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西堂行人のトーキョー・シアター・ナビ
No.006
日韓文化交流企画
『ペール・ギュント』
(12/06〜12/24)
初演以降名だたる演出家によって上演され続けるイプセンの傑作戯曲『ペール・ギュント』。2018年平昌冬季オリンピックの開・閉会式の総合演出を担当することでも注目を集める韓国の演出家が満を持して送る、壮大なる「自分探し」の物語。必見の公演です。

グリーグの名曲として知られる『ペール・ギュント』は、もともとイプセンの長編の劇詩だった。悪戯好きのペールが世界中を遍歴するこの劇詩は、あまりに壮大過ぎて、作者自身が「上演はできない」と言ったというエピソードが残っている。その作品に韓国の演出家ヤン・ジョンウンが果敢に挑む。世田谷パブリックシアター20周年記念にちなんだ日韓合同公演だ。
ヤン・ジョンウンは今や韓国を代表する演出家の一人である。2018年に開催される平昌(ピョンチャン)冬季オリンピックの開・閉会式の総合演出を担当する。その多忙の合間を縫って日韓を行き来し、ミュージカルで大活躍する浦井健治をはじめ、趣里、マルシアといった個性派を揃え、さらに韓国の実力派俳優が加わる。目指すは「アジアの最前線」の舞台だ。

ヤン・ジョンウン
ヤン・ジョンウン

わたしは演出家と作品の組み合わせに興味をそそられた。ヤン氏との出会いは2001年、彼が率いる劇団旅行者の初来日公演にさかのぼる。その後、2002年に密陽(ミリャン)のフェスティバルで観た『夏の夜の夢』は衝撃的だった。その時ヤン氏は世界中を旅するボヘミアンで、そのコスモポリタン的な行動様式は、世界中を遍歴するペールと重なった。ヤン自身も同じ資質を持っていると思えたのである。
ヨーロッパにはホメロスの大叙事詩『オデュッセイア』以来、「遍歴物」の系譜がある。ペールもまた遍歴する。ノルウェーの山岳地帯から、モロッコ海岸、サハラ砂漠、エジプトの精神病院、海上などを経巡り、再び故郷に戻るのは、白髪になり老齢になってからだ。ペールは旅立つ前に母の死を見届け、また帰郷した彼は最終的には初恋の人ソールヴェイのもとに戻って死を迎える。こうした遍歴の人生は多分にイプセン自身のそれを投影している。
『ペール・ギュント』は、人と人がどう繋がっていくかを予見した作品である。今でいう「グローバリゼーション」の中で翻弄される人間像、近代社会が否応なく直面せざるをない国際経済の中で揺れ動く一個人の典型像がペール・ギュントに集約されている。国際化や民族の移動が常態化した現在の世界情勢を考えさせる劇になるに違いない。

韓国版『ペール・ギュント』(2009年、2012年)©LG Arts Center & JD Woo
韓国版『ペール・ギュント』(2009年、2012年)©LG Arts Center & JD Woo

日韓文化交流企画
世田谷パブリックシアター開場20周年記念公演
世田谷パブリックシアター+兵庫県立芸術文化センター
『ペール・ギュント』

原作: ヘンリック・イプセン
翻訳: クァク ボクロク
上演台本・演出: ヤン ジョンウン
出演: 浦井健治、趣里、万里紗、莉奈、梅村綾子、辻田暁、岡崎さつき、浅野雅博、石橋徹郎、碓井将大、古河耕史、いわいのふ健、今津雅晴、チョウ ヨンホ、キム デジン、イ ファジョン、キム ボムジン、ソ ドンオ、ユン ダギョン、マルシア

浦井健治、趣里、ユンダギョン、マルシア
(左から、浦井健治、趣里、ユン ダギョン、マルシア)

『ペール・ギュント』

[期間] 2017/12/06(水) 〜 2017/12/24(日)
[会場] 世田谷パブリックシアター(東京都世田谷区太子堂4丁目1-1)
https://setagaya-pt.jp/
兵庫公演あり

西堂行人(にしどう・こうじん) 演劇評論家。明治学院大学文学部芸術学科教授。1954年東京生まれ。78年より劇評活動を開始し、アングラ・小劇場演劇をメインテーマとする。主な著書に『演劇思想の冒険』『韓国演劇への旅』『[証言]日本のアングラ』『唐十郎 特別講義―演劇・芸術・文学クロストーク』(編)など多数。最新刊は『蜷川幸雄×松本雄吉 二人の演出家の死と現代演劇』。

西堂行人(にしどう・こうじん)

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