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アーティスト・サバイバル・メソッド
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工房を利用する
FabLab Setagaya at IID

自分の手で制作してきたアーティストは、デジタル技術とどのように向き合っていけば良いのでしょうか。デジタル工作機械によって表現の幅を広げる手段を模索する、市民工房の「FabLab Setagaya at IID(ファブラボ セタガヤ アット アイアイディー)」と美術ギャラリー「八犬堂(はっけんどう)ギャラリー」が行うアーティスト支援プログラムを取材しました。

講師の布山浩司さん(奥)と、アーティストの山田勇魚さん(手前)。ペン型3Dハプティックデバイスを使ってモデリングの方法を学ぶ。
講師の布山浩司さん(奥)と、アーティストの山田勇魚さん(手前)。ペン型3Dハプティックデバイスを使ってモデリングの方法を学ぶ。

ギャラリーと工房が協働するアーティスト支援

旧池尻中学校をリノベーションし、3階建ての建物に約50のクリエイティブなオフィス・SHOPが入居する「IID 世田谷ものづくり学校」。入り口近くの教室に、3Dプリンター、レーザーカッター、3Dスキャナーなどの工作機械がところ狭しと並べられた「FabLab Setagaya at IID(以下、ファブラボ世田谷)」があります。最新のデジタル工作機械を誰でも借りることができる工房です。

2004年に開設したIID 世田谷ものづくり学校。各教室は、オフィスとして利用されるほか、ワークショップ、展示、セミナーなどを行うイベントスペースとしても活用。

2004年に開設したIID 世田谷ものづくり学校。各教室は、オフィスとして利用されるほか、ワークショップ、展示、セミナーなどを行うイベントスペースとしても活用。

2004年に開設したIID 世田谷ものづくり学校。各教室は、オフィスとして利用されるほか、ワークショップ、展示、セミナーなどを行うイベントスペースとしても活用。

デジタルが加わることで立体表現の幅が広がらないだろうか。その実験的な試みとして、ファブラボ世田谷が同じフロアにスペースを構える八犬堂ギャラリーとアーティスト支援プログラムをこの春から協働で始めました。教育、3Dメディアを専門に大学で研究する布山浩司(ぬのやま・こうじ)さんが講師となり、八犬堂ギャラリーの所属アーティスト5名がデジタルを使った作品制作に挑戦しています。

参加している5名は、いずれもギャラリーや百貨店で展示を行うなどキャリアを積んでいる若手アーティスト。立案者の一人、八犬堂ギャラリーの横井誠二(よこい・せいじ)さんは言います。
「美大を卒業しアーティストとして活動し実績を残すためには、より多くの方に作品を見ていただくことがとても重要です。そういった目的を果たす一環として、今回のプログラムで制作面から作家のバックアップができればいいと考えています」

2010年にスタートした八犬堂ギャラリー。若手作家を中心とした作品の展示・販売のほか、美術品の撮影、展覧会のパンフレットや図録のデザインなども行う。
2010年にスタートした八犬堂ギャラリー。若手作家を中心とした作品の展示・販売のほか、美術品の撮影、展覧会のパンフレットや図録のデザインなども行う。

デジタルによって広がる表現の幅

プログラムに明確なカリキュラムはなく、4月から毎週1回、2時間ほど講習を開いています。
「受講しているアーティストは、デジタル技術をどのように有効活用すればいいかわからない人がほとんどでした。まずはデジタルの基礎知識を習得し、個別に打ち合わせをしながらその人に合った活用方法を探るところから始めました」と布山さん。

アーティストにとって、デジタルを使うことで具体的にどのような飛躍につながるのでしょうか。
「ある人形作家は、普段は人形の関節部分を複数のパーツから組み立てていますが、複雑な造形ができる3Dプリンターでは、それらを一つのパーツに集約できます」
コンピューターの利用によって手作業ではできないことが可能になったり、複製ができたり、と表現の幅が広がっていく、と布山さんは言います。

手書きの文字をスキャナーで取り込み、レーザーカッター(左)で切り出したオリジナルのハンコ(右)。

手書きの文字をスキャナーで取り込み、レーザーカッター(左)で切り出したオリジナルのハンコ(右)。

手書きの文字をスキャナーで取り込み、レーザーカッター(左)で切り出したオリジナルのハンコ(右)。

アーティストとして生きていくために

受講生の一人、山田勇魚(やまだ・いさな)さんは、透き通った樹脂の中に建物や船の模型を閉じ込めた作品で、海外でも注目を集めるアーティスト。現在は東京藝術大学で教育研究助手を務めながら作品制作をしている山田さん。今回のプログラムを受講したのは、今後の作家としての生き方を考えてのことでした。
「いまは大学の仕事があるので学校の設備が使えますが、任期が終了したら使えなくなります。また立体作品はコストがかかる割には著名な作家でない限り、なかなか高値がつきません。大学の任期が終わっても生活ができるよう、良い意味での作業の効率化と、作品の幅を広げるために今回応募しました」

山田勇魚《帰港8-01》2016年(幅18.5cm、樹脂成型)
クジラをかたどった「帰港」シリーズでは沈没船がクジラの姿となって港へ帰っていく、というストーリーを込めている。
山田勇魚《帰港8-01》2016年(幅18.5cm、樹脂成型)
クジラをかたどった「帰港」シリーズでは沈没船がクジラの姿となって港へ帰っていく、というストーリーを込めている。

山田さんのように大学の仕事を得ていても、どのように生きていくか、アーティストは常に問われ続けています。
「現在、樹脂に入れている模型は、建築模型や食玩などの既製品です。これまでは作品に合う既製品を探さなくてはなりませんでしたが、3Dプリンターを使えば、自由なサイズや形をつくることができる。3Dスキャナーを使えば、複製もできるでしょう。いろいろな可能性が広がることが楽しみです」

プログラムは実験段階ですが、丁寧な個別指導とアーティストの熱意によって、大きな成果となるでしょう。ファブラボ世田谷には誰でも参加できるワークショップも多数開かれていますが、要望のある講習も新たに開講できるそうです。このソフトを使いたい、この機械を使って作品をつくりたいというアーティストはぜひ相談してみてください。

左から、布山さん、山田さん、八犬堂ギャラリーの横井誠二さん。山田さんは二子玉川アレーナホール&サロンで開催のグループ展「見参ーKENZAN 2017」(2017年9月16日〜18日)に出品。
左から、布山さん、山田さん、八犬堂ギャラリーの横井誠二さん。山田さんは二子玉川アレーナホール&サロンで開催のグループ展「見参ーKENZAN 2017」(2017年9月16日〜18日)に出品。

文・構成:佐藤恵美
Photo: 中川周

FabLab Setagaya at IID
(ファブラボ セタガヤ アット アイアイディー)

住所:東京世田谷区池尻2-4-5 IID 世田谷ものづくり学校 116号室

FabLab Setagaya at IID(ファブラボ セタガヤ アット アイアイディー)

[機器使用料]

  • ◎初回入会費:1,000円
  • ◎レーザーカッター:45分=2,000円
  • ◎3Dプリンター:60分=500円+フィラメント代/月額5,000円+フィラメント代
  • ◎3Dスキャナー:60分=250円/月額2,500円
  • ◎CNCミリングマシン:1日=1,000円
  • ※会員登録後、使いたい機器の講習を受講が必要(受講費無料)

[お問い合わせ]

[公共施設を活用しよう]
公共施設の中には、美術室や工作室、ホールなど制作の場として活用できるスペースがあるところも多い。特殊な設備が必要となる「写真・工芸系」、舞台芸術に特化した「演劇系」、「オールマイティー系」に分けていくつか紹介します。自分の住んでいる地域の公共施設も活動拠点として視野に入れてみては?
  • ※付帯・貸出備品の有料・無料、利用に関しての注意事項などは、各施設にお問い合わせください。登録条件によってご利用いただけない場合がございます
  • ※区民、登録団体の利用が優先となり、区民・区民以外、登録団体・登録団体以外、平日・土日休日で料金が異なる場合があります
  • ※各施設により区分が異なります
【写真・工芸系】
アカデミー音羽 江東区文化センター
施設 多目的ホール:アップライトピアノ、音響装置セット/美術室:エッチングプレス/工芸室:電動ろくろ 施設 美術室:作業台、モデル台/教材制作室・暗室:ホワイトボード、流し台、現像機器/第1・2音楽スタジオ:アップライトピアノ、ドラムセット、PAユニット、アンプ、マイク ほか/工芸室:電動糸鋸、電動ろくろ ほか*暗室を利用の際は教材製作室とセット申込
貸出備品 映像装置セット、陶芸窯、七宝窯、液晶プロジェクター 貸出備品 イーゼル、彫像、陶芸窯、音響装置類 ほか
料金 1区分1,700〜4,000円 料金 1区分1,500〜8,000円、音楽スタジオは2時間につき950円
お問い合わせ 東京都文京区大塚5-40-115 お問い合わせ 東京都江東区東陽4-11-3
URL http://www.b-academy.jp/ URL https://www.kcf.or.jp/koto/
森下文化センター  
施設 多目的ホール:控え室、グランドピアノ/レクホール:鏡(壁面備付)、スクリーン、バトン、バレエバー、グランドピアノ、音響調整卓、照明操作盤/AV・ホール:鏡(壁面備付)、スクリーン、アップライトピアノ、音響調整卓/創作室:江戸切子研磨機、道設備/音楽スタジオ:、電子ピアノ、ドラムセット、PAユニット、アンプ ほか  
貸出備品 マイクロホン、DVDプレーヤー、プロジェクター ほか  
料金 1区分2,050〜22,200円、音楽スタジオは2時間につき950円  
お問い合わせ 東京都江東区森下3-12-17  
URL https://www.kcf.or.jp/morishita/  
【演劇系】
たなか舞台芸術スタジオ なかのZERO
施設 大稽古場:美術バトン、更衣カーテン、鏡、簡易防音設備/小稽古場I・II:更衣カーテン、鏡、簡易防音設備/制作室:無線LAN完備、作業台、棚、姿見(各稽古場に付属) ほか 施設 リハーサル室:壁面鏡、バー、グランドピアノ、ダイナミックマイク、ワイヤレスマイク、カセットレコーダー、CDプレイヤー、MDプレイヤー、リノリウムシート/多目的練習室:壁面鏡、バー、アップライトピアノ、ダイナミックマイク、ワイヤレスマイク、カセットレコーダー、CDプレイヤー、MDプレイヤー、リノリウムシート/A・Bスタジオ:アンプ各種、ダイナミックマイク、ドラムセット、エレクトリックピアノ、シンセサイザー、ミキサー ほか/美術工芸室:電動ろくろ、小型窯/音楽室:グランドピアノ ほか
貸出備品 折り畳み椅子、譜面台、畳敷、平台、運搬用カゴ車、音響セット、ドーリー(平台運搬用)、プロジェクター、箱馬、リノリウム、CDラジカセ、スクリーン、スタンド型スポットライト ほか 貸出備品 椅子、机、譜面台、組み立て式ステージ(リハーサル室・多目的練習室) ほか
料金 1区分1,400〜7,800円、全日5,000円(小稽古場)・18,000円(大稽古場) 料金 1区分1,000〜7,300円
お問い合わせ 東京都台東区日本堤2-25-4 たなか舞台芸術スタジオ お問い合わせ 東京都中野区中野2-9-7
URL http://tanaka-butaigeijutu.jp/index.html URL http://www.nicesacademia.jp
ムーブ町屋  
施設 ムーブホール:迫舞台、吊物バトン、照明機材・音響設備 ほか/スタジオ:専用照明器具・音響セット  
料金 ムーブホール:1区分12,000円〜38,000円、全日75,000円 ほか  
お問い合わせ 東京都荒川区荒川7-50-9 センターまちや3・4F  
URL http://www.sunny-move.com/move/index.html  
【オールマイティー系】
落合第二地域センター 不忍通りふれあい館
施設 多目的ホール:可動ステージ、ピアノ、テーブル・イス、マイクセット、更衣室(ロッカー)/工芸美術室:水場、イーゼル、七宝焼きの窯、棚、テーブル・イス/大会議室A・B:テーブル・イス、ホワイトボード、プロジェクター、スクリーン、マイクセット/音楽室:ピアノ、カラオケ、イス ほか 施設 創作工房室/ホール/スタジオ
貸出備品 マイクセット、デジタルカメラ、ビデオカメラ ほか 貸出備品 ピアノ、ドラムセット、シンセサイザ、映写機(スライド・16mm)、プロジェクター、陶芸窯、電動ろくろ ほか
料金 1区分800〜5,600円、全日3,000〜22,200円(一般利用の場合) 料金 1区分800〜11,200円
お問い合わせ 東京都新宿区中落合4-17-13 お問い合わせ 根津地域活動センター
東京都文京区根津2-20-7
URL http://www.ochiai2center.com URL http://www.city.bunkyo.lg.jp/shisetsu/kumin/chiiki/nedu.html
すみだ生涯学習センター(ユートリヤ) 雑司が谷地域文化創造館
施設 リハーサル室:アップライトピアノ、音響装置セット/陶芸室:陶芸窯/創作活動室(第1・第2)/視聴覚スタジオ・音楽スタジオ:アップライトピアノ、ドラム、アンプセット/ ほか*付帯設備には使用料が必要 施設 音楽室:壁面鏡、ピアノ、譜面台/美術室:イーゼル、美術机/工作室:工作机/多目的ホール:ピアノ、譜面台/第1・2練習室:壁面鏡、電子ピアノ、譜面台 ほか
貸出備品   貸出備品 カセット・CDデッキ、マイクロホン、ビデオ、プロジェクター、スクリーン ほか
料金 1区分1,950〜7,350円(区民外料金)、1,300〜4,900円(区民料金) 料金 1区分1,700〜8,200円、全日5,800円(美術室)・20,200円(多目的ホール)
お問い合わせ 東京都墨田区東向島2-38-7 お問い合わせ 東京都豊島区雑司が谷3-1-7 千登世橋教育文化センター内
URL http://www.yutoriya.jp URL http://www.toshima-mirai.jp/center/e_zoshigaya/#05
文化総合センター大和田 緑が丘文化会館
施設 大練習室:グランドピアノ、バレエバー、壁面鏡/練習室1:ドラム、アンプ、PAセット/練習室3:グランドピアノ/練習室4:アップライトピアノ/学習室6(工作室):陶芸窯 ※机、椅子は部屋毎に数が異なります 施設 第6研修室(美術室)/第11研修室:ピアノ、グランドピアノ、ステレオ/第1レクリエーションホール:ピアノ、ステレオ/第2レクリエーションホール:ステレオ
貸出備品 譜面台、プロジェクター、ラジカセ ほか 貸出備品 プロジェクター ほか
料金 1区分700〜6,000円(基本料金)※要団体登録(約10日かかります) 料金 1区分2,100〜8,500円(登録団体外)
お問い合わせ ホール事務室
東京都渋谷区桜ヶ丘町23-21
お問い合わせ 目黒区緑が丘2-14-23
URL http://www.shibu-cul.jp/sakurahall URL http://www.city.meguro.tokyo.jp/shisetsu/shisetsu/kyoiku_shisetsu/midorigaoka/goannai.html
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