「PLAY!」は、立川の新たな複合型エリア「GREEN SPRINGS」の一角にあります。
入り口のあるフロアは、「絵と言葉」をテーマにした美術館「PLAY! MUSEUM」です。ここでは企画展と常設展の2つの展示を見ることができます。取材した日、企画展では亀山達矢さんと中川敦子さんによるクリエイティブユニット・tupera tupera(ツペラ ツペラ)の個展が開催されていました。「日本絵本賞大賞」や「やなせたかし文化賞大賞」など、数々の絵本賞を受賞するtupera tupera。本展は2人のアイデアとユーモアが詰まった「かお」をテーマにした展覧会です。
「ただ見るのではなく、大人も子供も絵本の世界に入り込める仕掛けをしています。美術館は静かにしなければ、というイメージがあると思いますが、観賞中に自然に出る声を監視員が注意することはありませんし、子供の目線の高さにある展示物に思わず触れてもよいような作品保護の仕方も工夫しています」とPLAY! のプレスを務める森田藍子さん。
代表作『かおノート』などの原画展示をはじめ、2メートルの顔がずらりと並んだ「かお10(テン)」など盛りだくさんの顔の展示。また「見る」だけではなく、顔のパーツを「かおルーペ」で探したり、立体作品のなかに入ったり、床に大きな顔をつくり自分もその一部になったり、と参加することのできる展覧会です。
企画展の隣、壁にたくさんの窓や抜け穴があいた常設展の会場は、空間全体が仕掛け絵本のよう。ここは「絵本の魔術師」とも称されるエリック・カールの展覧会です。年間を通して著名な絵本作家を紹介するこの常設展では、2020年度、アメリカ・マサチューセッツ州のエリック・カール絵本美術館との共同企画で「エリック・カール 遊ぶための本」を開催。『はらぺこあおむし』『パパ、おつきさまとって!』など代表作の原画が展示され、自作の色紙によるコラージュを間近でみられるほか、彼が制作時に着用したスモック、愛用の画材などを通して、制作の裏側に迫っています。
「PLAY! MUSEUM」の上階には「PLAY! PARK」が広がっています。7つのエリアに分かれた広大な空間は、「未知との出会い」をテーマに、子供が自由な発想で遊べる屋内広場。中心にある「大きなお皿」はとんだり、走ったり、すべったり、全身で遊べるエリアです。約8000個の風船を使った大型遊具「バルーン・モンスター」は、東京都市大学の手塚貴晴研究室と開発・制作し、9月に完成。大人が座っても割れないほど丈夫で、上に乗ったり、持ち上げたりと自由に体を動かして遊ぶことができます。
「大きなお皿」の奥には、毎日さまざまなワークショップが随時開催されている「ファクトリー」。梱包材や廃材、新聞紙などの素材や、ペン、はさみ、のりなどの道具を使い、自由につくることもできます。
エリック・カールの手法を学べるワークショップや、身の回りにあるもので顔をつくるワークショップなど、「PLAY! MUESEUM」の展覧会と連動したワークショップも開催されています。その無数のワークショップに共通するのは、誰でも取り組める仕掛けです。
「明確なゴールを設定することよりも、想像力を自由に膨らませられる入り口」を大切に、「PLAY!」で働くスタッフがプログラムを日々考案しています。
そのほか「PLAY! PARK」には、ピアノや楽器で遊べる「スタジオ」、多摩美術大学グラフィックデザイン学科の学生が制作したアニメーションが流れる「シアター」、日本や海外の絵本が700冊以上そろう「ライブラリー」なども。自分の興味や年齢に合わせて、好きな場所で好きなだけいることができます。また、2階の「PLAY! CAFE」では展覧会に関連したフードやドリンク、「PLAY! SHOP」ではオリジナルグッズも提供しています。
行くたびに驚きや発見がある「PLAY!」。美術館と屋内広場が一体となり、親子で楽しめる日本国内でも珍しい施設です。