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東京のアートがつながる4日間、「アートウィーク東京」でまだ見ぬアートとの出会いを

イベント・レポート

No.042
11月3日から6日の4日間は、都内がアートで活気づく「アートウィーク東京」。(※)

芸術の秋深まる11月、都内でアートスポット巡りを考えているなら、今年から本格的に始動する国際的なアートイベント、「アートウィーク東京(AWT)」をチェックしてみましょう。2022年11月3日からの4日間にわたり、東京の現代アートを牽引する多数の美術館やギャラリー参加のもと繰り広げられる本イベント。

10月27日に行われた記者発表会とプレスツアーを元にレポートします。


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2022.11.02

6つのルートを循環するAWT BUSで都内アートスポットめぐり

AWT BUSのルートを示すマップ。東京国立近代美術館のある皇居外苑が全体の中心に位置する。6つのルートで、東西南北様々なエリアに点在するアートスポットを結ぶ。

本イベントのメインコンテンツは、50を超える美術館やギャラリーがそれぞれに行っている展覧会の数々。それらは「アートウィーク東京」の期間に限らず見られる展覧会がほとんどですが、AWTの期間中は「東京のアートを巡るエコシステム」として、これらの施設を巡る循環バス「AWT BUS」が街を走ります。

都内に点在するアートスペースがAWT独自のルートでつながることで、普段より各施設へのアクセスが格段によくなるうえ、公式アプリ「AWT PASS」を提示するだけで、バスは無料で利用できます。6つあるルートは互いに乗り換えも可能で、15分間隔で次のバスが来るため時間を気にせず各スポットを楽しめます。駅から遠くて行けなかったあのギャラリーにも、AWTの期間なら気軽に足を運べそう。

プレスツアーのAWT BUS車内の様子。ゆったり座れて移動も快適だ。

参加施設による魅力的な展覧会の数々を巡る

AWTのメインコンテンツである参加館の展覧会には、言わずもがな、魅力的なものが目白押しです。なかには公式アプリ「AWT PASS」の提示で割引になるものも。ここではそのごく一部、プレスツアーで訪れた先をご紹介します。

AWT BUSルートFに含まれる東京オペラシティアートギャラリーで開催中の「川内倫子:M/E 球体の上 無限の連なり」展示風景。

西新宿、初台にある東京オペラシティアートギャラリー(AWT BUSルートF:F1)では、写真家・川内倫子さんによる国内では6年ぶりとなる個展「川内倫子:M/E 球体の上 無限の連なり」を開催中。今回展示されるシリーズの一つでもある「M/E」は、「Mother(母)」と「Earth(地球)」、また「ME(私)」を示しているそうです。各地で撮影された火山や流氷といった自然の営みと、コロナ禍で撮影された身近な日常をゆるやかにつなぐ作家の眼差しが表されています。写真や映像展示に加え、新たな試みとして建築家・中山英之さんが手がけた空間とのコラボレーションも見どころの一つです。こちらの会場は、AWT PASSの提示で入場料が通常の200円引きに。

六本木、森美術館(AWT BUSルートA:A6)で開催中の「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」は、国内外の作家16名の多様な作品約140点による展覧会です。展覧会名にも引用された、オノ・ヨーコさんによるインストラクション・アート作品「地球の音」に書かれたテキストを入り口に、想像力を大きく働かせながら鑑賞すれば、パンデミック以降のこれからの未来をどうすればよりよく生きることができるのか、そのヒントをみつけられるかもしれません。AWTと同じく11月6日で会期が終了となる本展は、AWT PASSの提示で入場料が通常の300円引きに。この機会に、ぜひ足を運んでみましょう。

AWT BUSルートDに含まれる資生堂ギャラリーによる「第八次椿会 ツバキカイ8 このあたらしい世界 2nd SEASON “QUEST”」展示風景。

銀座、資生堂ギャラリー(AWT BUSルートD:D4)では、6組の作家による「第八次椿会 ツバキカイ8 このあたらしい世界 2nd SEASON “QUEST”」(入場無料)を開催中。「椿会」シリーズは1947年、戦後のギャラリー再開に際して誕生し、以後メンバーを入れ替えながら継続する企画展です。第八次はafterコロナの「あたらしい世界」をテーマに、杉戸洋さん、中村竜治さん、Nerhol (ネルホル)の田中義久さんと飯田竜太さん、ミヤギフトシさん、宮永愛子さん、そして荒神明香さん、南川憲二さん、増井宏文さんを中心とする目[mé]の総勢6組をメンバーに昨年発足。サブテーマを「探求/Quest」とした今回は、メンバー同士の関係性を深めながら企画を練っていった、その過程も感じさせることをねらいの一つとしています。個々の作品の完成度よりも、互いの関係性によって全体で一つのインスタレーションのように構築された展示空間は、親密さや安心感を感じさせます。

AWT期間限定のAWT BARでオリジナルカクテルを

AWT独自のプログラムも多数予定されています。ドクメンタで芸術監督も務めたポーランド出身のキュレーター、アダム・シムジック厳選のビデオプログラムの上映会や、同氏を含む各国のキュレーターたちによるラウンドテーブル、多様なゲストを迎えた多数のオンライントークなどなど。

「AWT BAR」内観。鉄板で区切られた洞窟のような小空間が点在する。

そして会期中、日中はインフォメーションセンターとして、18時以降はバーとして南青山にオープンするのは、建築家・萬代基介さんの設計による「AWT BAR」です。バーの空間には、有機的な曲線でカットした紙を丸めたかのような形状が連なっています。紙のように軽やかに見えるのは、実は厚さ6mmの鉄板。一枚の板をゆるやかに変形させることで、内側に洞窟のような空間を持たせた自立する構造体です。

「AWT BAR」を設計した建築家・萬代基介さん。

バーのドリンクの目玉は、川内倫子さん、ミヤギフトシさんを含む4名のアーティストそれぞれとのコラボレーションによるオリジナルカクテル。AWT BUSでアート巡りを楽しんだ後は、AWT BARでカクテルを片手にその日見た作品について語らうのもいいでしょう。バーにはカフェメニューの用意もあります。

写真家・川内倫子さんとコラボレーションしたオリジナルカクテル。

「東京にアートを見に行くならアートウィーク東京」その第一歩として

記者発表会でのテープカットの一幕。 左から、AWTモビールプロジェクト実行委員会の片岡真実さん(森美術館館長)、AWTディレクターの蜷川敦子さん(Take Ninagawa代表)、AWTアンバサダーを務める鈴木京香さん(俳優)、AWTと提携するアートバーゼルのアデリン・ウーイさん(アートバーゼルディレクター・アジア)。

プレスツアーを前に開かれた記者発表会にて、AWTのディレクター、Take Ninagawa代表の蜷川敦子さんは「AWTは東京のアートシーンを形成する様々なエリアに来場者が足を運び、その多彩な魅力を体験できる機会となることを目指しています。公式アプリ『AWT PASS』の活用によって、幅広い楽しみ方を、いつ、どこからでもスタートできる環境を整えました」とAWTの多様な楽しみ方とその敷居の低さをアピール。

またAWTモビールプロジェクト実行委員の森美術館館長・片岡真実さんは「世界のアートが盛んなエリアには、アートウィークやそれに似た文化が根付いています。アートウィークがあることで、その期間は街がアートで活気づき、同地のアートを知りたい人々はその期間をめがけて来訪します。参加ギャラリーはその期間に一押しの展覧会をするようになるなど、よい循環が生まれるのです」と、東京に「アートウィーク」を設け浸透させていくことの重要性を語りました。

気になったら「AWT PASS」をダウンロードしておく。それだけで準備完了

ダウンロードすればすぐに使える、無料の公式アプリAWT PASS。(※)

AWTへの参加に必要なのは、無料の公式アプリ「AWT PASS」のダウンロードです。AWT BUSの利用時に提示するパスポートとなるほか、バスの運行状況がリアルタイムで確認できるマップ機能、各施設の入場料の割引、スタンプラリーなど、AWTを自分なりに楽しむための多くの機能を搭載しています。
11月3日、文化の日からはじまる4日間、東京でアートを楽しんでみようかな、と考えている方もそうでない方も、ひとまず「AWT PASS」をダウンロードしてみましょう。どこに行くべきか、悩む必要はありません。期間中、街中にはあちこちにAWT BUSが走っているはずです。そのどれかに乗りこめば、きっと次の停留所で、あなたのこれからを豊かにするアートやアーティスト、美術館やギャラリーとの新しい出会いが待っていることでしょう。

街のあちこちを走るAWT BUSは、「AWT」のロゴが目印。※写真のバスは当日来場者が乗るカラーリングとは異なる場合があります。

Text:坂本のどか
Photo:中川周(※以外)

アートウィーク東京
会期:2022年11月3日(木・祝)– 6日(日)
時間:10:00–18:00
※シャトルバス運行時間。各施設の開場時間は「AWT PASS」または各公式サイトでご確認ください。

アートウィーク東京
主催:一般社団法人コンテンポラリーアートプラットフォーム
提携:Art Basel

アートウィーク東京モビールプロジェクト
主催:東京都/アートウィーク東京モビールプロジェクト実行委員会
助成:文化庁 令和4年度文化庁優れた現代美術の国際発信促進事業

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