「ベルリン国際映画祭」の一環として開催されている人材育成プログラム「ベルリナーレ・タレンツ」のアジア版として2010年に開始し、世界で活躍するためのノウハウやネットワーク構築の機会を提供する人材育成ワークショップ「タレンツ・トーキョー」。その特色のひとつは、映画界で作品の企画を売り込むスキルの獲得と実践だ。
世界で活躍する映画人と共に企画を見つめなおし、ピッチと呼ばれる数分間で行われるプレゼンテーションで披露する。ピッチは製作・配給会社が企画を検討する手がかり、いわば映画づくりのはじめの一歩でもある。「タレンツ・トーキョー」では講義だけでなく、これらのスキルを得るべく6日間の濃密なプログラムが組まれている。
参加するのは毎年公募で選ばれる約15人のアジアのタレンツ。これまでも侯孝賢(ホウ・シャオシェン)やアピチャッポン・ウィーラセタクンといったそうそうたる講師陣(エキスパーツ)の指導を受けながら企画を磨き、世界に羽ばたいてきた。『イロイロ ぬくもりの記憶』のアンソニー・チェンや、『蜜蜂と遠雷』のヒットも記憶にあたらしい石川慶も、この「タレンツ・トーキョー」の修了生だ。
「タレンツ・トーキョー」の参加者はワークショップからどんな経験を得るのか。まずはコロナ禍の影響でオンライン開催となった2021年に公開プレゼンの最優秀者へ送られる「タレンツ・トーキョー・アワード」を日本人として初めて受賞した木村あさぎさんに話を聞いてみよう。