古今東西のファッションの実物を間近に見ることができる、貴重な体験でした。

「東京オペラシティ アートギャラリー」でめくるめくイラストレーションの世界へ

ふたつのミュージアムは甲州街道で結ばれている

文化学園服飾博物館から甲州街道をさらに約15分歩くと、複合施設・東京オペラシティがみえてきます。その3階にある「東京オペラシティ アートギャラリー」は、年4回の企画展に加えて、東京オペラシティの共同事業者である故・寺田小太郎氏(1927-2018)のコレクションを紹介する収蔵品展、国内の若手作家を紹介するシリーズ「project N」と、多彩な表現に出合える美術館です。

受付でぐるっとパスカードを提示。カードの購入はミュージアムショップでできる

こちらでは一般1,400円の企画展と収蔵作品展、project Nに、ぐるっとパスのみで入場できます(入館料は展覧会により異なります)。

壁一面のポスター群

「宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO」(2024年4月11日〜6月16日)では、1960年代から日本でイラストレーション界を牽引したレジェンド・宇野亞喜良さんの、初期から最新作までの全仕事を俯瞰します。

ブラックライトで蛍光色に光る仕掛け
舞台のためにデザインした仮面や人形

確かな描写力が光るデッサンや魅惑的なアングラ演劇ポスターなど、900点超の作品が展示室を埋め尽くします。絵本や書籍、アニメーション映画から、普段はあまり展示されることのない舞台美術の仕事、立体作品まで、多彩な仕事ぶりが12のトピックで紹介されていました。
宇野さんのミステリアスで耽美な世界観に惹き込まれます。

「収蔵品展079 特別展示 没後50年 難波田史男」の展示室

階段を登って、収蔵品展に向かいましょう。寺田コレクションは、抽象画家・難波田龍起・史男父子の作品を中心に、戦後の国内作家による絵画や素描、立体作品など約4,000点を収蔵しています。
「収蔵品展079 特別展示 没後50年 難波田史男」(2024年4月11日〜6月16日)では、寺田コレクションから選りすぐった作品に外部のコレクションも交えながら、32歳で夭折した難波田史男の画業をたどります。作家の内面世界を映し出すような震える線と鮮烈な色彩は、鑑賞者の心を捉えて離しません。

「project N 94 大城夏紀」の展示スペース

「project N 94 大城夏紀」(2024年4月11日〜6月16日)では、柔らかい色彩の絵画や立体作品が点在し、壁面までもパステルカラーで彩られていました。大城さんは、和歌や詩歌に詠われた情景やリズム、その文脈や詠み手の背景を抽象化し、パターン化した模様を作品に落とし込んでいく作家です。
いにしえの人々が詠んだ情景が込められていると思うと、展示空間が歌の世界への旅路のようにも見えてきました。

同じく東京オペラシティ内にある「NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]」は、メディアアートに特化したミュージアムです。こちらの常設展は無料ですが、有料の企画展もぐるっとパスのみで入場できます。
帰りは東京オペラシティ直結の京王新線初台駅を利用しました。

いつもの街の新しい一面に気づく

後編のぐるっとルート

今回は、六本木・新宿周辺の異なるジャンルのミュージアムをぐるっとパスのみで巡りました。菊池寛実記念 智美術館、文化学園服飾博物館、東京オペラシティ アートギャラリーの3館の入場料は合計3,000円なので、1日で元を取れた上、過去2回の連載と比べて最もお得に周ることができました。

ぐるっとパスのパンフレットやウェブサイトで確認すると、今回訪れた美術館や博物館の周辺にも、ぐるっとパス参加施設が見つかります。仕事やショッピングで新宿を訪れる方も多いと思いますが、多種多様なミュージアムが集まる文化の街でもあるのですね。

これからの梅雨の時期、お出かけの予定を立てるのも工夫がいりますが、交通の便もよく屋内で鑑賞できるミュージアムめぐりはこんな時期にもピッタリです。皆さんもお得なぐるっとパスで、センスを磨く一日を過ごしてみませんか?(前編はこちら

Text:浅野靖菜
Photo:中川周

「ぐるっとパスカード」

ぐるっとパス2024
「電子チケット」はパソコンやスマートフォンから、「ぐるっとパスカード」は対象施設の販売窓口などで購入可能。各種交通機関の乗車券とのセット販売も行っています。詳しくはぐるっとパス2024の公式ウェブサイトをご確認ください。
料金:2,500円(大人料金のみ)
販売期間:2024年4月1日(月)〜2025年1月31日(金)
有効期間:最初に利用した日から2カ月 ※最終有効期間は2025年3月31日(月)
https://www.rekibun.or.jp/grutto/

文化学園服飾博物館
東京都渋谷区代々木3-22-7 新宿文化クイントビル 1階
開館時間:10:00-16:30(入館は16:00まで)
休館日:日曜日・祝日・振替休日・年末年始・夏期休暇・創立記念日(6/23)・展示替の期間
https://museum.bunka.ac.jp

今後の予定:
「世界のビーズ」 2024年7月19日(金)~11月4日(月)

東京オペラシティ アートギャラリー
東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー3F
開館時間:11:00-19:00(入館は18:30まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、展示替期間中、年末年始、全館休館日(2月第2日曜日、8月第1日曜日)
https://www.operacity.jp/ag/

今後の予定:
「髙田賢三 夢をかける」2024年7月6日(土)~9月16日(月)
同時開催「収蔵品展080 となりの不可思議」「project N 95 田口薫」

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